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マンション相続時の名義変更はどうするべき?基礎知識と失敗しない方法を解説

相続

2022.09.09
マンションを相続する際に名義変更をどうするべきか、どのように不動産を取り扱うべきかで頭を抱えている人がたくさんいます。不動産の登記は、普段の生活でやったことがない方が大半なので、悩むのも自然なことです。この記事では、マンション相続時の名義変更に関する基礎知識、流れ、ポイントについてご紹介します。 マンション相続時の名義変更の基礎知識 マンションなど不動産の相続は、人生で何度も経験することではないため、相続に関して戸惑うことも多いと思います。ここでは、マンション相続時の名義変更の基礎知識についてお伝えします。 名義変更とは「所有権移転登記」のこと マンションなど不動産の名義変更といわれる行為は、「所有権移転登記」のことを意味します。所有権移転登記とは、不動産の所有権が、誰から誰に移ったかを法的に明確にするための手続きのことです。また相続が原因で行われる所有権移転登記を「相続登記」と呼びます。 相続の場合、被相続人(故人)の不動産を、相続人が相続することになります。相続人が相続後に売却する場合、故人から相続人への所有権移転登記(名義変更)が必要になります。 以前までは、相続が発生して相続人が所有権を得た後でも、不動産が故人の名義のままで放置している状態でも、罰則はありませんでした。しかし民法と不動産登記法等の改正により、2024年4月1日より、相続登記による名義変更が義務付けられます。改正の内容は下記の通りです。 ・不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付ける。 ・正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処することとする。 過去の相続についてもさかのぼって、義務化が適用されることになるため、注意が必要です。 マンション相続時の名義変更は誰がどこでやる? マンション相続時の名義変更は、不動産を引き継ぐことが決まった相続人が行います。相続人が司法書士に代行を依頼することもできます。名義変更の代行ができる専門家は司法書士もしくは弁護士であり、相続上のトラブルなどがない限りは、司法書士に依頼するケースが多いです。 名義変更にかかる費用 不動産移転登記(名義変更)にかかる費用は大きく分けて「登録免許税」、「登記手続きにかかる実費」、司法書士に依頼した場合の「司法書士報酬」の3つです。それぞれの費用相場は下記の通りです。 登録免許税 登録免許税は、不動産登記時にかかる税金です。登記する理由によって税率は異なり、相続の場合、税率は0.4%です。マンションの場合の登録免許税は、下記の手順で計算します。 ①土地の評価額を計算する 土地の評価額=マンション敷地全体の固定資産税評価額×敷地権割合 不動産の固定資産税評価額(土地+建物) ②土地の評価額と建物部分(マンションの専有部分)の評価額を合計して、合計額の1,000円 未満は切り捨てる ③の評価額に0.4%をかけて、100円未満を切り捨てたものが、そのマンションの登録免許税となる。 登記手続きにかかる実費 被相続人の戸籍謄本一式やマンションを相続する人の住民票や印鑑証明書など、各種証明書にかかる費用が発生します。登記手続きにかかる実費は相続方法や相続人の数など、状況によって異なります。 司法書士報酬 司法書士に不動産移転登記を依頼する場合、司法書士報酬が発生します。司法書士報酬は事務所によって、また依頼内容の難度などによって異なりますが、10~20万円程度が相場です。 マンション相続時の名義変更の具体的な流れ ここからは、マンション相続時の名義変更を行う際の具体的な流れについて解説していきます。※マンションを含め、相続対象となる財産は確定している前提での流れとなります。 (1)相続人の確定 相続が発生した場合、遺言状があれば遺言状通りに相続人が決まります。遺言状がない場合、相続人を確定する必要があり、法定相続人による相続となります。 民法において、相続人(法定相続人)になれる資格があるのは、被相続人の配偶者、直系卑属(子どもや孫など)、直系尊属(父母や祖父母など)、兄弟姉妹ですが、相続人となるには条件が定まっています。被相続人の配偶者はどんな場合も必ず相続人になります。 配偶者以外の相続人は、下記の通り、相続の順位が決まっています。 ・第1順位:直系卑属(子どもや孫など):配偶者がいる場合は、配偶者と子どもが相続人になります。配偶者がいない場合、子どもだけが相続人になります。子どもも孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子どもを優先します。 ・第2順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)。父母も祖父母もいるときは、父母の方が優先されます。第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。 ・第3順位:被相続人の兄弟姉妹。その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子どもが相続人となります。第3順位の人は、第1順位と第2順位のいずれの人もいないときに、相続人になります。 また相続人であることを証明するために、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍と、相続人全員の戸籍謄本を用意する必要があります。 (2)遺産分割協議 遺産分割協議とは、被相続人の財産をどのように分割するかを相続人同士で話し合うことです。相続人が一人だけの場合、遺産分割協議と遺産分割協議書の作成は不要です。遺産分割協議のポイントは記事後半で解説します。 (3)遺産分割協議書の作成 遺産分割協議の結果を、遺産分割協議書という書面にします。基本的に遺産分割協議書がないと、マンションなどの不動産の相続登記ができません。ただし、法定相続割合に従って相続人がマンションの持ち分を保つ場合は、遺産分割協議書は不要です。遺産分割協議書には、相続人の全員が署名・押印する必要があります。 (4)相続の登記(名義変更) マンションの所在地を管轄する法務局にて、相続登記を行います。遺言書がある場合は、遺言書が必要書類になります。遺産分割協議が行われた場合、遺産分割協議書によって明記された相続人が、相続したマンションの相続登記を行います。 マンション相続時の名義変更で失敗しないポイント ここまでは相続の基本、相続の流れについて解説してきました。ここでは、マンション相続時の名義変更で失敗しない、損しないポイントについてお伝えします。 節税の視点から相続方法を考える 不動産の相続には、相続人が不動産を共有する「換価分割」と、相続人の一人が不動産を相続して売却して、他の相続人に相当額の取り分を代償金として支払う「代償分割」があります。 相続したマンションを売却する場合、利益が出た場合は、譲渡所得税がかかります。 しかし、被相続人と同居していた相続人の場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用できます。これは、売買後の利益が3,000万円までは控除される、つまり譲渡所得税を支払わずに済む特例です。兄弟3人が相続人だったとして、長男が被相続人と同居していたとします。マンション売却後、2,400万円の利益が出た場合の、それぞれの譲渡所得税について考えてみましょう。 <換価分割の場合> 長男:800万円の譲渡所得だが、3,000万円の特別控除の特例により、譲渡所得税は0円 次男:800万円の譲渡所得のため、800万円×20.315%(長期譲渡所得の税率)≒約162万円 三男:800万円の譲渡所得のため、800万円×20.315%≒約162万円 次男、三男はそれぞれ約162万円の譲渡所得税の支払いが必要となります。 <代償分割の場合> 長男:2,400万円の譲渡所得だが、3,000万円の特別控除の特例により、譲渡所得税は0円 次男、三男:マンション売却の当事者ではないため、譲渡所得税はかからない。 代償分割を選択したため、長男がマンションを相続し、代償金800万円を次男、三男それぞれに渡すことで、譲渡所得税を支払わずに相続することができます。 このように不動産の相続時は、利用できる特例等も考えて相続方法を選択しましょう。 関連記事はこちら ▶︎マンションを相続したら、相続税はいくらかかるの? 自分でもできるが司法書士に依頼がおすすめ マンション相続の手続きは自分でも行うことができます。自分で行うことで、司法書士報酬を支払わずに済むメリットがあります。しかし、相続に必要な書類をそろえて、申請書を間違いなく記入して提出する必要があり、普段から相続関係の書類を取り扱っていない場合、抜けがあったり、間違いが起こったりする可能性が高くなります。 他の相続人もいる場合、トラブルの種になってしまうことも考えられます。ミスの可能性や時間、手間などを考えると、司法書士に手続きを依頼した方がよいでしょう。 不動産会社に相談するのもよい 相続登記については司法書士の業務範囲ですが、相続のいずれかのタイミングで、不動産会社にマンションの査定と売却を依頼する必要があります。 マンションがいくらで売れるのかの査定、具体的な販売活動は、不動産会社が行う業務です。マンションの相続が決まっている場合は、まず不動産会社に相談してみるのも一つの方法です。不動産会社から相続に強い司法書士を紹介してもらうことも可能です。 まとめ マンション相続の名義変更について、相続登記の基本と流れ、失敗しないポイントをお伝えしてきました。法改正によって相続の名義変更が義務付けられた以上、マンションの相続時に、名義変更は必須となります。マンションの相続が予定されている場合は、登記の専門家である司法書士や、マンション取り扱いの専門家である不動産会社に気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
マンションを相続!どんな手続きが必要なの?

相続

2022.09.09
親がマンションを所有しており、将来マンションを相続する予定のある方の中には、どんな手続きが必要になるのか、自分で手続きが可能なのか、不安に感じている方もいるでしょう。今回の記事では、マンションの相続予定がある方に向けて、相続時に必要な手続きにはどのようなものがあるかについてご説明するとともに、相談できる窓口についてもご紹介します。 相続税の申告手続き 相続が発生すると、相続税の申告手続きが必要になります。その手続きの概要についてご説明します。 遺言書の確認 相続が発生した際、遺言書があるかどうかを確認します。遺言書には、主に自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがあります。自筆証書遺言は、被相続人(亡くなった方)が生前に自ら作成し保管するもので、公正証書遺言は公証役場で証人の立会いの下で作成されるものです。いずれも法的拘束力を有していますが、自筆証書遺言は、内容の改ざんや破棄を防ぐため、開封に際して、家庭裁判所での検認手続き※が必要になる点には注意が必要です。 ※検認手続き 家庭裁判所に検認手続きの申立後、期日に家庭裁判所に、相続人が会して内容確認を行います。その後、家庭裁判所から「検認済証明書」が発行されてから、遺言書として有効となります。なお、2020年7月10日から自筆証書遺言書保管制度(法務局に自筆証書遺言を預かってもらう制度)がスタートしており、この制度を利用する場合は家庭裁判所の検認手続きは不要となります。 