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マンション売却

税金

2023.01.16
マンション売却で損が出た場合、どう処理するべきなのでしょうか。この記事では、マンション売却で損が出た場合の対象法を知りたい人向けに、売却損の基本から確定申告方法、特例、売却損を出さないためのコツまでを解説します。 マンション売却損とは マンションの売却損とは、具体的にどのような状態なのでしょうか。ここでは、マンションの売却損の定義と基本について解説します。 マンション売却損とは譲渡所得がマイナスになった状態 マンション売却損を一言でいうと、「譲渡所得」がマイナスになった状態のことです。所得とは、「収入」から「必要経費」を引いた金額のことです。マンションなどの不動産を売却して得た売却金額という収入から、経費を引いて計算された所得を「譲渡所得」といいます。 譲渡所得は下記の通りです。 ・譲渡所得=売却金額-取得費-譲渡費用 「売却金額」は、売却によって得たお金です。 「取得費」とは、売却したマンションを購入したときに支払った金額で、マンション本体の購入代金のほか、マンションの購入に関連する仲介手数料や税金などの諸費用を合計した金額です。 譲渡費用とは、マンションを売却するためにかかった仲介手数料や税金などの費用の合計です。売却金額から、取得費と、譲渡費用を引いて出た利益は、譲渡益(売却益)といいます。計算の結果がマイナスであれば、譲渡損失(売却損)が出たことになります。マンションの売却損とは、譲渡所得がマイナスになった状態、つまり譲渡損失が出た状態のことです。 または売却時の価格が購入時の価格を下回った場合、「売却損が出た」という表現をすることもあります。ここでは前者の譲渡所得のマイナスを「譲渡損失」、後者の売却価格と購入価格の差を「キャッシュ・アウト」と呼びます。計算方法の違いにより、両者は必ずしも一致しません。 関連記事はこちら ▶︎不動産売却には税金がどれくらいかかるの? マンション売却損が出るのは珍しくない キャッシュ・アウトが起きるのは珍しいことではなく、むしろ赤字になるケースが一般的です。一般社団法人不動産流通経営協会が公表している「不動産流通業に関する消費者動向調査<第26回(2021年度)>」によると、2021年度の全国の買い替え世帯が元の住宅を売却した結果、マイナスの売却差額が発生している世帯は 53.7%、プラスの売却差額が発生している世帯は 37.5%となっています(※8.8%の世帯は差益なし)。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却で儲かった人の共通点とは?損しないコツをご紹介! ▶︎マンション売却を失敗に終わらせないために知っておきたいこと マンション売却損が出た場合の確定申告 マンションで売却損が出た場合、確定申告は必要なのでしょうか。ここからは、税務上の譲渡損失が出た場合の確定申告の対応方法について解説します。 マンションで売却損の場合は確定申告不要だがやるべき 「確定申告」とは、1年間の所得と所得にかかる税金を計算して、申告して納税する手続きです。マンションの売却で売却益が出た場合、確定申告が必要です。マンション売却で売却損(譲渡損失)が出た場合、所得がないため法的には確定申告の必要はありません。 しかし5年以上住んだマイホームのマンションを売却して、売却損が出た場合、確定申告を行って節税できる場合があります。 関連記事はこちら ▶︎マンションを売却したら確定申告は必要? マンション売却損で使える特例 マンション売却損で使える特例は以下の2つです。 (1)居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 マイホームの買い替えをする人が、住宅ローン残高があり、5年以上所有して売却、売却損が出て、面積50㎡以上ある新しいマイホームを購入した場合に使える特例です。 損失分の金額をその年のほかの所得から控除して(差し引いて)、控除しきれなかった分は以降3年間に繰越できます。他の所得から損失分を控除することを「損益通算」、控除しきれない損失分を翌年以降に繰越して控除することを「繰越控除」といいます。 この特例の適用例として、例えば所得が給与所得500万円のみの人が、マンションを売却して1,800万円の損失が出た場合、売却の年に給与所得から500万円の控除、翌年に500万円の控除、翌々年に500万円の控除、4年目の年に300万円の控除が可能です。 (2)特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 上記の「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と同じ内容ですが、「買い替えが条件ではない」、「繰越控除の限度額が異なる」という2点が違います。 この特例の場合、繰越限度額は損失分そのままの金額ではなく、次のように計算します。 繰越限度額=住宅ローンの残債-マンションの売却価格 例えばマンションを売却して1,000万円の譲渡損失が出たとします。このマンションの住宅ローンの残債が2,500万円、マンション売却価格が2,300万円の場合、この特例を使って繰越控除できる限度額は、200万円までとなります。売却損1,000万円をそのまま繰越控除できない点に注意が必要です。 マンション売却損を出さないための対策 キャッシュ・アウトを出さないために、何ができるでしょうか。ここでは、マンション売却損を出さないための対策をお伝えします。 経験豊富な不動産会社に仲介を依頼する マンションの売却は、仲介を依頼する不動産会社の働きにかかっているといえます。仲介の依頼先は、マンションの売却実績が豊富で、信頼できる不動産会社を選びましょう。選ぶ際には、過去の取り引き事例について、売り出し価格と実際の売却額を聞くなど、過去の具体的な販売戦略について確認するのが有効です。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却時の不動産会社を選ぶ3つのポイントを徹底解説! 余裕を持った売却計画を立てる マンションの売却活動を行うと、よく値引き交渉が入ることがあります。中には大きな値引きを要求されるケースもあります。マンションを売り急ぐと、大幅な値下げに応じてしまい、売却損が出る可能性が高くなります。できる範囲で、マイホームの売却は余裕を持った売却計画を立てましょう。 リフォーム不要だが修繕・清掃を行う マンション売却の際に数百万円単位のリフォームを行ってしまうと、売却損になる可能性が高くなります。なぜなら、リフォーム費用はそのまま売却価格に上乗せできないためです。 売却のためのリフォームは不要ですが、修繕・清掃は費用対効果が高くおすすめです。壊れた部分、不具合部分は修繕して、きれいに清掃を行うと、印象がよくなり売却できる可能性が高まります。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却時にリフォームは不要!その理由と高値で売るコツも紹介 ▶︎マンション売却の際にクリーニングはしたほうがいいの? まとめ 自己居住用のマンションの売却で損失が出るケースは多いです。損失分を取り戻すためにも確定申告を行いましょう。また信頼できる不動産会社を選ぶことで、マンション売却を有利に進めることができます。本記事がご参考になれば幸いです。

