住まなくなったマンションは売却か賃貸かどっちがお得?メリット・デメリットと判断基準を解説
マンション売却
2022.10.19
住まなくなったマンションを売却するか賃貸に出すかは、簡単に決めてよい事柄ではありません。売却や賃貸に関する知識が不足していると、得られるはずの利益を失ってしまったり、住宅ローンの一括返済を迫られてしまったりする可能性もあります。この記事では、マンションを売却するか賃貸に出すか、迷っている人に向けて、売却・賃貸双方のメリット・デメリットを解説します。その上で、売却か賃貸の判断基準をお伝えします。
マンションを売却するメリット・デメリット
マンションを売却した場合、どのようなメリットとデメリットがあるのかを解説していきます。
マンションを売却するメリット
マンションを売却する大きなメリットとしては、一度に大きな金額が手元に入ることです。住宅ローンがまだ残っている場合は、売却価格から住宅ローンの残債と売却の諸経費を差し引いた残りの金額が手元に残ります。
また当然ですが、マンション売却後は管理が不要となるため、マンションにかかる維持費がかからなくなります。マンションは所有しているだけで月々の管理費・修繕積立金の支払いが発生しますし、毎年の固定資産税や都市計画税の支払いも必要です。
そして自己居住用のマンションを売却して利益が出た場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を利用できる可能性があります。この特例は、売却して得た利益(譲渡所得)を3,000万円まで控除できるというものです。つまり、マンションを売却して出た利益が3,000万円以下であれば、譲渡所得税を支払う必要はなくなります。ただし、この控除を使ってマンションを売却し、住宅ローンで新居を購入した場合、年末の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から控除できる「住宅ローン控除」は、併用できない点には注意が必要です。
マンションを売却するデメリット
マンションを売却するデメリットとしてまず挙げられるのは、いつ売却できるのかわからないという点です。通常のマンション売却の流れは、まず不動産会社に売却予定のマンションの査定を依頼し、仲介を依頼する不動産会社を選んで媒介契約を結び、ポータルサイトへの掲載、そして内見対応などの販売活動を経て、売買契約を結び、その後に代金の決済とマンションの引き渡しを行って、売却完了となります。マンション売却の流れは上記の通りですが、マンションが実際にいつ売れるのかは、誰にもわかりません。早く確実に売却したい場合は、不動産会社による買取も検討してもよいでしょう。
もう一つのデメリットとしては、自分の希望する売却価格で売却できるとは限らないことです。住宅ローンの残債がある場合は、住宅ローンの残債以上の金額で売却できることを希望することが多いですが、売却価格はマンションの築年数やエリア、状態などのマンション側の要因のほか、売却希望者の購入希望額にも左右されるため、売主側の希望する金額で売れるとは限りません。
関連記事はこちら
▶︎マンション買取は売却とどう違う?相場や会社の調べ方・見積もり依頼の方法まで解説!
マンションを賃貸するメリット・デメリット
マンションを賃貸に出した場合、どのようなメリットとデメリットがあるのかを解説していきます。
マンションを賃貸するメリット
マンションを賃貸するメリットとしては、まず家賃収入が得られることです。毎月の定期収入は経済的な魅力があります。次に、マンションを賃貸に出した場合、将来的に自分で住む選択肢も確保できる点です。将来的に住む予定があるが、しばらくは住まない場合は、賃貸に出した方がよいでしょう。ただ通常の賃貸契約で賃貸に出すと、賃借人が住み続けたい可能性もあるため、決められた期間だけ賃借人に賃貸する、定期借家契約を結ぶなどの工夫が必要でしょう。
またマンション賃貸を行うことで節税できる可能性があります。マンションの賃貸で生じた赤字を給与所得と合わせて計算することで、所得税を抑えることができます。その他、収益物件として、賃貸人がいる状態で売却することもできます。
関連記事はこちら
▶︎住まなくなったマンションは売却か賃貸かどっちがお得?メリット・デメリットと判断基準を解説
▶︎マンション売却はオーナーチェンジの場合どうなる?売却の流れ・ポイント・注意点を解説
マンションを賃貸するデメリット
マンションを賃貸する上での大きなデメリットは、空室リスクです。上述した賃貸のメリットの一つである「定期収入」は、入居者がいて始めて得られるものであり、入居者が入っていなければ収入はゼロです。
固定費の支出がある点も賃貸のデメリットといえます。マンションの場合、毎月決まった額の管理費・修繕積立金の支払いが必要になり、さらに毎年の固定資産税や都市計画税の支払いがあります。
またマンションを賃貸に出す場合、マンションの管理面として、修繕費も発生します。修繕積立金はマンション全体についての大規模修繕に対する積立金なので、マンション設備の修繕、入居者が退去した際の原状回復工事、清掃などは所有者が行う必要があります。
マンション売却か賃貸するかの判断基準
ここでは、所有するマンションを売却するか賃貸するかの判断基準について解説していきます。
住宅ローンがあると賃貸はできない
そもそも原則として、住宅ローンがある場合は、そのマンションは賃貸に出すことはできません。住宅ローン契約は、契約者自身の居住用住宅に対するローンであるため、住宅ローン返済中のマンションを無断で賃貸住宅として貸し出す場合は規約違反となり、一括返済を求められることもあります。急な転勤や親の介護など、やむを得ない事情であれば、銀行に相談できるケースもありますが、基本的には住宅ローンで買った住宅を賃貸住宅として貸し出すことはできないと考えておきましょう。
売却であれば、ローンの残債があった場合も、売却で得たお金で返済することで、ローンを完済できます。売却しても残債を返済できない場合は、自己資金で返済するか、新居の住宅ローンと売却後に残った住宅ローンの残債もまとめて借りられる「住み替えローン」を利用するなどの対応方法があります。
関連記事はこちら
▶︎住宅ローンが残っていたらマンション売却は難しい?
再び住む予定があれば賃貸も検討すべき
上述したマンション賃貸のメリットでも言及した通り、再び住む予定があれば賃貸を検討してもよいでしょう。ただし、住宅ローン返済中のマンションは賃貸には出せない点は注意が必要です。具体的に何年後に住む予定なのか、賃貸後はリフォームを行うのかなど、賃貸から自分自身の入居までのプランを立てることが重要となります。
賃貸事業の運営が難しいなら売却した方がよい
マンションを賃貸する際、最初に考えなければいけないのは、不動産賃貸業という、一つの事業として行っていく覚悟が必要なことです。入居者がいなければ、空室を埋めるためのリフォームや家賃の改定、管理会社を変更するなどさまざまな対策を講じる必要があります。
マンションに入居者がいた場合も、入居者の滞納、騒音など近隣住民とのトラブルなど、管理面での責任が伴います。設備の修繕が発生したら、設備を交換するか修繕するのかの判断が必要になりますし、修繕費を抑えるために相見積もりを取るなど、さまざまな課題が発生します。
このように、マンションの賃貸経営はハードルが高いため、慎重に考える必要があります。
長期的にマンション経営を行う気持ちがない場合は、売却を選択した方が無難でしょう。
関連記事はこちら
▶︎不動産売却の「仲介」と「買取」の違いを解説!あなたに合った方法もアドバイスします
まとめ
マンションを売却するか賃貸に出すのかは、住宅ローンが残っているのか、将来的に住む予定があるのかなど、個々人の条件によって異なります。売却するなら、まずはマンション査定が必要です。もし賃貸に出すのであれば、エリア、立地、マンションの状態など、そのマンションに賃貸需要があるのかの見極めがまず必要となります。売却か賃貸かで迷っている場合は、専門家である不動産会社に気軽に相談してみてはいかがでしょうか。