相続人と相続財産の確認 被相続人が産まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を取得して、相続人の確定を行います。また、同時に被相続人が所有している財産を確認して、相続財産の把握をします。資産の種類によっては、非課税枠が設定されていたり、評価方法が決められていたりするものもありますので、個々の相続財産の評価額を算出して、相続財産の総額を求めます。 相続税の申告 相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を行います。遺言がある場合には、その内容に従って遺産分割を行うのが原則です。ただし、相続人全員が遺言書の内容と異なる遺産分割に同意する場合には、その限りではありません。遺言書がない場合には、相続人間で話し合いを行い、遺産分割の内容を決定し、遺産分割協議書を作成します。その内容に従い、相続発生から10カ月以内に、相続税を計算した上で申告および納付を行います。 関連記事はこちら ▶︎マンション相続したら、相続税はいくらかかるの? 不動産の名義変更手続き 相続財産にマンションなどの不動産が含まれる場合には、不動産の名義変更手続きが必要となります。 相続に伴う名義変更 相続に伴う不動産の名義変更の手続きは、不動産登記簿の所有権移転登記を指しており、法務局で行います。登記申請書に必要書類を添付して、登録免許税を納付して手続きを行います。なお、相続に伴う所有権移転登記に必要な書類は、登録免許税の計算に必要な固定資産税評価証明書のほか、遺言書の有無によって以下のような書類が必要になります。 【遺言書があり、その内容に従い相続したとき】 ・戸籍謄本 被相続人の死亡時の戸籍と、相続人(不動産を相続する者)の現在の戸籍 被相続人と相続人の関係がわかる戸籍 ・相続人(不動産を相続する者)の住民票または戸籍附票 ・被相続人の除票または戸籍附票 ・遺言書 法務局で保管されていない自筆証書遺言の場合には、検認済証明書が必要 【遺言書がなく遺産分割協議により相続したとき】 ・戸籍謄本 被相続人の死亡時の戸籍と、相続人全員(・・)の現在の戸籍 被相続人と相続人全員(・・)の関係がわかる戸籍 ・相続人(不動産を相続する者)の住民票または戸籍附票 ・被相続人の除票 ・遺産分割協議書 ・相続人全員の印鑑証明書 関連記事はこちら ▶︎マンション相続時の名義変更はどうするべき?基本知識と失敗しない方法を解説 名義変更の際の注意点 所有権移転登記は義務ではなく、登記の期限もありません。そのため、所有権移転登記が行われていない場合もあり、不動産登記簿上の名義人が被相続人の何代も前の親族のままになっているというケースもあります。 名義変更をしようと思っても、改めて多数の相続人に該当する方と全員で遺産分割協議をする必要があります。そのための連絡調整だけでなく、さまざまな書類をそろえる必要があり、協議には多大な労力を要します。 不動産登記簿上の名義人を変更しなくても、そのまま親族が居住するなどの利用だけであれば問題ありません。しかし、売却や融資を受けるための担保提示には、本来の名義人と不動産登記簿上の名義人が一致している必要があり、実行に移せない可能性があります。 相続が発生してから、その状況を知って慌てることがないように、相続予定の不動産について不動産登記簿上の名義人を確認しておくことが望ましいでしょう。 手続きについての相談窓口 マンションをはじめとして、相続に伴う手続きは、すでに触れた通りさまざまなものがあります。その全てを一人で行うことに不安がある場合には、専門家に相談するのも一案です。それぞれの手続きの相談窓口をご紹介します。 相続税の申告手続き 相続税の申告手続きは、「遺産分割」の段階と「相続税の申告」の段階によって相談先が異なります。 遺産分割について 遺産分割の相談といっても、基本的な考え方を相談したい場合と、相続人の間で話し合いがまとまらず相談したい場合とに分かれます。基本的な考え方を相談したい場合には、弁護士のみならず、行政書士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどに相談することもできます。ただし、相続人の間で話し合いがまとまらない場合には、最終的に調停や訴訟に発展する可能性もあるため弁護士に相談されるとよいでしょう。 相続が発生してからでは、対策も限られてしまうため、相続が発生する前に知人友人から、相続問題に強い専門家の紹介を受けて、あらかじめ相談をしておくと事前対策を講じる時間を持つことができます。 相続税の申告について 相続税の申告について書式等の簡易的な質問であれば、税務署で相談に乗ってもらえます。また、マンションなどの不動産を売却して、その収益を遺産分割することも視野に入れている場合には、不動産会社に査定依頼を行い、売却についての相談をしてみるとよいでしょう。 より具体的、詳細な相続税の計算、相続財産の調査や評価について相談したい場合には、税理士に相談をされるとよいでしょう。可能であれば、相続税を専門としている税理士に相談するのが望ましいです。 名義変更手続き マンションなど不動産の名義変更手続きについて書式等の簡易的な質問であれば、法務局で相談に乗ってもらえます。相続人への連絡調整や添付書類の収集なども依頼を検討する際には、司法書士に相談するとよいでしょう。 まとめ 相続手続きと一口にいっても、遺言書の確認や遺産分割協議、相続税の計算および申告納付、不動産の名義人変更など、多岐にわたります。相続税の申告期限は相続発生から10カ月と決められています。特に仕事を持っている人にとっては、相続手続きにあてる時間も限られますので、10カ月という期間は長いようでいて、あっという間に期限が到来するものです。相続が発生してから慌ただしく手続きに取りかかると、誤った判断を下しかねません。あらかじめ専門家に相談をしておき、いざというときにスムーズに動ける準備をしておきましょう。
マンションを相続したら、相続税はいくらかかるの?