マンション売却

仲介手数料

税金

2023.01.16
マンション売却を検討する中で、「所有するマンションはどれくらいの価格で売れるのか?」という点も気になる一方で、「どのような費用がかかるのか?」について不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、マンション売却を検討されている方に向けて、費用負担への不安を解消するため、売却時および売却後、そのほかに分けて、マンション売却に際して、どのような費用がかかるのかをご説明します。 マンション売却時にかかる費用 マンション売却時にかかる費用には、「不動産業者に支払うお金」、「税金(印紙税と登録免許税)」、「住宅ローン返済」が挙げられます。 不動産業者に支払うお金 不動産業者に支払うお金は、仲介手数料です。売却を不動産業者に依頼した後、買主を見つけてもらって売買契約が成立すると、仲介(媒介)の手数料として不動産業者に手数料を支払います。この手数料の上限は、以下のように国土交通省告示によって決められています。不動産業者が、消費税の課税事業者である場合には以下の算式で求めた金額に消費税を加えたものが上限額となります。     税金 売却時に必要となる税金には、印紙税と登録免許税があります。 まず印紙税ですが、売買契約書の原本を2通作成する際には、それぞれの売買契約書に印紙を貼付する必要があります。ただし原本を1通作成し、2通目はその複製を持って売主、買主が売買契約書を保有する場合には、印紙税は1通分で済みます。 次に、登録免許税についてですが、マンションに住宅ローンの残債がある場合、住宅ローンを完済した後、売主として抵当権抹消をする必要があります。費用は下表の通りです。なお、抵当権抹消の手続きを司法書士に依頼する場合には、その依頼費用も必要となります。また、所有権移転登記の際の登録免許税については買主が負担するのが一般的ですので、売主負担はないと考えておいて問題ないでしょう。   ※国税庁 印紙税額について: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm  関連記事はこちら ▶︎不動産売却には税金がどれくらいかかるの? 住宅ローン返済 マンションに住宅ローンの残債がある場合、ローンの一括返済が必要になります。マンションの売却収入で住宅ローンを完済できるのであれば問題ありません。しかし、不足が生じる場合には、返済資金の準備が必要であることを留意しておきましょう。 関連記事はこちら ▶︎住宅ローンが残っていたらマンション売却は難しい? 司法書士に支払う費用 抵当権抹消の手続き等を司法書士に依頼する場合には、司法書士への報酬を支払う必要があります。 マンション売却後にかかる費用 マンション売却後にかかる費用には、「税金(譲渡所得税)」があります。譲渡所得税は、マンションなどの不動産を売却した際に生じる、譲渡所得に対して課税される税金です。 譲渡所得税の金額は、マンションを売却した金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算し、税率をかけて算出します。スムーズに税額計算を行うためにも、事前に売却するマンションを購入したときの売買契約書や領収書などの資料を準備しておきましょう。     長期譲渡所得と短期譲渡所得 マンションの所有期間が、マンションを売却した年の1月1日の時点で、5年を超える場合には「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」として譲渡所得税は計算されます。 3,000万円の特別控除 売却するマンションが自宅であり、売買契約の内容などが一定の規定を満たす場合、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。この特例の適用を受けることで譲渡所得税がかからない方も少なくありません。あらかじめ、当特別控除の内容について、確認しておくとよいでしょう。 マイホームを売ったときの特例 国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm 関連記事はこちら ▶︎マンション売却で損が出たらどうする?確定申告と特例を紹介 そのほかに考えておきたい費用 マンションを売却するということは、当然ながらそのマンションは別の人の手に渡るということなので、売主が使っていた家具や家財のうち、契約内容に含まれないものは全て運び出した上で買主に引き渡す必要があります。つまり、売主の家具や家財を移転先に運び出すための引っ越し費用も必要になりますし、不用品を処分する費用も必要になるということです。場合によっては、ハウスクリーニングの費用も必要になるでしょう。 引っ越し費用 引っ越し費用は、部屋の広さや家具や家財の量、転居先までの距離によって異なります。あらかじめ、引っ越し業者に見積もりを取り、どれくらい引っ越し費用が必要になるかを確認しておくと、マンションの売却が決まってから慌てなくて済みます。なお、引っ越しは、マンションの引き渡しまでに行いますが、買主にも都合があるため引っ越しのタイミングが合わない場合もあります。その際には、賃貸物件に仮住まいをする必要が生じる可能性もあるため、余裕を持った資金計画を考えておきましょう。 不用品処分費用 マンションの売却、引っ越しに際して、不用品の処分を検討することもあるでしょう。マンションの売却が決定してから不用品処分にとりかかると慌ててしまう可能性もあります。フリマアプリやリサイクル業者を活用しながら、計画的にお金に換えられるものを売却しつつ、ゴミとして処分するものの量を減らしておいた上で不用品を処分する費用の見積もりを取るようにする視点も大切です。なお、不動産業者にマンションを買取してもらう場合には、不用品の処分もお任せできる場合もあります。 ハウスクリーニング費用 買主に対してハウスクリーニングを、売買に際して条件提示している場合には、ハウスクリーニング費用も必要になります。ハウスクリーニングを条件提示していない場合でも、気持ちよく引き渡すために、清掃は行っておきたいものです。なお、不動産業者にマンションを買い取りしてもらう場合には、ハウスクリーニング費用は不要です。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却の際にクリーニングはした方がいいの? まとめ マンションを売却する際に必要な費用は、売却前、売却後のみならず、そのほかにもさまざまなものが挙げられます。今回、ご紹介したマンションを売却する際に必要となる費用の準備も頭に入れた上で、できる限り余裕のあるスケジュールでマンション売却を進めていくようにしましょう。

