logo
main_visual

記事一覧

不動産売却には税金がどれくらいかかるの?

税金

2022.08.09
マンションの売却を検討しているものの、実際に売却したらどれくらいの税金がかかるのか、不安に感じている人もいるのではないでしょうか。この記事では、マンションの売却にかかる税金についての不安を解消するため、売却をすると「どんな税金」が「どれくらいかかるのか」について説明するとともに、利用できる特例についてもご紹介します。 不動産売却にかかる税金とは? マンションなどの不動産売却時にかかる税金の概要について説明していきます。 関連記事はこちら ▶︎マンションを売却したら確定申告は必要? 譲渡所得税 所有する不動産(土地・建物)、株式、貴金属などを、売却して得た利益に課税される税金が、譲渡所得税(所得税と住民税が含まれる)です。なお、不動産の売却収入に対する譲渡所得税は、給与所得などその他の所得と切り離して計算される、分離課税によって以下の計算式で算出されます。 譲渡所得税=(収入金額-取得費-譲渡費用)×税率 短期譲渡と長期譲渡 譲渡所得税の税率は、「短期譲渡」と「長期譲渡」で異なります。どちらに該当するかは、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えているか否かで判別されます。不動産の所有期間が5年以下である場合には短期譲渡、5年超である場合には長期譲渡となります。それぞれの税率は以下の通りです。   税率 短期譲渡 39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%) 長期譲渡 20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%) 取得費 取得費は、不動産を取得したときに要したお金のことです。取得費には、以下のようなものが該当します。 ・土地や建物の購入代金、建築代金 ・購入手数料(仲介手数料) ・設備費 ・造成費用・改良費 ・測量費 なお、不動産の取得費が不明な場合は、売却金額の5%を取得費とすることもできます。これを概算取得費といいます。 譲渡費用 譲渡費用は、不動産を売却したときに要したお金のことです。譲渡費用には、以下のようなものが該当します。 ・仲介手数料 ・印紙税(売主が負担したもの) ・売買契約締結後に支払った違約金 譲渡費用は売却のために直接かかった費用が該当するため、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のための費用、売却代金を取立てるための費用などは譲渡費用になりません。 その他の税金 譲渡所得税以外に、印紙税、登録免許税(抵当権抹消)、仲介手数料の消費税が必要となる場合があります。 マンション売却時に利用できる特例がある!? 不動産売却時に、利用できる特例についてご紹介します。 3,000万円控除の特例 3,000万円控除の特例(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)は、居住用財産を売却したときに、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。この特例の適用を受ける場合には、以下のような一定の条件を満たす必要があります。 ・居住用不動産であること。以前に住んでいた不動産である場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却されること ・売却の年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと ・売却の年の前年および前々年にマイホームの買い替えやマイホームの交換の特例などの適用を受けていないこと ・売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係でないこと 長期譲渡の税率軽減の特例 長期譲渡の税率軽減の特例は、居住用財産を売却して、一定の要件に当てはまるときに、長期譲渡所得の税額を通常よりも低い税率で計算することができるものです。この特例は、先にご紹介した、3,000万円控除の特例と併用することができます。 ・居住用不動産であること。以前に住んでいた不動産である場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却されること ・売却した年の1月1日において不動産の所有期間が10年を超えていること ・売却の年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと ・売却の年の前年および前々年にマイホームの買い替えやマイホームの交換の特例などの適用を受けていないこと ・売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係でないこと ■軽減税率 課税長期譲渡所得金額(=A)※1 税額※2 6,000万円以下の部分 A×14% 6,000万円超の部分 (A-6,000万円)×20%+600万円 2013年から2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。 