相続

税金

2022.09.09
将来的に親が所有しているマンションを相続する方の中には、どれくらい税金がかかるのか不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。今回の記事では、マンションを相続予定の方に向けて、相続税の計算方法およびその他にかかるお金についてご説明します。マンションの相続に際して、注意すべきは相続税のことだけではありません。相続してから慌てないように、マンションを相続する際の注意点についてもお伝えします。 相続税の計算方法 相続税は、個別の相続財産ごとに計算されるわけではありません。相続財産全体を把握した上で、以下の相続税の計算方法の手順に従って相続税が課税されます。 相続財産の総額計算 被相続人(亡くなった方)が所有していた相続財産の総額を計算します。財産の種類によっては、評価方法が決められていたり、非課税枠が設定されていたりする場合もあります。 マンションの相続税評価 マンションのような不動産は、建物と土地に分けて相続税評価額を求めます。マンションの建物部分は、固定資産税評価額と同額です。市町村の固定資産税窓口で確認できます。 一方、マンションの土地部分は、マンション全体の土地の相続税評価額に、持分割合を乗じて算出します。路線価のあるエリアであれば路線価方式、路線価のないエリアであれば倍率方式でマンションの敷地全体の相続税評価額を求めた後、マンションの契約書または登記簿謄本等に記載のある持分割合を乗じて求めることができます。 建物部分と土地部分の相続税評価額を合計したものが、マンションの相続税評価額になります。ご自身で確認するのが難しい場合には、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。 法定相続人を確定し、基礎控除額を計算 被相続人が産まれてから亡くなる(事前に調べる場合は現在)までの戸籍謄本を取得して、法定相続人を確定します。法定相続人が確定すると、基礎控除額を次の計算式で算出できます。 基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人 相続税額の総額を計算 相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた金額(課税標準)を、いったん各法定相続人の法定相続分に応じて按分します。その按分した相続財産額に応じた税率を乗じて、相続税を算出して、合計します(相続税額の総額)。 各法定相続人の相続税額を計算 相続税額の総額を実際の相続財産分与に応じて按分し、各相続人が納税する納税額を算出します。 関連記事はこちら ▶︎マンションを相続!どんな手続きが必要なの? マンションを相続すると必要になるお金 マンションを相続して所有する場合、必要になるお金は相続税だけではありません。以下のようなお金が必要になります。「相続したものの、利用予定もなくお金だけが出ていく」という状態を回避するためにも、マンションを相続した後にどのように利用するか、売却も含めた検討を早めに家族間で話し合っておきましょう。 登録免許税 マンションを相続して所有する場合には、法務局でマンションの名義人変更の手続きが必要になります。その手続きに際して、登録免許税を納めます。相続の際の登録免許税は、以下の算式で求めます。 登録免許税額=固定資産税評価額×0.004 固定資産税 毎年1月1日時点における不動産等の固定資産の所有者に対して課税される税金です。マンションを相続すると、マンションの所有者となり、固定資産税の納付義務が生じます。 管理費および修繕積立金 マンションは、管理費と修繕積立金が毎月必要になります。例えば月々の支払いは1~2万円だとしても、年間で考えると20万前後の出費となります。大規模修繕が実施される際には、月々の修繕積立金とは別に、数十万から数百万円の追加徴収が行われるなど、マンション相続のタイミングで大規模修繕が重なってしまった場合には、思わぬ出費がかさむこともあります。 マンションを相続する際の注意点 マンションの相続にかかる相続税について注目するばかりに、マンションを相続してから「こんなはずではなかった」と慌てないようにするため、マンションを相続する際の注意点についてお伝えします。 名義人が被相続人になっているか 相続が発生する前に、相続予定のマンションの登記簿を取得して、名義人を確認してみましょう。所有権移転登記は義務ではありませんし、期限も設けられていません。そのため、場合によっては被相続人に名義変更されていない状態になっている可能性もあります。そのような状態である場合、手続きが煩雑になりますし、放置してしまうと処分(売却等)も難しくなります。念のため、相続発生前にあらかじめ登記簿を確認し、名義人が被相続人になっていない場合は、司法書士等に相談しましょう。 共有名義はできる限り避ける マンションは、現金のように簡単に分割できる種類の財産ではありません。そのため、財産分与についての話し合いがまとまらない際に、「とりあえず共有名義」にしておこうという結論になりがちです。親子、兄弟姉妹のような家族間で共有しているだけの間は、トラブルも起きにくいかもしれません。 しかし、共有者の中からマンションを処分(売却等)したいという声が上がった時などに意見が一致しない可能性もあります。また、共有者が亡くなった後、その共有持分を子や孫などが共有で相続する状況が続けば、共有者の数はさらに増えます。その結果、マンションの処分等を行いたいと思っても、顔も知らない親族等の総意を得る必要が生じる可能性もあり、実行は極めて困難になります。 このような事態が想定されることから、共有は「問題の先送り」と称されることもあります。共有名義はできる限り避け、財産分与の話し合いを行うように心がけましょう。 相続後の利用見通し マンションの相続が発生する可能性がある場合には、時間をかけて家族間で利用の見通しについて、話し合いを持ちましょう。居住予定がないのに相続しても、先にご説明した管理費や修繕積立金等が必要になります。賃貸に出すのであれば、入居者の満足度を維持するために管理も必要になりますし、定期的な修繕も必要になります。話し合いがまとまらないからといって、共有にすれば将来、マンションが処分もできない塩漬け状態になる可能性もあります。話し合いがまとまらない場合には、マンションを売却して得られた収益を分割する選択肢(換価分割)を視野に入れて、マンションの査定依頼を行っておくのも一案です。 ※換価分割 換価分割とは、相続財産を売却して生じた収益を遺産分割する方法をいいます。仲介手数料などの諸費用がかかる分、財産価格の目減りが生じる点がデメリットになります。マンションなど遺産分割しづらい資産を、現預金などの遺産しやすい資産に変えることができる点が最大のメリットといえます。 まとめ 人が亡くなると、親族、知人友人への連絡および対応、葬儀準備や法要、遺品整理など、さまざまなやりとりに追われます。しかし、相続税の申告期限は相続発生から10カ月と決められています。故人への悲しみに暮れている間もないほどの忙しさの中、慌てて相続について考え始めていては、焦る気持ちから誤った判断もしかねません。「まだ相続は先のこと」と考えずに、いざという時にスムーズに手続きを行えるように、あらかじめできることから考え始めてみませんか?