マンション売却

税金

2022.11.22
マンション売却のメリットとは、どのようなものが挙げられるでしょうか。この記事では、売却の主なメリットとデメリットについて解説した上で、売却できない状況が続いた場合の対策までご紹介します。 マンション売却の主なメリット マンション売却によるメリットは、売却金額が手に入ること以外にもさまざまなものがあります。ここではマンション売却の主なメリットについて解説します。 まとまった金額が手に入る マンションを売却する最も大きなメリットは、売却を通じてまとまった金額のお金が手に入ることです。マンションを売却すると、マンションの売却価格から、住宅ローンの残債(住宅ローンがある場合)、仲介手数料(※売買価格×3%+6万円+消費税)や登記費用等の諸費用を除いた金額が手元に残ります。 売却で得た利益(譲渡益)には所得税および住民税が課税されます。ただし一定の要件に当てはまるマイホームの場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」という制度を利用することで、譲渡益から3,000万円を控除できます。つまりマンションの売却利益が3,000万円以下であれば、譲渡所得税を支払う必要はありません。 →この記事もチェック!「不動産売却には税金がどれくらいかかるの?」 ※売却価格が400万円超の場合の最大値 管理費・固定資産税の支払いが不要になる マンションを所有している間は、管理費・修繕積立金と、地方税である固定資産税を支払う必要があります。当たり前ですが、マンションを売却することでこれらの固定費の支払いは不要になります。マンションの売却によって、一月あたり数万円程度の固定費がなくなる点は、経済的に大きなメリットといえます。 関連記事はこちら ▶︎不動産売却には税金がどれくらいかかるの? 返金されるお金がある(火災保険料・ローン保証料) マンション売却によって、それまでマンションにかけていた火災保険の保険料の前払い分や住宅ローンの保証会社に支払っていた保証料の未経過分が返金されます。火災保険については、売却後に解約の申請を忘れずに行いましょう。 ローン保証料については、ローン借入時に一括支払いする方法の場合、ローン完済と同時に自動的に返金されます。一括払いではなく月々のローン返済に上乗せする形で保証料を支払っている場合、返金は発生しません。 マンション売却の主なデメリット マンション売却はメリットだけとは限りません。ここからはマンション売却の主なデメリットについて解説します。 売却損が出る可能性がある マンションを売却することで、売却損が出ることがあります。マンションの売却で得られた金額が、購入時にかかった費用を下回っていても、それまでのローン返済分があるため、必ずしも売却損になるわけではありません。 しかしマンションの売却金額よりも、ローンの借入残高が大きい場合、売却時には足りない分の差額を自己資金などで支払う必要があります。自己資金が不足している場合の対策はさまざまです。 ローン残債が売却額以下になるまでマンションの売却を見送るか、次に住む家の購入時に使う住宅ローンに残債を上乗せする「住み替えローン」を利用するなどの方法があります。ただし住み替えローンは、次の物件の購入価格以上のお金を新規に借り入れることになるため、金利等の借入条件が厳しくなる、月々の返済額の負担が大きくなるなどのデメリットがあります。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却で損がでたらどうする?確定申告と特例を紹介 ▶︎より高く!より早く!マンション売却のコツとは? いつ売却できるのかはわからない マンションを売りに出したからといって、すぐに売れるわけではありません。中古マンションを売りに出してから物件が引き渡しされるまでの平均期間は、約4カ月程度といわれています。 しかしマンションは一つとして同じ条件のものはなく、同じマンションの部屋でも、階層や日当たり、間取り、状態等によって条件が異なります。売り出して1カ月で買い手が見つかるケースもあれば、半年以上立っても反応がないこともあります。実際に売却が完了するまでは、いつ売却できるのかはわからない、というのが実情です。