マンション売却には税金がどれくらいかかるのか? 所有期間15年のマンションを4,500万円で売却した場合に、税金がどれくらいかかるのかシミュレーションを行います。なお、取得費は概算取得費で計算し、譲渡費用は仲介手数料のみかかるものとします。また、3,000万円控除の特例と長期譲渡の税率軽減の特例の適用を受けるものとします。 1.取得費(概算) 4,500万円×5%=225万円 2.譲渡費用(仲介手数料) (4,500万円×3%+6万円)×1.1%(消費税)=155.1万円 ■仲介手数料の速算表(下記計算結果に消費税が加わる) ※1 課税長期譲渡所得金額=(土地建物を売った収入金額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除 ※2 2013年から2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。 3.譲渡所得 収入金額4,500万円-取得費225万円-譲渡費用155.1万円=4,119.9万円 4.3,000万円控除の特例適用 譲渡所得4,119.9万円-控除3,000万円=1,119.9万円 5.長期譲渡の税率軽減の特例の適用による税額 1,119.9万円×14.21%(所得税+住民税+復興特別所得税)=159.1377万円 この場合、およそ159万円の税金がかかるという結果になりました。 実際には、印紙税や抵当権抹消費用にかかる登録免許税、司法書士の依頼費用などが譲渡費用に加わります。また、今回は取得費を概算取得費で計算していますが、売却するマンションの売買契約書が手元にあり、具体的な取得費が分かる場合には、今回よりも大きな金額を収入から差し引くことができます。 つまり、譲渡所得が少なくなるため、税額はシミュレーション結果を下回る金額になる可能性が高いでしょう。なお、譲渡所得(収入から取得費、譲渡費用、3,000万円控除を差し引いた金額)がマイナスになる場合、申告は必要ですが譲渡所得税は課税されません。 今回のシミュレーションを参考にして、所有するマンションの場合、どれくらいの税金がかかるのかを、ご自身で計算して大まかな税額を把握してみるとよいでしょう。 まとめ マンションを売却する際にかかる税金は、主に譲渡所得税です。しかし、説明した通り、マンションの売却収入を取得費などが上回る場合には、譲渡所得税はかかりません。不動産会社の査定結果など、想定される売却価格をもとにして、あらかじめ税金がどれくらいかかるのかを考えておくことで、不安を感じながら売却を進める必要もなくなります。まずは、不動産業者に気軽に相談されてみてはいかがでしょうか。
不動産売却の「仲介」と「買取」の違いを解説!あなたに合った方法もアドバイスします

仲介と買取

2022.08.09
マンションを売却する際に、売買の仲介を依頼するか、買取サービスを頼むかで迷っている方は多くいらっしゃいます。本記事では、仲介と買取それぞれの特徴と違いをお伝えした上で、仲介か買取かを選ぶ際のポイントについてお伝えします。 マンション売却「仲介」と「買取」の違い マンションの売却の際は、不動産会社に仲介を依頼する場合と、買取を依頼する場合の2つのパターンがあります。はじめに、仲介と買取の違いについて詳しくみていきましょう。 売却先(購入者)が違う マンション売却において仲介と買取では、マンションの売却先(購入者)が異なります。不動産会社に仲介を依頼する場合、マンションの購入者は不特定多数の人になります。多くの場合、購入者は個人で自宅として住むために、住宅ローンを利用して購入する形になります。 買取の場合のマンションの売却先は、買取を行う不動産会社になります。不動産会社がマンションを買い取る目的は転売です。一般的に購入後にリフォームもしくはリノベーションを施して、不動産価値を高めてから販売します。 ただし、仲介会社が仲介に入る形で、買取の不動産会社が購入者になるケースもあり、その場合の売買金額は、個人が購入する場合と同様に、市場価格に準じた購入金額になります。 販売スピードが違う マンション売却においては、仲介よりも買取のほうが圧倒的に早く売却することができます。不動産会社に仲介を依頼して販売する場合、いつ売れるか分からないことを念頭に置く必要があります。販売開始してすぐに売れるケースもあれば、3カ月後や半年後、場合によっては1年経過してもなかなか売却できないこともあります。 