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2022.09.09

相続

税金

マンション相続時は相続税評価額が重要!基礎知識と計算方法を解説

マンション相続した際、マンションの正確な評価額を計算するにはさまざまな計算が必要です。この記事では、マンション相続でお困りの方に向けて、相続におけるマンションの評価方法、相続税の計算方法、およびマンション相続時に注意すべき点について解説します。

マンション相続時における評価額の考え方とポイント

マンション相続の際、相続対象となるマンションを正しく評価する必要があります。ここでは、相続税評価額の概要と計算方法について解説します。

相続税評価額とは

相続が発生した際、相続税の計算をするために、相続対象となる財産が、全部でいくらあるのかを把握して、最終的な相続税の金額が決まります。相続対象となる現金や不動産など、それぞれの財産の種類ごとに評価する基準があります。

現金1億円の場合、相続税評価額はそのまま1億円になりますが、マンションなどの不動産の場合は、別途計算が必要です。基準に基づいて評価された金額を相続税評価額といい、マンションの相続税を計算する際は、相続税評価額を用いて計算されます。

この相続税評価額は、市場で売買されている時価とは異なります。例えば時価5,000万円のマンションの相続税評価額は、5,000万円ではなく、土地、建物を分けて計算するなど、基準に基づいた計算が必要です。マンションの相続税評価額の具体的な計算方法は記事後半で解説します。

相続税は控除額以上の資産がある場合に支払う

相続税には基礎控除があり、相続税は控除額以上の資産がある場合に支払うことになります。相続税の基礎控除は下記の計算式で計算できます。

・相続税の基礎控除= 3,000万円+600万円×法定相続人の人数
※法定相続人とは、民法で定められた財産相続できる人のことです。

例えば、法定相続人が1人の場合、相続税の基礎控除額は下記のように計算されます。
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×1人=3,600万円

相続が発生する場合、法定相続人は1人以下にはならないので、マンション含む全ての資産が3,600万円以下ならば、相続税の支払いは不要です。相続人が複数の場合は、基礎控除額が増えます。

例えば夫が亡くなって相続が発生し、法定相続人が妻と子ども2人の計3人であった場合、相続税の基礎控除額は下記の通り、4,800万円になります。
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×3人=4,800万円

この場合、相続対象となる全ての財産が4,800万円以下である場合、相続税の支払いは不要です。
また、配偶者の相続に関しては「配偶者の税額軽減の特例」があり、 1億6,000万円まで、もしくは法定相続分(相続財産の1/2)までは相続税が発生しません。

相続税の計算事例

相続税の計算では、不動産以外にも現金などの資産を全て合計した金額(課税遺産総額)から、控除額を差し引きます。

・相続税の課税対象額=遺産総額―基礎控除額

相続税の課税対象額が決まったら、相続人ごとに相続税を計算後、最終的な相続税額が決まります。相続税の税率は下記の通りです。

<相続税の税率 早見表>

相続税評価額早見表

相続財産に対する法定相続分(財産の取り分)は下記の通り決まっています。
・配偶者のみの場合:全て
・配偶者と子(直系卑属):配偶者が1/2、子が 1/2を人数で分ける
・配偶者と父母(直系尊属):配偶者が2/3、父母が1/3を人数で分ける
・配偶者と兄弟姉妹(甥・姪):配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を人数で分ける
※配偶者は常に相続人になり、配偶者以外は相続順位が決まっています。

第1順位は子(直系卑属)、第2順位は父母(直系尊属)、第3順位は兄弟姉妹(甥・姪)です。配偶者と子がいる場合、配偶者と子が相続人になります。第1順位の相続人がいる場合、第2~3順位の人は相続人にはなりません。第2順位の相続人がいる場合、第3順位の人は相続人にはなりません。

例えば相続の対象となる財産が、相続税評価額4,800万円のマンションと、マンション以外の資産が現金200万円であった場合、遺産総額は5,000万円となります。相続人が子ども1人のケースでは、相続税の課税対象額は以下の通り計算されます。
5,000万円―3,600万円(3,000万円+600万円×1人)=1,400万円

相続税の課税対象額が1,400万円の場合、相続税率は15%、控除額は50万円となるため、相続税は下記のようになります。
相続税=1,400万円×15%-50万円(控除額)=160万円

別の計算例として、遺産総額が5,000万円で相続人が妻と子ども2人の計3人のケースでは、相続税は下記の通りとなります。

①相続税の課税対象額を出す
5,000万円―4,800万円(3,000万円+600万円×3人)=200万円

②相続人それぞれの法定相続分に応じた課税対象額を計算する
妻:200万円×1/2(配偶者の法定相続分割合)=100万円
子どもA:200万円×1/4(子どもの法定相続分割合)=50万円
子どもB:200万円×1/4(子どもの法定相続分割合)=50万円

③相続税率をかけて相続税を計算する
妻:100万円×10%=10万円
※妻は配偶者の税額軽減の特例により、相続税は0円になります。
子どもA:50万円×10%=5万円
子どもB:50万円×10%=5万円
よって、このケースの相続税の総額は10万円(5万円+5万円)です。

実際の相続財産の分割方法が法定相続分で分けた場合と異なるケースでは、法定相続分を用いて相続税総額を算出した後に、実際の取り分に応じて計算して、それぞれの最終的な相続税額が決まります。

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▶︎マンションを相続したら、相続税はいくらかかるの?