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却を最短でこなうコツとは?だれ誰でもできる3つのポイントをご紹介 自宅の場合は引っ越し費用がかかる 自宅マンションの売却を検討しているときに忘れがちな点ですが、自宅を売却すると、次の家に引っ越しするための費用が発生します。 マンションの売却時には新居の購入を伴うことも多く、手元の現金が出ていきがちです。引っ越し費用は引っ越しの距離や家族の人数によっては数十万円になることもあるため、マンションの購入計画には忘れずに計算に入れましょう。 マンションが売却できない場合の対策 マンションの売却はスムーズに運ぶこともあれば、売却できない状況が長期間続くこともあります。ここでは、マンションがなかなか売却できない場合の対策について解説します。 買取業者による「買取」は確実な売却方法 マンションを早く確実に売却したいときは、買取業者による「買取」も検討すべきです。買取なら1カ月もあれば引き渡しまで完了できます。買取の場合、買主は不動産会社であるため、仲介のように売却相手を探す手間も時間もかからないからです。 買取によるメリットは早く売れるだけではなく、下記のようなさまざまなメリットがあります。 ・購入者が不動産会社なので、住宅ローン審査が通らずに売買がキャンセルされることはない ・家具家電などはそのままで売却可能 ・マンション売却後に引き渡す時期を相談できる ・情報公開しないので周囲に知られずにスムーズに売却できる また、不動産買取業者による直接買取の場合、仲介手数料がかからないというメリットもあります。 買取のデメリットは、売却価格が仲介の場合よりも低くなる可能性がある点です。しかし上記の通り、買取によるメリットも多くあります。売却手段の幅を広げる意味でも、売却時には仲介会社だけではなく買取業者にも連絡して、買取金額の確認をしてみてはいかがでしょうか。 関連記事はこちら ▶︎不動産売却の「仲介」と「買取」の違いを解説!あなたに合った方法もアドバイスします 適正な売却価格の設定、不動産会社の変更 マンションがなかなか売却できない主な理由の一つが、売却価格が適正ではないことです。売却価格を不動産会社による査定価格や住宅ローンの残債によって決めるのも手段としては正しいです。 しかし当初の査定価格やローン残債にこだわった結果、市場の相場価格とかけ離れた価格にしてしまっては売却できる可能性は低くなり、本末転倒です。マンションの売買は相手があって成立するものなので、不動産会社と相談しながら、市場価格に準じた適正な売却価格に設定しましょう。 適正な価格設定にもかかわらず、マンションを売却できない際には、不動産会社の変更も一つの手段です。不動産ポータルサイトに情報を掲載していない、定期報告を怠っている、明確なマンションの売却プランがないなど、不動産会社の怠慢や力不足を感じた場合は、より熱心で誠実な不動産会社に仲介を変更することで、売却の可能性を広げることができます。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却で不動産会社を変更すべき?タイミングとリスクを解説 ▶︎マンション売却時の不動産会社を選ぶ3つのポイントを徹底解説! 賃貸は一つの方法だがハードルは高い 自分が住む予定がないマンションは売却するほかに、収益物件として賃貸に出す方法もあります。賃貸に出して入居者が入れば、家賃として毎月安定した収入を得られるメリットがあります。 しかし賃貸経営は空室のリスク対策、入居者のクレーム対応、退去時の原状回復費用の支払いなど、さまざまな課題が存在します。マンションを賃貸に出す場合は、賃貸事業という一つの事業を経営していく覚悟で行う必要があります。 関連記事はこちら ▶︎住まなくなったマンションは売却か賃貸かどっちがお得?メリット・デメリットと判断基準を解説 まとめ マンションの売却はまとまった金額が手に入るなどのメリットも多くある一方で、売れ残りのリスクなどのデメリットも存在します。売却の結果、売却益が出るのか、ローン残債を自己資金で補填する必要があるのか、どのくらいの期間で売れそうか、なかなか自分では見通しがつかない人がほとんどです。売却予定のマンションがあれば、まずは不動産のプロである不動産会社に相談することをおすすめします。