一方、不動産会社に買取を依頼する場合、提示された買取価格に対して売主が同意すれば、早ければ3日以内で売買契約を結ぶことが可能です。 販売金額が違う マンションを売却する場合、なるべく高めに販売したいものです。仲介によってマンションを売却する場合は、そのときの不動産市場の相場価格に準じた売却価格で成約するのが通常です。 一方、不動産会社による買取の場合、仲介による販売価格よりも3~4割程度は安めの買取価格になる傾向があります。もちろん不動産会社によって買取価格は異なりますが、市場価格に比べるとかなり低額になるという点は変わりません。買取を行う業者と直接やりとりができれば、仲介手数料(売買価格が400万を超える場合の手数料:売買価格×3%+6万円+税)はかかりません。 また買取のメリットとしては、買主側のローン審査などなく、確実に売却できる点、売却予定のマンションに残置物(家具や荷物など)があってもそのまま買い取ってもらえる点、売買が成立して決済完了後にすぐに引き渡しではなく、引き渡しまでに猶予期間を設定する「引き渡し猶予」がつけられる点などが挙げられます。 関連記事はこちら ▶︎マンション買取は損?注意点、失敗事例、成功させるためのポイントを解説 マンション売却「仲介」と「買取」の具体的な流れ マンション売却において、仲介と買取では、売却に至るまでのステップが異なります。ここからは、仲介と買取についての具体的な流れについて確認します。 仲介の流れ 不動産会社に仲介を依頼する形でマンションを売却するまでには、次のようなステップがあります。 ⓵マンションの査定の依頼 マンション売却のための最初のアクションは、不動産会社にマンションの査定の依頼をすることです。不動産会社に個別にコンタクトを取ってもよいですし、マンションの一括査定サイトに依頼するのも手間がかかりません。いずれにせよ仲介での査定額はチャレンジ価格か、現実的な価格か見極めが難しいため、1社だけでなく複数の不動産会社に査定してもらうことも重要です。 ②不動産会社からの査定額の提示 不動産会社から査定結果が提示されます。この際、他の会社より著しく高い査定価格を提示した会社は注意が必要です。媒介契約を得るために、わざと相場より高い査定額を提示する会社が存在するからです。マンション販売実績が豊富で、やり取りがスムーズにできて担当者の人柄も信頼できる会社を選びましょう。 ③媒介契約の締結 仲介を依頼する会社が決まったら媒介契約を結びます。媒介とは仲介と同じ意味の言葉です。媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。 一般媒介は一つの不動産会社に決めずに、複数の会社に媒介を依頼する形式です。一般媒介の場合、不動産会社の立場から考えると、がんばって売却活動を行っても、他の会社が契約を行うと収益はゼロになるため、販売の優先度は低くなります。 一方、専任媒介契約は、専任媒介によって売主からの手数料が確定するため、不動産会社は本腰を入れて販売活動をしてくれることが期待できます。また専任と専属専任は契約内容がほとんど変わりませんが、専任は自分で買主を見つけられるといったメリットがあります。 ④販売活動 仲介を依頼した不動産会社によって、レインズへの登録、ポータルサイト広告、自社のホームページに情報掲載、内見の対応といった販売活動が行われます。 レインズとは、不動産会社をつなぐネットワークシステムのことで、売主のマンションがレインズに登録されると、他の会社にも売却情報が共有されます。マンションの内見については、売却予定のマンションが自宅であれば同席し、空室であれば仲介会社にお任せできます。 ⑤買主との売買契約 買主が見つかり、売主と買主双方で、価格面や条件面で折り合いがついたら売買契約を結びます。売買契約の際、買主から売主に対して手付金が支払われることが一般的です。 ⑥買主への不動産の引き渡しと残金決済 売買契約成立後に、マンションの引き渡し日程が決定します。引き渡しがいつになるのかは、売主と買主双方の状況によります。引き渡し日と同日に売買代金の決済が行われて、不動産の売却は完了します。ただし、売買契約締結後、買主がローン審査に通らなかった場合の契約解除や、買主が何らかの事情で手付金を放棄して契約を解除するなど、契約が不成立になるケースもあります。 買取の流れ マンションの買取を依頼した場合の流れは次の通りです。 ⓵不動産の査定の依頼 まずは、マンションの買取サービスを行っている不動産会社を探して依頼をします。仲介のときと同様に、複数の不動産会社に依頼してみましょう。不動産会社とひと口に言っても、仲介専門や管理専門の不動産会社があるので、依頼前に会社のホームページなどを確認しましょう。買取価格がオンライン上で分かる査定サイトなら、気軽に売却金額の目安を調べられます。 ②不動産会社から、査定額の提示 不動産会社から、買取査定額が提示されます。