マンションの相続税評価額の計算方法

マンションの相続税評価額の計算は、建物と土地の相続税評価額を別々に計算した後、足し合わせることで計算できます。それぞれの計算方法を確認していきましょう。

建物部分の相続税評価額

建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じになります。固定資産税評価額は、市町村から郵送される「固定資産税税明細書」に記載されています。

土地部分の相続税評価額

マンションの土地部分は、マンション全体の土地の評価額を出して、自分の持分割合をかけることで算出できます。

・土地の相続税評価額=マンションの土地全体面積(㎡)×路線価×持分割合

路線価とは、国が毎年公表する土地の価額のことで、道路ごとに設定されています。路線価は国税庁のHPで確認できます。路線価がない場合、固定資産税評価額に「評価倍率表」の倍率をかけて、相続税評価額を計算します。評価倍率表も国税庁のHPで確認できます。

マンションの相続税評価額の具体的な計算

それでは、マンションの相続税評価額の具体的な計算を行っていきます。あるマンションの固定資産税評価額が500万円、マンションの土地面積が1,100㎡、路線価が60万円、持分割合が1/ 60であった場合、下記の通り計算します。

①建物部分の相続税評価額=マンションの固定資産税評価額=500万円
②土地の相続税評価額=1,100㎡×600,000円×1/ 60=1,100万円
③マンションの相続税評価額=500万円+1,100万円=約1,600万円
このマンションの相続税評価額は1,600万円となります。

マンション相続時に注意すべきポイント

相続では思わぬトラブルから、大きな損失につながることもあります。ここからは、マンション相続時に失敗しないために注意するべきポイントについて解説します。

まずは専門家に相談するべき

相続が発生したら、まずは専門家に相談しましょう。相続手続きは、自分で全て行うこともできますが、特に多くの財産がある場合、複雑な計算や処理を行う必要が発生するため、できれば専門家に依頼した方がよいでしょう。

マンションを含む財産相続に際して、相続税が発生しない場合は、司法書士に依頼して、相続登記を行い名義変更後、マンションを売却あるいは保有する、流れになります。相続税が発生する場合は、複雑な計算が必要になるため、税理士に相談すべきでしょう。もしも相続の分割等でもめる可能性ある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

相続税の申告・納付期限は相続開始後10カ月以内

上述した通り、相続税基礎控除以上の相続財産がある場合は、相続税の支払いが必要です。相続税の支払いは、相続税の申告・納付期限は相続開始後10カ月以内と決まっていて、現金での一括納付が原則となっています。分割納付などの方法もありますが、利息がかかかります。

支払うべき相続税が高額の場合、マンションなどの不動産を申告期限内に売却して相続税を支払う可能性もあります。通常、マンション等不動産の売却には買い手が見つかるまで時間がかかります。

相続税の納付期限が迫っている場合は、すぐに現金化できる不動産会社による買取という方法も検討すべきでしょう。買取であれば、不動産会社への買取依頼から査定額の決定、売買契約から引き渡しまで、およそ1カ月程度で完了することができます。

買取会社によっては、「買取保証付き仲介」という、期限を決めてマンション販売をスタートし、期限までに販売できなければ、買取を頼めるサービスもあります。いずれにしろ相続においては、相続対象の財産の把握や不動産を売却すべきかの判断など、早め早めに動くことが大切です。

マンションは保有するべきか売却するべきか

分割協議の結果にもよりますが、不動産を相続した場合、売却せずに保有する選択肢もあります。保有後、賃貸用マンションとして賃貸に出す場合は、マンションを賃貸業という事業として運用していく意識が必要となります。また、そもそもそのマンション自体に、賃貸のニーズがあるかの調査なども必要になります。

売却せずに保有して賃貸運用の可能性を探ってみたい場合は、知識の豊富な不動産会社に事前に相談しましょう。

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まとめ

本記事で解説した通り、マンションの相続から売却までは、マンション含む相続財産の把握、評価額の計算、専門家への依頼、相続方法の選択、マンションの販売活動など、やることがたくさんあります。相続を無事に終えるために、専門家の意見を聞いてやるべき事柄を一つ一つ確実に対応していきましょう。

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