相続

税金

2022.09.09
マンション相続した際、マンションの正確な評価額を計算するにはさまざまな計算が必要です。この記事では、マンション相続でお困りの方に向けて、相続におけるマンションの評価方法、相続税の計算方法、およびマンション相続時に注意すべき点について解説します。 マンション相続時における評価額の考え方とポイント マンション相続の際、相続対象となるマンションを正しく評価する必要があります。ここでは、相続税評価額の概要と計算方法について解説します。 相続税評価額とは 相続が発生した際、相続税の計算をするために、相続対象となる財産が、全部でいくらあるのかを把握して、最終的な相続税の金額が決まります。相続対象となる現金や不動産など、それぞれの財産の種類ごとに評価する基準があります。 現金1億円の場合、相続税評価額はそのまま1億円になりますが、マンションなどの不動産の場合は、別途計算が必要です。基準に基づいて評価された金額を相続税評価額といい、マンションの相続税を計算する際は、相続税評価額を用いて計算されます。 この相続税評価額は、市場で売買されている時価とは異なります。例えば時価5,000万円のマンションの相続税評価額は、5,000万円ではなく、土地、建物を分けて計算するなど、基準に基づいた計算が必要です。マンションの相続税評価額の具体的な計算方法は記事後半で解説します。 相続税は控除額以上の資産がある場合に支払う 相続税には基礎控除があり、相続税は控除額以上の資産がある場合に支払うことになります。相続税の基礎控除は下記の計算式で計算できます。 ・相続税の基礎控除= 3,000万円+600万円×法定相続人の人数 ※法定相続人とは、民法で定められた財産相続できる人のことです。 例えば、法定相続人が1人の場合、相続税の基礎控除額は下記のように計算されます。 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×1人=3,600万円 相続が発生する場合、法定相続人は1人以下にはならないので、マンション含む全ての資産が3,600万円以下ならば、相続税の支払いは不要です。相続人が複数の場合は、基礎控除額が増えます。 例えば夫が亡くなって相続が発生し、法定相続人が妻と子ども2人の計3人であった場合、相続税の基礎控除額は下記の通り、4,800万円になります。 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×3人=4,800万円 この場合、相続対象となる全ての財産が4,800万円以下である場合、相続税の支払いは不要です。 また、配偶者の相続に関しては「配偶者の税額軽減の特例」があり、 1億6,000万円まで、もしくは法定相続分(相続財産の1/2)までは相続税が発生しません。 相続税の計算事例 相続税の計算では、不動産以外にも現金などの資産を全て合計した金額(課税遺産総額)から、控除額を差し引きます。 ・相続税の課税対象額=遺産総額―基礎控除額 相続税の課税対象額が決まったら、相続人ごとに相続税を計算後、最終的な相続税額が決まります。相続税の税率は下記の通りです。 <相続税の税率 早見表> 相続財産に対する法定相続分(財産の取り分)は下記の通り決まっています。 ・配偶者のみの場合:全て ・配偶者と子(直系卑属):配偶者が1/2、子が 1/2を人数で分ける ・配偶者と父母(直系尊属):配偶者が2/3、父母が1/3を人数で分ける ・配偶者と兄弟姉妹(甥・姪):配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を人数で分ける ※配偶者は常に相続人になり、配偶者以外は相続順位が決まっています。 第1順位は子(直系卑属)、第2順位は父母(直系尊属)、第3順位は兄弟姉妹(甥・姪)です。配偶者と子がいる場合、配偶者と子が相続人になります。第1順位の相続人がいる場合、第2~3順位の人は相続人にはなりません。第2順位の相続人がいる場合、第3順位の人は相続人にはなりません。 例えば相続の対象となる財産が、相続税評価額4,800万円のマンションと、マンション以外の資産が現金200万円であった場合、遺産総額は5,000万円となります。相続人が子ども1人のケースでは、相続税の課税対象額は以下の通り計算されます。 5,000万円―3,600万円(3,000万円+600万円×1人)=1,400万円 相続税の課税対象額が1,400万円の場合、相続税率は15%、控除額は50万円となるため、相続税は下記のようになります。 相続税=1,400万円×15%-50万円(控除額)=160万円 別の計算例として、遺産総額が5,000万円で相続人が妻と子ども2人の計3人のケースでは、相続税は下記の通りとなります。 ①相続税の課税対象額を出す 5,000万円―4,800万円(3,000万円+600万円×3人)=200万円 ②相続人それぞれの法定相続分に応じた課税対象額を計算する 妻:200万円×1/2(配偶者の法定相続分割合)=100万円 子どもA:200万円×1/4(子どもの法定相続分割合)=50万円 子どもB:200万円×1/4(子どもの法定相続分割合)=50万円 ③相続税率をかけて相続税を計算する 妻:100万円×10%=10万円 ※妻は配偶者の税額軽減の特例により、相続税は0円になります。 