査定は机上査定で大まかな価格が提示され、現地で担当者による詳細な査定が行われた後に、最終的な買取額が決まります。 ③売買契約・決済・引き渡し 売主側が、不動産会社のマンションの買取金額に納得したら、売買成立です。売主側の都合に合わせて、決済そしてマンションの引き渡しという流れになります。会社規模にもよりますが、およそ1カ月前後で売却が完了するケースが一般的です。 関連記事はこちら ▶︎不動産売却の流れを徹底解説!初心者が損しないためのポイントもお伝えします 「仲介」か「買取」かを選ぶ際のポイント ここではマンション売却の際に、仲介で売るか買取で売るかを選ぶためのポイントにご説明します。 手間や時間がかかってもなるべく高く販売したい場合は「仲介」 マンション売却のタイムリミットがない場合は、基本的には仲介による売却がおすすめです。理由は上述の通り、仲介であれば市場価格に応じた金額で売却が可能であるためです。仲介のデメリットは、いつ売れるか分からない点です。不動産会社とよく相談して、市場相場に見合った現実的な価格設定をすることで、早期売却の可能性を高めることができます。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却のメリットとデメリットとは?売却できない場合の対策まで解説 売却を急いでいる場合は「買取」・後腐れなく売却したい 急いでマンションを売却して現金化したい場合は、不動産会社による買取が最も早い方法となります。また、周囲に売却活動を知られたくない、あるいは一般の買主に売ると気を遣う等の心配がある場合も、不動産会社による買取がおすすめです。 ただし上述の通り、売却価格は市場価格よりも3~4割は安くなるデメリットもあるため、注意が必要です。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却を最短で行うコツとは?誰でもできる3つのポイントをご紹介 売却したい期限に余裕があるなら「買取保証付仲介」→「買取」 「今すぐに売却する必要はないが、大体このくらいまでには売却をしておきたい」という場合は、ひとまず仲介でマンションを市場に売りに出し、タイムリミットが来たら買取を依頼するという方法も一つの手です。最初の売り出し価格を、市場価格よりも安めに設定することで、早期売却の確率を上げることもできます。 関連記事はこちら ▶︎住まなくなったマンションは売却か賃貸かどっちがお得?メリット・デメリットと判断基準を解説 ▶︎マンション買取保証とは?買取保証のメリット・デメリットとポイントを解説 まとめ 本記事では、マンション売却の「仲介」と「買取」の特徴と違いについてお伝えしました。マンション売却の必要性がある際は、まずは相場を知るくらいの気軽な気持ちで、不動産会社に相談をしたり、査定を依頼したりすることをおすすめします。
不動産売買の悩みや課題を解決!注目のiBuyerとは

iBuyer

2022.02.25
住宅の売却を検討しているものの、不動産売買の難しさや手間から二の足を踏んでいるという方は少なくありません。そこで不動産を簡単にスムーズに売却する方法としてAI技術を取り入れたiBuyerという不動産売買のビジネスモデルが今、注目を集めています。この記事では基本的な概要からどんな方に向いているのかまで、iBuyerについて詳しく解説していきます。 iBuyerとは? 「iBuyer」とは、不動産売買ビジネスモデルのひとつで、AIのアルゴリズムを使って不動産の価格を査定し、査定価格で不動産会社が不動産の売主から直接買取る仕組みをいいます。不動産テックが早くから広まったアメリカでは、すでに2014年頃から運用がスタートしました。   不動産会社が不動産を買取るサービスは従来からありますが、従来の買取サービスとiBuyerは大きく異なります。従来の買取サービスは、相場よりも安値で不動産会社が買取り、修繕等を施すなど付加価値を付けて、買取価格より高い価格で再販して利益を得る「買取再販」を見込んだビジネスモデルが主流です。   一方、iBuyerは不動産会社が不動産市場における適正価格を算出したうえで買取るため、売主にとって従来の買取サービスより高値で売却できる可能性が高いといえます。   iBuyerが、不動産の適正価格を算出できるのは、AIを活用しているからです。従来の不動産の価格査定は、不動産会社のデータベースからエリアや築年数、広さ、間取り等が類似する成約データを参考にして、経験をもとに人によって算出されます。ただ、類似しているとはいえ、まったく同じ不動産はないため、細かな価格調整を行う必要があります。また、成約時期は様々なので、市場動向を加味すると、価格調整はより複雑になります。   iBuyerでは、膨大な成約データをもとに、エリアや築年数、広さ、間取り等だけでなく、設備や建材等に加えて市場動向も考慮して、AIがより細かく価格調整を行います。