不動産売却の流れを徹底解説!初心者が損しないためのポイントもお伝えします

マンション売却

2022.08.09
マンションの売却は人生に何度も経験することではないため、売却に関する知識や経験が不足していても当然です。マンションの売却は、一つ間違えると数百万円単位の損失やトラブルにつながるため注意が必要です。この記事では、不動産を売却しようと思ってから、売却に至るまでの流れと注意したいポイントについて解説します。 マンション売却の基本的な流れ マンションを売却するまでには、決まったステップがあります。ここからは、マンション売却の基本的な流れについて解説します。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却時の不動産会社を選ぶ3つのポイントを徹底解説! 複数の不動産会社へ査定を依頼する マンション売却の第一歩は、自身の所有するマンションの査定を、不動産会社に依頼することです。売却するエリアや間取りなどの不動産情報を不動産会社に伝えると、査定の結果が送られてきます。複数の会社に査定を依頼してもよいですが、多くの営業電話がかかってくるデメリットもあります。 その点、買取を専門とする業者であれば、その買取業者1社の対応で完結するメリットがあります。買取については記事後半で詳しく解説します。 不動産会社の査定結果が出る 不動産会社から、売却予定のマンションの査定結果が送られてきます。媒介契約を取りたいがために、わざと相場より高めの査定価格を提示してくる業者もいるので注意が必要です。 査定結果に対しては、必ず査定の根拠を質問しましょう。こちらの質問に対して、あいまいな返事でごまかそうとする不動産会社には、売却を依頼するべきではありません。 不動産会社を選定して媒介契約を結ぶ 査定してくれた不動産会社の中から、マンション売却を依頼する不動産会社を選び、媒介契約を結びます。媒介と仲介は同じ意味です。媒介契約の種類は一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種があります。 不動産会社を選ぶポイント媒介契約の詳細については、後半で詳しくお伝えします。 マンションの販売活動と内見対応 仲介を依頼する不動産会社が決まったら、マンションの販売活動が開始されます。マンションの販売活動は、全ての不動産会社が確認できるネットワークシステムであるレインズへの登録、不動産売買の各種ポータルサイトへの登録などの広告活動、内見希望者の対応などがあります。 売却予定のマンションに居住中の販売活動であれば、不動産仲介を依頼した会社の担当者とともに内見の対応をします。すでに空室であれば、立ち会わなくても担当者が対応してくれます。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却の内覧のコツとは?内覧の印象を上げるポイントと注意点を解説 売買契約 購入希望者は、購入の意思表示をする書類である買付証明書を売主に提出します。売主、買主(購入希望者)双方が価格面、条件面で同意したら、売買契約を交わします。売買契約時に、買主は売主に対して手付金を支払います。手付金は法的に決まった金額はありませんので、売主と買主が納得した金額で設定できます。 決済・引き渡し 不動産売買契約を締結後、売主と買主双方の、都合のよい日に残金の決済とマンションの引き渡しが行われます。契約後、買主が住宅ローンを利用する場合は注意が必要です。一般的に買主が住宅ローンを利用する場合、売買契約の内容に「住宅ローン特約」の項目が入ります。住宅ローン特約は、もしもローンの審査が通らなかった場合は、違約金等の負担なしに売買契約を白紙にできる契約です。売買契約が解除されれば、再び買主を探すことになり、時間の浪費となってしまいます。 残金の振り込みが行われて、決済が完了した時点で、鍵の引き渡しが行われ、司法書士が不動産の登記を行う流れになります。決済時に、仲介手数料の支払いや固定資産税の清算金などの費用の清算も同時に行われます。 関連記事はこちら ▶︎より高く!より早く!マンション売却のコツとは? マンション売却で失敗しないためのポイント マンションの売却は、ちょっとしたことで最終的な売却価格に大きな違いが生まれます。ここからはマンション売却で失敗しないためのポイントについてお伝えします。 信頼できる不動産会社選びが重要 多くの場合、マンションを売却するまでに数カ月はかかり、長丁場になります。その間、担当者にさまざまな質問をぶつけたり、販売状況についてメールや電話でやり取りをしたりします。 やり方次第で数百万円の販売価格の違いが出ることも多いため、信頼できるパートナーとなる不動産会社を選ぶ必要があります。不動産会社を選ぶ基準は、まず会社としてマンションの売却実績が豊富であることが重要です。そして売主とのやり取りにおいてレスポンスがよく、細かい点も気軽に相談できるような担当者であることもポイントになります。 媒介契約は一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類 媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3つの種類があります。 一般媒介は仲介の依頼先を一つの会社に決めずに、複数の会社に仲介を依頼できる契約です。複数の不動産会社に仲介を依頼できる分、販売活動する会社が多くなり、売却できる機会が増えると言えます。 ただし、この複数契約はデメリットにもなります。一般媒介のケースでは不動産会社が販売活動をしても、他の会社が売買契約を結ぶ可能性があり、その場合、販売活動が無駄になり収益がゼロになるため、不動産会社はあまり販売に注力してくれないケースもあります。 