子どもA:50万円×10%=5万円 子どもB:50万円×10%=5万円 よって、このケースの相続税の総額は10万円(5万円+5万円)です。 実際の相続財産の分割方法が法定相続分で分けた場合と異なるケースでは、法定相続分を用いて相続税総額を算出した後に、実際の取り分に応じて計算して、それぞれの最終的な相続税額が決まります。 関連記事はこちら ▶︎マンションを相続したら、相続税はいくらかかるの? マンションの相続税評価額の計算方法 マンションの相続税評価額の計算は、建物と土地の相続税評価額を別々に計算した後、足し合わせることで計算できます。それぞれの計算方法を確認していきましょう。 建物部分の相続税評価額 建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じになります。固定資産税評価額は、市町村から郵送される「固定資産税税明細書」に記載されています。 土地部分の相続税評価額 マンションの土地部分は、マンション全体の土地の評価額を出して、自分の持分割合をかけることで算出できます。 ・土地の相続税評価額=マンションの土地全体面積(㎡)×路線価×持分割合 路線価とは、国が毎年公表する土地の価額のことで、道路ごとに設定されています。路線価は国税庁のHPで確認できます。路線価がない場合、固定資産税評価額に「評価倍率表」の倍率をかけて、相続税評価額を計算します。評価倍率表も国税庁のHPで確認できます。 マンションの相続税評価額の具体的な計算 それでは、マンションの相続税評価額の具体的な計算を行っていきます。あるマンションの固定資産税評価額が500万円、マンションの土地面積が1,100㎡、路線価が60万円、持分割合が1/ 60であった場合、下記の通り計算します。 ①建物部分の相続税評価額=マンションの固定資産税評価額=500万円 ②土地の相続税評価額=1,100㎡×600,000円×1/ 60=1,100万円 ③マンションの相続税評価額=500万円+1,100万円=約1,600万円 このマンションの相続税評価額は1,600万円となります。 マンション相続時に注意すべきポイント 相続では思わぬトラブルから、大きな損失につながることもあります。ここからは、マンション相続時に失敗しないために注意するべきポイントについて解説します。 まずは専門家に相談するべき 相続が発生したら、まずは専門家に相談しましょう。相続手続きは、自分で全て行うこともできますが、特に多くの財産がある場合、複雑な計算や処理を行う必要が発生するため、できれば専門家に依頼した方がよいでしょう。 マンションを含む財産相続に際して、相続税が発生しない場合は、司法書士に依頼して、相続登記を行い名義変更後、マンションを売却あるいは保有する、流れになります。相続税が発生する場合は、複雑な計算が必要になるため、税理士に相談すべきでしょう。もしも相続の分割等でもめる可能性ある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。 相続税の申告・納付期限は相続開始後10カ月以内 上述した通り、相続税基礎控除以上の相続財産がある場合は、相続税の支払いが必要です。相続税の支払いは、相続税の申告・納付期限は相続開始後10カ月以内と決まっていて、現金での一括納付が原則となっています。分割納付などの方法もありますが、利息がかかかります。 支払うべき相続税が高額の場合、マンションなどの不動産を申告期限内に売却して相続税を支払う可能性もあります。通常、マンション等不動産の売却には買い手が見つかるまで時間がかかります。 相続税の納付期限が迫っている場合は、すぐに現金化できる不動産会社による買取という方法も検討すべきでしょう。買取であれば、不動産会社への買取依頼から査定額の決定、売買契約から引き渡しまで、およそ1カ月程度で完了することができます。 買取会社によっては、「買取保証付き仲介」という、期限を決めてマンション販売をスタートし、期限までに販売できなければ、買取を頼めるサービスもあります。いずれにしろ相続においては、相続対象の財産の把握や不動産を売却すべきかの判断など、早め早めに動くことが大切です。 マンションは保有するべきか売却するべきか 分割協議の結果にもよりますが、不動産を相続した場合、売却せずに保有する選択肢もあります。保有後、賃貸用マンションとして賃貸に出す場合は、マンションを賃貸業という事業として運用していく意識が必要となります。また、そもそもそのマンション自体に、賃貸のニーズがあるかの調査なども必要になります。 売却せずに保有して賃貸運用の可能性を探ってみたい場合は、知識の豊富な不動産会社に事前に相談しましょう。 関連記事はこちら ▶︎不動産売却の「仲介」と「買取」の違いを解説!あなたに合った方法もアドバイスします ▶︎住まなくなったマンションは売却か賃貸かどっちがお得?メリット・デメリットと判断基準を解説 まとめ 本記事で解説した通り、マンションの相続から売却までは、マンション含む相続財産の把握、評価額の計算、専門家への依頼、相続方法の選択、マンションの販売活動など、やることがたくさんあります。相続を無事に終えるために、専門家の意見を聞いてやるべき事柄を一つ一つ確実に対応していきましょう。