そのため、経験といった曖昧な価格査定ではなく、適正価格を算出することができるのです。   不動産売買の課題とは? 不動産売買と聞くと、「難しい」、「手間がかかりそう」と考える方は多いでしょう。   不動産売買が「難しい」と感じるのは、不動産会社によって査定結果も対応も様々なうえに日常的な取引ではないため、判断基準がわかりにくいといった理由が挙げられます。   不動産の売却を検討し複数の不動産会社に価格査定の依頼を行うと、各社の査定価格はバラバラなことがあります。それは各社がそれぞれの不動産成約データを参考にし、さらに個々の経験をもとに算出されるからです。   また様々な査定価格に目を通して、一番高く査定をしてくれた会社に売却の依頼をしても、その価格で購入してくれる買主が現れるわけではありません。「査定価格=売却できる価格」ではないからです。査定価格で売却を開始しても、買主が一向に現れず、予定していた時期になっても売却ができないといった事態に陥る可能性もあります。   市場に長く売却物件として残ってしまうと買主から足元をみられて値引き交渉をされたり、不動産会社から売却価格の見直しを勧められたりすることもあります。そのような状況になれば、売主としては焦りを感じてしまい、早く売却したいという想いから、市場価格よりも安く売り急いでしまうという可能性もあります。   さらに、不動産売買には手間もかかります。購入検討者が現れるたびに、内覧の対応を行わなければなりません。居住中の物件の場合、そのたびに片付けたり、予定を空けたりしておく必要があり、必要なこととわかってはいても煩わしさを感じるときもあるでしょう。 なかには物件の生活感をなくし、より広く見せるために、売却活動中は仮住まいをするケースもあり、いつ売却できるかわからないなか、費用面でも不安がつのる日々を送るといった方もいます。   このような不動産売買における売主の悩みや課題を解決してくれるのがiBuyerです。不動産売買をスムーズに行いたいという方にとって、大きな助けとなる可能性を秘めているのです。   iBuyerが適しているのはどんな人? iBuyerは、どのような人に適しているのでしょうか。   売り出しにかかる手間を省きたい 不動産売買における課題として「手間がかかる」という点をご説明しましたが、不動産売買にかかる手間を省きたいという方にとって、iBuyerは大きなメリットとなります。   例えば、iBuyerを利用すれば、内覧の準備や対応の手間を省くことができます。現在、内覧の手間を省く試みとしてVR技術を活用し、購入検討者が現地に行かなくても物件の内覧ができるようになりましたが、このVR技術による物件内覧が主に実施されているのは、賃貸物件です。購入となると、大きな金額の買い物であるため、VR技術による物件内覧だけではなかなか購入の決断には至らないのが実情です。   iBuyerは、不動産会社が直接、買取る仕組みです。そのため、購入検討者が、都度、内覧に訪れることはありません。また、従来の不動産の仲介会社に複数、価格査定を依頼すると、複数の不動産会社が訪問して内覧することになります。しかし、iBuyerの場合、ほぼ1回の訪問査定のための内覧で終わるため、対応の手間も煩わしくありません。   早く現金化したい   iBuyerは、早く不動産を現金化したいと考える方にも適しています。   例えば、買替の場合、新しく購入する不動産の決済スケジュールが決まっています。その決済資金に、現在所有する不動産の売却資金を充てることを予定している場合、売却が思うように進まないと焦ってしまうものです。   もちろん、従来の買取サービスを利用することもひとつの方法ですが、不動産会社によって異なる査定価格をもとに、相場の6~8割といった安値で買取を余儀なくされることがあります。この場合、早く現金化できるのはありがたいものの、新しく購入する不動産の資金が不足してしまうといった懸念が生じてしまうのです。   その点、iBuyerであれば、相場の6~8割といった曖昧な買取価格ではなく、その不動産の適正価格で、不動産会社が買取ってくれる安心があります。早く、しかも適正価格で売却したい方にとっては、iBuyerは大きなメリットになるといえるでしょう。   ただしAIによる価格査定も絶対ではないため、何らかの理由でその不動産に高い関心を寄せる方がいれば、仲介のほうがより高い価格で売却できる可能性もあります。iBuyerの仕組みを理解したうえで、期限を決めて仲介での売却をするなど、柔軟に考えながら活用を検討してみるとよいでしょう。   まとめ デジタル化が遅れているといわれてきた日本の不動産業界にも、不動産テックの波は確実に押し寄せています。iBuyerは、不動産売買の在り方を大きく変え、売主の悩みや課題を解決する一助となり得るビジネスモデルです。不動産売買を検討している方は、新たな選択肢のひとつとして活用をぜひ検討してみてください。