また一般媒介の場合、不動産会社は「レインズ」という、全国の不動産会社がアクセスできる不動産情報共有のためのネットワークシステムへの登録義務がないため、依頼した不動産会社以外の会社が買主を見つけてくれる可能性が下がるといったデメリットもあります。 一方、専任媒介と専属専任媒介は、どちらも一つの会社に販売活動を依頼する契約です。専任と専属専任の場合、不動産会社は自社で買主を見つければ、売主と買主双方から手数料を受け取ることができます。また仮に他の会社が買主を見つけても、不動産会社には売主から手数料が入ります。 このため専任媒介は、一般媒介よりも不動産会社が責任を持って取り組んでくれる可能性が高いと言えます。また専任媒介を結んでも、1社だけに販売情報が独占されるわけではありません。専任媒介と専属専任媒介はどちらもレインズへの登録が義務であるため、他の不動産会社へも売却物件の情報が共有されます。 専任と専属専任で契約内容はあまり変わりませんが、専任の場合、自分で買主を見つけても契約違反にならない自由度があるので、専任媒介がおすすめです。 売却にかかる費用 売却にかかる費用には、どのようなものがあるのでしょうか。 不動産仲介手数料 売却にかかる費用として、まずは不動産会社への仲介手数料があります。売買金額が400万円超の場合、仲介手数料は「売却金額×3%+6万円+税」を上限とすることが法律で定められています。仮に売却価格が4,000万円の場合、仲介手数料は「4,000万×3%+6万円+税」で計算して、税込み138.6万円になります。 印紙税 不動産売買の契約書には、規定の金額の収入印紙を貼って印紙税を支払う必要があります。印紙税は売買価格によって定められており、例えば売買価格が500万円超~1,000万円以下なら5,000円、1,000万円超~5,000万円以下の場合は1万円です。 登記費用 マンション売却の際、ローン残債があれば抵当権抹消のための登記費用として、不動産1件につき1,000円の登録免許税がかかります。 またマンション売却の際は一般的に司法書士に登記を依頼するため、司法書士への報酬の支払いが発生します。司法書士報酬は定めがなくケースバイケースですが、相場としてはおよそ2~5万円程度です。 また自宅売却なら引っ越し費用、買主との取り決めによっては引き渡し前のハウスクリーニング費用なども発生する可能性があるため、事前に計算しておく必要があります。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却の手数料とは?相場や計算方法、安くできるのかを解説 ▶︎不動産売却には税金がどれくらいかかるの? ▶︎知っておきたいマンション売却にかかるお金のこと マンション売却を急ぐ場合は買取がおすすめ マンションに限らず、不動産売却の方法は仲介と買取の2つの方法があります。不動産会社に、仲介を依頼して、不動産市場において買主を見つけるのが仲介です。 一方、買取は不動産会社が直接不動産を買取する形式の取引です。買取の場合、買主を見つける必要がないため、スピーディーに不動産を売却できる反面、不動産市場で買主を見つける仲介よりも販売価格は3~4割程度下がる傾向にあります。 ただし、買取には仲介にはない下記のようなメリットも数多くあります。 ・業者直接買取の場合は手数料が不要 仲介の場合は仲介手数料を支払う必要がありますが、買取の場合、手数料はかかりません。 ・現状そのままで売却できて手間がかからない マンションにある家具家電や荷物などの残置物は、そのままの状態で売却できて手間がかかりません。 ・ローンの不安なく確実に売れる 上記の通り、買主がローンを利用する場合、売買契約が白紙になる可能性があります。買取の場合は確実に売却できます。 ・内見などの買主対応をしなくてよい 一般の買主の場合、内見、価格交渉、条件提示などさまざまな対応が求められますが、買取の場合はスムーズに売買取引が成立します。 ・引き渡し猶予がある 買取では、マンション売却後も、一定の期間、引き渡しを遅らせることができる「引き渡し猶予」を設けることができます。 売却のためにさまざまな手間と時間を割く余裕があるのであれば、仲介がおすすめです。なるべく早く不動産を売却したい場合は、上記の通り多くのメリットもある買取も検討してみてよいでしょう。 関連記事はこちら ▶︎マンション買取は売却とどう違う?相場や会社の調べ方・見積もり依頼の方法まで解説! ▶︎不動産売却の「仲介」と「買取」の違いを解説!あなたに合った方法もアドバイスします まとめ 本記事では、マンション売却の基本的な流れと失敗しないためのポイントについて解説しました。マンション売却は、やり方次第で売却金額が数百万円も違ってきます。 損しないためにも、まずは自分の所有するマンションをどのように売却すればよいか、不動産のプロの意見を聞くことをおすすめします。
マンション売却の手数料とは?相場や計算方法、安くできるのかを解説

仲介手数料

2022.08.09
これからマンションの売却を検討している人に向けて、売却によって発生する仲介手数料の計算方法、相場、安くできるのかなどを解説していきます。マンション売却でかかる手数料は、仲介手数料だけではありません。記事後半では仲介手数料以外の各種費用についても解説します。この記事を読めば、マンション売却で発生する費用がどのくらいになるのかを事前に把握することができます。 マンション売却の手数料の計算方法 マンションの売却の際は、不動産会社に仲介を依頼することが一般的です。不動産会社に支払う仲介手数料には、法律で上限が定められています。この上限はマンションだけでなく、全ての不動産取引において共通です。 仲介手数料の上限は下記の通りで、不動産の売買金額によって決まります。 ・不動産の売買金額が200万円以下の部分:取引額の5%以内 ・不動産の売買金額が200万円を超え400万円以下の部分:取引額の4%以内 ・不動産の売買金額が400万円を超える部分:取引額の3%以内 例えば、マンションの売却金額が5,000万円の場合は、下記の①~③それぞれの手数料を合計したものが仲介手数料になります。 ⓵200万円以下の部分:200万×5%=10万円 ②200万円を超え400万円以下の部分:200万×4%=8万円 ③400万円を超える部分:4,600万円×3%=138万円 ●売却金額5,000万円の場合の仲介手数料(税抜き価格):①+②+③=156万円 (※実際は156万円に別途、消費税がかかります。) ●売却金額5,000万円の場合の仲介手数料(税込価格):156万円+156万円×10%=171.6万円 上記の計算方法だと仲介手数料の計算は複雑化するので、下記の速算式がよく用いられます。 ●不動産仲介手数料の速算式:不動産の売買金額×3%+6万円 先程の5,000万円のマンションの仲介手数料を速算式で計算すると、 ●5,000万円×3%+6万円=156万円(税抜き) となります。 速算式ならすぐに仲介手数料を計算できるので、覚えておくと便利です。下記に不動産仲介手数料の早見表を作成したので、参考にしてください。 マンション売却時の手数料は安くできる? 結論から言えば、マンション売却時の手数料は安くすることはできます。ただし、手数料が安ければよいというものではありません。ここでは注意すべきポイントについて解説します。 仲介手数料を半額・無料にできる仕組み 前述の通り、不動産取引の際の仲介手数料の「上限」は法律で決まっています。しかし、あくまでも上限が定まっているだけなので、手数料を法定の上限より下げる分には問題はありません。 不動産仲介の会社の中には、「仲介手数料半額」・「仲介手数料無料」といった広告をしている会社もあります。不動産会社は、仲介手数料を半額や無料にして、どのように利益を上げているのでしょうか。まず、不動産の仲介には「片手取引」と「両手取引」の2つのパターンがあります。 片手取引 不動産会社が買主か売主のいずれか片方のみの仲介を請け負い、片方のみと契約することを片手取引と言います。片手取引の場合、不動産会社は売り手か買い手のいずれか一方の代理人として行動するため、仲介手数料が半額になることは少なく、無料になることはありません。 両手取引 買主と売主双方の仲介を請け負い、売主と買主の両方と契約することを両手取引と言います。両手取引の場合、売主か買主のどちらか一方から正規の仲介手数料を受け取ることができるため、会社によっては仲介手数料の値引き対応をするケースがあります。 仲介手数料が半額・無料の不動産会社は怪しい? 不動産の仲介手数料は上限が決まっているだけなので、不動産会社の方針として半額や無料にしても問題はありません。仲介手数料が半額・無料でも、何か裏がある怪しい会社というわけではありません。 仲介手数料の値引きに関しては、値引きが適用されるエリアが限定されているケースや、不動産会社が直接買い取りするため、仲介手数料無料と表現されているケースもあります。事前にしっかりと確認することをおすすめします。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却時の不動産会社を選ぶ3つのポイントを徹底解説! ▶︎マンション売却で不動産会社を変更すべき?タイミングとリスクを解説 マンション売却時に手数料以外にかかる費用 マンション売却時には、仲介手数料以外にも諸経費がかかります。ここからはマンション売却時に、手数料以外にかかる各種費用について解説します。 印紙税 不動産の売買契約書を作成する際に印紙税を支払う必要があります。印紙税は、契約書に「収入印紙」を貼って納税します。印紙税の金額は、書類に記載された売買価格によって定められています。例えばマンションの売買価格が1,000万円超~5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超~1億円以下の場合は3万円となります。 登記費用(登録免許税と司法書士への報酬) マンション売買の際、登記上の手続きとして、所有権移転登記、買主の抵当権設定(買主がローンで購入する場合)、抵当権抹消登記(売主の住宅ローンが残っている場合)の登記手続きが必要です。売主側が抵当権抹消の登録免許税、買主側が所有権移転登記と抵当権設定の登録免許税を負担します。また登記されている住所や氏名が異なる場合は、住所・氏名変更登記の費用も発生します。 費用相場としては下記の通りです。 ・抵当権抹消にかかる登録免許税:不動産の数×1,000円 ・住所や氏名の変更登記にかかる登録免許税:不動産の数×1,000円 ・司法書士への報酬:2~5万円 その他費用 マンション売却時のその他の費用として、引っ越し費用やハウスクリーニングなどの費用が発生する可能性があります。自宅として使っているマンションを売却する場合は引っ越しのための費用が必要です。また売却時の取り決めによっては、売主側がマンションのハウスクリーニング代金を負担することもあります。 マンションのローンの残債が大きく、売却代金を上回ると売却金額から諸費用が払えません。マンションの売却前には、ローンの残債の正確な金額、支払いが必要となる各種手数料を把握して用意しておきましょう。 関連記事はこちら ▶︎不動産売却には税金がどれくらいかかるの? ▶︎マンションを売却したら確定申告は必要? まとめ マンション売却は大きな金額が動くため、売却金額と連動する仲介手数料は、なるべく少なくしたいところです。しかし仲介手数料を抑えることばかりに気を取られて、信頼できない会社に依頼すると、なかなか売却できなかったり、相場よりかなり安い価格で売却されたりする可能性もあります。手数料が安くなる、あるいは無料になる理由をしっかりと確認した上で適切な選択をしましょう。
マンションを売却したら確定申告は必要?