相続

税金

2022.09.09
将来的に親が所有しているマンションを相続する方の中には、どれくらい税金がかかるのか不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。今回の記事では、マンションを相続予定の方に向けて、相続税の計算方法およびその他にかかるお金についてご説明します。マンションの相続に際して、注意すべきは相続税のことだけではありません。相続してから慌てないように、マンションを相続する際の注意点についてもお伝えします。 相続税の計算方法 相続税は、個別の相続財産ごとに計算されるわけではありません。相続財産全体を把握した上で、以下の相続税の計算方法の手順に従って相続税が課税されます。 相続財産の総額計算 被相続人(亡くなった方)が所有していた相続財産の総額を計算します。財産の種類によっては、評価方法が決められていたり、非課税枠が設定されていたりする場合もあります。 マンションの相続税評価 マンションのような不動産は、建物と土地に分けて相続税評価額を求めます。マンションの建物部分は、固定資産税評価額と同額です。市町村の固定資産税窓口で確認できます。 一方、マンションの土地部分は、マンション全体の土地の相続税評価額に、持分割合を乗じて算出します。路線価のあるエリアであれば路線価方式、路線価のないエリアであれば倍率方式でマンションの敷地全体の相続税評価額を求めた後、マンションの契約書または登記簿謄本等に記載のある持分割合を乗じて求めることができます。 建物部分と土地部分の相続税評価額を合計したものが、マンションの相続税評価額になります。ご自身で確認するのが難しい場合には、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。 法定相続人を確定し、基礎控除額を計算 被相続人が産まれてから亡くなる(事前に調べる場合は現在)までの戸籍謄本を取得して、法定相続人を確定します。法定相続人が確定すると、基礎控除額を次の計算式で算出できます。 基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人 相続税額の総額を計算 相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた金額(課税標準)を、いったん各法定相続人の法定相続分に応じて按分します。その按分した相続財産額に応じた税率を乗じて、相続税を算出して、合計します(相続税額の総額)。 各法定相続人の相続税額を計算 相続税額の総額を実際の相続財産分与に応じて按分し、各相続人が納税する納税額を算出します。 関連記事はこちら ▶︎マンションを相続!どんな手続きが必要なの? マンションを相続すると必要になるお金 マンションを相続して所有する場合、必要になるお金は相続税だけではありません。以下のようなお金が必要になります。「相続したものの、利用予定もなくお金だけが出ていく」という状態を回避するためにも、マンションを相続した後にどのように利用するか、売却も含めた検討を早めに家族間で話し合っておきましょう。 登録免許税 マンションを相続して所有する場合には、法務局でマンションの名義人変更の手続きが必要になります。その手続きに際して、登録免許税を納めます。相続の際の登録免許税は、以下の算式で求めます。 登録免許税額=固定資産税評価額×0.004 固定資産税 毎年1月1日時点における不動産等の固定資産の所有者に対して課税される税金です。マンションを相続すると、マンションの所有者となり、固定資産税の納付義務が生じます。 管理費および修繕積立金 マンションは、管理費と修繕積立金が毎月必要になります。例えば月々の支払いは1~2万円だとしても、年間で考えると20万前後の出費となります。大規模修繕が実施される際には、月々の修繕積立金とは別に、数十万から数百万円の追加徴収が行われるなど、マンション相続のタイミングで大規模修繕が重なってしまった場合には、思わぬ出費がかさむこともあります。 マンションを相続する際の注意点 マンションの相続にかかる相続税について注目するばかりに、マンションを相続してから「こんなはずではなかった」と慌てないようにするため、マンションを相続する際の注意点についてお伝えします。 名義人が被相続人になっているか 相続が発生する前に、相続予定のマンションの登記簿を取得して、名義人を確認してみましょう。所有権移転登記は義務ではありませんし、期限も設けられていません。そのため、場合によっては被相続人に名義変更されていない状態になっている可能性もあります。そのような状態である場合、手続きが煩雑になりますし、放置してしまうと処分(売却等)も難しくなります。念のため、相続発生前にあらかじめ登記簿を確認し、名義人が被相続人になっていない場合は、司法書士等に相談しましょう。 共有名義はできる限り避ける マンションは、現金のように簡単に分割できる種類の財産ではありません。そのため、財産分与についての話し合いがまとまらない際に、「とりあえず共有名義」にしておこうという結論になりがちです。親子、兄弟姉妹のような家族間で共有しているだけの間は、トラブルも起きにくいかもしれません。 しかし、共有者の中からマンションを処分(売却等)したいという声が上がった時などに意見が一致しない可能性もあります。また、共有者が亡くなった後、その共有持分を子や孫などが共有で相続する状況が続けば、共有者の数はさらに増えます。その結果、マンションの処分等を行いたいと思っても、顔も知らない親族等の総意を得る必要が生じる可能性もあり、実行は極めて困難になります。 このような事態が想定されることから、共有は「問題の先送り」と称されることもあります。共有名義はできる限り避け、財産分与の話し合いを行うように心がけましょう。 相続後の利用見通し マンションの相続が発生する可能性がある場合には、時間をかけて家族間で利用の見通しについて、話し合いを持ちましょう。居住予定がないのに相続しても、先にご説明した管理費や修繕積立金等が必要になります。賃貸に出すのであれば、入居者の満足度を維持するために管理も必要になりますし、定期的な修繕も必要になります。話し合いがまとまらないからといって、共有にすれば将来、マンションが処分もできない塩漬け状態になる可能性もあります。話し合いがまとまらない場合には、マンションを売却して得られた収益を分割する選択肢(換価分割)を視野に入れて、マンションの査定依頼を行っておくのも一案です。 ※換価分割 換価分割とは、相続財産を売却して生じた収益を遺産分割する方法をいいます。仲介手数料などの諸費用がかかる分、財産価格の目減りが生じる点がデメリットになります。マンションなど遺産分割しづらい資産を、現預金などの遺産しやすい資産に変えることができる点が最大のメリットといえます。 まとめ 人が亡くなると、親族、知人友人への連絡および対応、葬儀準備や法要、遺品整理など、さまざまなやりとりに追われます。しかし、相続税の申告期限は相続発生から10カ月と決められています。故人への悲しみに暮れている間もないほどの忙しさの中、慌てて相続について考え始めていては、焦る気持ちから誤った判断もしかねません。「まだ相続は先のこと」と考えずに、いざという時にスムーズに手続きを行えるように、あらかじめできることから考え始めてみませんか?