税金

2022.08.09
「マンションを売却したのも初めてで、手続きが多くて大変なのに、確定申告が必要と言われて、頭がいっぱい…」という方はいませんか?マンション売却の際、必ずしも、確定申告が必要なわけではありません。この記事では、マンション売却予定、またはマンション売却を進めている方に向けて、確定申告が必要なケース、確定申告の必要書類について説明を行った上で、申告書の作成方法についても解説していきます。 マンション売却で確定申告が必要な場合ってどんなとき? 確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得に対する納税金額を税務署に申告する手続きのことを言います。 マンションを売却した場合、譲渡所得税(所得税および住民税)が課税されます。確定申告は、マンション売却をした年の翌年の2月16日から3月15日の間に行う必要があります。ただし、全てのケースで確定申告が必要ではありません。マンションを売却して、確定申告が必要となるときは、次の2つのケースです。 マンションの売却益が生じた場合 マンションの売却収入に対する譲渡所得税は、給与所得などその他の所得と切り離して計算される、分離課税によって以下の計算式で算出されます。 譲渡所得税=(収入金額-取得費※1-譲渡費用※2)×税率 ※1 不動産を取得したときに要したお金 ※2 不動産を売却したときに要したお金 収入金額が取得費と譲渡費用の総額を上回る場合は、売却益が生じている状態です。その場合には、確定申告が必要となります。逆に、収入金額が取得費と譲渡費用の総額を下回る場合は売却損が生じている状態であり、譲渡所得税は課税されないため確定申告は不要です。 関連記事はこちら ▶︎不動産売却には税金がどれくらいかかるの? 税制の特例の適用を受けた場合 マンション売却に際して、3,000万円控除の特例※3など所得控除等の税制を活用する場合には、売却益の有無に関わらず、確定申告が必要となります。 ※3 居住用財産を売却したとき、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例 例) マンション売却収入2,000万円、取得費および譲渡費用200万円、3,000万円控除の特例適用を受ける場合、「収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除」は、△1,200万円となります。そのため、譲渡所得税は課税されませんが、特例適用を受けているため確定申告は必要となります。 確定申告に必要な書類とは? 確定申告には、確定申告書の他に、以下のような書類が必要となります。確定申告書については、後段で説明します。 関連記事はこちら ▶︎マンション売却に必要な書類とは? マンション売却時の売買契約書(コピー) 売却収入が、いくらであったかを示す根拠として必要となります。 マンション売却時の諸費用の領収書(コピー) 仲介手数料、収入印紙代、司法書士の報酬、抵当権抹消のための登録免許税など、売却時に要した諸費用の領収書が必要となります。これらは、先に触れた通り、譲渡費用として収入から差し引ける金額の根拠となります。 マンション取得時の売買契約書や諸費用の領収書(コピー) 譲渡所得税を算出する際の取得費は、「購入金額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いたもの」と「諸費用」を合算して算出します。マンション取得時の売買契約書や諸費用の領収書は、その根拠となります。なお、相続で取得したマンションなどで、取得時期が古く売買契約書や諸費用の領収書が残っておらず、取得費が不明である場合には、概算取得費(マンション売却収入×5%)で計算できます。 売却したマンションの登記事項証明書 売却したマンションの所有権が、買主に譲渡されていることを示すために、売却したマンションの登記事項証明書が必要となります。 本人確認書類 確定申告の際に、本人確認ができる運転免許証やマイナンバーカードなどの書類が必要になります。 特例適用に必要な書類 特例適用を受ける場合には、一定の要件を満たしていることを示すために、必要な書類を準備する必要があります。例えば、3,000万円控除の特例の適用を受ける場合には、戸籍の附票など、売却したマンションに居住していたことを証明する書類が必要となります。 申告書を作成してみよう マンション売却に際して、確定申告が必要となる場合には申告書の作成が必要になります。その手順について順を追って説明します。 譲渡所得の内訳書を作成する まず、確定申告書の記載をする前に、内訳書の作成をします。内訳書には、「売買契約の概要」、「マンションをいくらで売却したのか」、「マンションを取得する際、いくらかかったのか」、「売却益(損)はいくらなのか」などを記入します。先にご紹介した確定申告に必要な書類がないと作成できないため、書類収集を行ってから取り掛かりましょう。 引用:国税庁「譲渡所得の内訳書」 内訳書は、「税務署か国税庁HPで様式を入手して、手書きで作成」、または「国税庁の確定申告書作成コーナーで必要事項を入力して作成」できます。 確定申告書B様式を作成する 譲渡所得についても記入欄のある確定申告書B様式で、確定申告書を作成します。 まず、第一表には、確定申告を行う方の住所やマイナンバー、氏名を記入した後、譲渡所得税は分離課税で計算されるため「種類」の欄にある「分離」に〇をします。 引用:国税庁「申告書B【令和3年分以降用】」 また、「所得から差し引かれる金額」の該当する控除の欄に、金額を記入します。 引用:国税庁「申告書B【令和3年分以降用】」 第一表には、他にも記載するところがありますが、いったん第三表の作成を行います。 引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」 先に作成した内訳書を基にして、下にオレンジ色で示した部分の該当する部分に収入金額と所得金額を書き入れます。 引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」 短期譲渡の場合は「一般分」、長期譲渡の場合は、所有期間が10年超のマンションであれば「軽課分」、それ以外は「一般分」に当たるのが一般的です。不安がある場合には、税務署に尋ねるとよいでしょう。 引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」 オレンジ色で示した「64 65対応分」の欄には、先に記入した所得金額欄の短期譲渡所得の金額、「66 67 68対応分」の欄には所得金額欄の長期譲渡所得の金額を転記します。 引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」 分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項は、内訳書から転記します。 ここまで、必要事項を記入できれば、後は番号の指示に従って計算を進めていけば、確定申告書が完成します。給与収入など、マンション売却収入以外にも収入がある方は、それも併せて申告が必要です。 確定申告書も、税務署か国税庁HPで様式を入手して、手書きで作成することもできますが、内訳書とともに国税庁の確定申告書作成コーナーで必要事項を入力して作成するほうが、計算も自動で行われるので分かりやすいでしょう。なお、パソコンを使い慣れていない方は、先ほど示した部分までの情報を確認した上で、確定申告会場で申告資料を作成することもできます。 まとめ 経験がない方にとって、確定申告をすることは非常に難しい作業であると感じるかもしれません。ただ、全てのケースで確定申告が必要ではありませんし、必要な資料を整えれば作成自体は決して難しいものではありません。 とはいえ、不慣れなことには時間がかかる可能性もありますので、確定申告の時期ギリギリになってから取り掛かるのではなく、余裕を持って資料集めや申告書作成を行いましょう。一人では不安に感じる方は、不動産会社や税務署、税理士にあらかじめ相談されてみてはいかがでしょうか。