税金

2022.08.09
「マンションを売却したのも初めてで、手続きが多くて大変なのに、確定申告が必要と言われて、頭がいっぱい…」という方はいませんか?マンション売却の際、必ずしも、確定申告が必要なわけではありません。この記事では、マンション売却予定、またはマンション売却を進めている方に向けて、確定申告が必要なケース、確定申告の必要書類について説明を行った上で、申告書の作成方法についても解説していきます。 マンション売却で確定申告が必要な場合ってどんなとき? 確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得に対する納税金額を税務署に申告する手続きのことを言います。 マンションを売却した場合、譲渡所得税(所得税および住民税)が課税されます。確定申告は、マンション売却をした年の翌年の2月16日から3月15日の間に行う必要があります。ただし、全てのケースで確定申告が必要ではありません。マンションを売却して、確定申告が必要となるときは、次の2つのケースです。 マンションの売却益が生じた場合 マンションの売却収入に対する譲渡所得税は、給与所得などその他の所得と切り離して計算される、分離課税によって以下の計算式で算出されます。 譲渡所得税=(収入金額-取得費※1-譲渡費用※2)×税率 ※1 不動産を取得したときに要したお金 ※2 不動産を売却したときに要したお金 収入金額が取得費と譲渡費用の総額を上回る場合は、売却益が生じている状態です。その場合には、確定申告が必要となります。逆に、収入金額が取得費と譲渡費用の総額を下回る場合は売却損が生じている状態であり、譲渡所得税は課税されないため確定申告は不要です。 関連記事はこちら ▶︎不動産売却には税金がどれくらいかかるの? 税制の特例の適用を受けた場合 マンション売却に際して、3,000万円控除の特例※3など所得控除等の税制を活用する場合には、売却益の有無に関わらず、確定申告が必要となります。 ※3 居住用財産を売却したとき、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例 例) マンション売却収入2,000万円、取得費および譲渡費用200万円、3,000万円控除の特例適用を受ける場合、「収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除」は、△1,200万円となります。そのため、譲渡所得税は課税されませんが、特例適用を受けているため確定申告は必要となります。 確定申告に必要な書類とは? 確定申告には、確定申告書の他に、以下のような書類が必要となります。確定申告書については、後段で説明します。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却に必要な書類とは? マンション売却時の売買契約書(コピー) 売却収入が、いくらであったかを示す根拠として必要となります。 マンション売却時の諸費用の領収書(コピー) 仲介手数料、収入印紙代、司法書士の報酬、抵当権抹消のための登録免許税など、売却時に要した諸費用の領収書が必要となります。これらは、先に触れた通り、譲渡費用として収入から差し引ける金額の根拠となります。 マンション取得時の売買契約書や諸費用の領収書(コピー) 譲渡所得税を算出する際の取得費は、「購入金額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いたもの」と「諸費用」を合算して算出します。マンション取得時の売買契約書や諸費用の領収書は、その根拠となります。なお、相続で取得したマンションなどで、取得時期が古く売買契約書や諸費用の領収書が残っておらず、取得費が不明である場合には、概算取得費(マンション売却収入×5%)で計算できます。 売却したマンションの登記事項証明書 売却したマンションの所有権が、買主に譲渡されていることを示すために、売却したマンションの登記事項証明書が必要となります。 本人確認書類 確定申告の際に、本人確認ができる運転免許証やマイナンバーカードなどの書類が必要になります。 特例適用に必要な書類 特例適用を受ける場合には、一定の要件を満たしていることを示すために、必要な書類を準備する必要があります。例えば、3,000万円控除の特例の適用を受ける場合には、戸籍の附票など、売却したマンションに居住していたことを証明する書類が必要となります。 申告書を作成してみよう マンション売却に際して、確定申告が必要となる場合には申告書の作成が必要になります。その手順について順を追って説明します。 譲渡所得の内訳書を作成する まず、確定申告書の記載をする前に、内訳書の作成をします。内訳書には、「売買契約の概要」、「マンションをいくらで売却したのか」、「マンションを取得する際、いくらかかったのか」、「売却益(損)はいくらなのか」などを記入します。先にご紹介した確定申告に必要な書類がないと作成できないため、書類収集を行ってから取り掛かりましょう。 引用:国税庁「譲渡所得の内訳書」 内訳書は、「税務署か国税庁HPで様式を入手して、手書きで作成」、または「国税庁の確定申告書作成コーナーで必要事項を入力して作成」できます。 確定申告書B様式を作成する 譲渡所得についても記入欄のある確定申告書B様式で、確定申告書を作成します。 まず、第一表には、確定申告を行う方の住所やマイナンバー、氏名を記入した後、譲渡所得税は分離課税で計算されるため「種類」の欄にある「分離」に〇をします。 引用:国税庁「申告書B【令和3年分以降用】」 また、「所得から差し引かれる金額」の該当する控除の欄に、金額を記入します。 引用:国税庁「申告書B【令和3年分以降用】」 第一表には、他にも記載するところがありますが、いったん第三表の作成を行います。 引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」 先に作成した内訳書を基にして、下にオレンジ色で示した部分の該当する部分に収入金額と所得金額を書き入れます。 引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」 短期譲渡の場合は「一般分」、長期譲渡の場合は、所有期間が10年超のマンションであれば「軽課分」、それ以外は「一般分」に当たるのが一般的です。不安がある場合には、税務署に尋ねるとよいでしょう。 引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」 オレンジ色で示した「64 65対応分」の欄には、先に記入した所得金額欄の短期譲渡所得の金額、「66 67 68対応分」の欄には所得金額欄の長期譲渡所得の金額を転記します。 引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」 分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項は、内訳書から転記します。 ここまで、必要事項を記入できれば、後は番号の指示に従って計算を進めていけば、確定申告書が完成します。給与収入など、マンション売却収入以外にも収入がある方は、それも併せて申告が必要です。 確定申告書も、税務署か国税庁HPで様式を入手して、手書きで作成することもできますが、内訳書とともに国税庁の確定申告書作成コーナーで必要事項を入力して作成するほうが、計算も自動で行われるので分かりやすいでしょう。なお、パソコンを使い慣れていない方は、先ほど示した部分までの情報を確認した上で、確定申告会場で申告資料を作成することもできます。 まとめ 経験がない方にとって、確定申告をすることは非常に難しい作業であると感じるかもしれません。ただ、全てのケースで確定申告が必要ではありませんし、必要な資料を整えれば作成自体は決して難しいものではありません。 とはいえ、不慣れなことには時間がかかる可能性もありますので、確定申告の時期ギリギリになってから取り掛かるのではなく、余裕を持って資料集めや申告書作成を行いましょう。一人では不安に感じる方は、不動産会社や税務署、税理士にあらかじめ相談されてみてはいかがでしょうか。