マンションの1階が売れない原因は?対策と売却のコツをご紹介
マンション売却
マンション買取
2023.09.05
マンションの1階は売れないというイメージがありますが、うまくポイントをおさえることで売却の確率を上げることができます。この記事では、マンションの1階が売れにくい理由について解説した上で、マンションの1階のメリットや特徴、スムーズに売るポイントなどについてもお伝えします。
マンションの1階が売れにくい理由
マンションの1階が売れにくい理由について解説します。
防犯上の懸念がある
マンションの1階には防犯面の懸念があるからです。 マンションによっては、オートロックなどのほか、雨戸・鎧戸といった設備をつけているケースもありますが、ベランダから簡単に入り込むことができるため、2階以上と比べると防犯面の懸念が大きくなる可能性があります。別途、警備会社との契約などの対策が必要になります。
プライバシーの問題
高い塀などがないマンションの1階では、通行人や自転車、車からの視線と住民の目線が同じ高さであるため、プライバシーを守ることが難しい傾向にあります。外から見られている、覗かれているという気持ちから、洗濯物を干しづらいというケースもあります。
害虫が入りやすい問題
マンションの1階は地上の植物や土地がすぐそばにあるため、害虫が入りやすいという問題があります。市販の防虫商品などで対策を講じることが必要です。
浸水被害のリスク
マンションの1階の場合、自然災害による浸水被害のリスクは高くなります。 近年、日本では毎年のように台風や線状降水帯といった異常気象が起こっており、水害や土砂災害なども頻発しています。特に海や河川の近くにある土地、低い土地にあるマンションは浸水被害のリスクが高く、マンション購入を検討している人からは敬遠される原因となっています。
騒音と振動のリスク
マンションの1階は、通行人の話し声、バイクや自動車の走行音、トラック通過時の揺れなどが伝わりやすく、騒音と振動のリスクがあります。
眺望と日当たりが悪い
マンションの1階は、眺望と日当たりが悪いケースが多くみられます。眺望に関しては、1階からの景色となり、塀や植物、隣家がみえるだけ、といったケースも少なくありません。 また1階の部屋の場合、周囲に高層マンションやビル等といった高い建築物がある場合、日当たりや風通しが悪くなる傾向にあり、湿気がこもりやすいため対策が必要になります。
地面からの冷気リスク
マンションの1階には、地面からの冷気が上がってきやすく、日当たりが悪いことも重なり、それらの影響から冬は底冷えする可能性があります。 マンションの2階以上の部屋は、下の階があり地面から直接冷気が伝わってくることはないため、冬の時期の底冷えは1階特有のデメリットといえるでしょう。。
マンションの1階のメリット
マンションの1階のメリットについて解説します。
重い荷物を搬入・搬出しやすい
マンションの1階の場合、重い荷物を搬入・搬出しやすいというメリットがあります。 エレベーターを占拠しないため、他の住人への配慮も少なくて済みますし、大型の家具や家電搬入・取り付けの際、直接部屋に運び込むことができるため、追加料金も不要です。
災害時の避難経路を確保しやすい
マンションの1階の場合、災害時の避難経路を確保しやすいというメリットがあります。 地震が起こった際は、上層階ほど揺れが大きくなりますが、1階は最も揺れが少ない場所となります。火災時は煙が上に昇りますが、1階であれば迅速な避難が可能です。また、停電によってエレベーターが使えない場合にも1階であればスムーズに避難できます。
落下の心配がない
小さい子どもを育てている家庭は、子どものマンションの転落事故について心配があります。 マンションの1階の場合、窓やベランダからの落下による危険がないので安心です。
エレベーターを利用する必要がない
マンションの1階であれば、エレベーターを使うこともなく、すぐに共用エントランスへ移動できます。 エレベーターの待ち時間がないため、小さい子どもがいたり、荷物を抱えていたりするときなどにも、ストレスがありません。 また、エレベーターの定期点検、交換等でエレベーターが一定期間できない可能性もあります。そのようなときにも1階であれば、そもそもエレベーターを使う必要がないため、ストレスを感じることはありません。
専用の庭やテラスが利用できる
物件にもよりますが、マンション1階には専用の庭やテラスがついていることがあります。 専用庭やテラススペースがあれば、家庭菜園やガーデニング、子どもの遊び場として活用できます。
1階のマンション売却の際のポイント
1階のマンション売却の際のポイントについて解説します。
売却するターゲットの明確化
マンションに限らず、不動産を売却する際は、どのような層をターゲットとするかを明確にし、効果的な販売広告や内覧対応を行いましょう。
ターゲット例:高齢者世帯
高齢者世帯は足腰が弱っていたり、将来的な介護に備えるといった観点から、階段やエレベーターを使う必要がなく、移動の時間と負担が少ない1階などの低層階を選ぶ傾向にあります。 また高齢の方は趣味としてガーデニングや家庭菜園などを好む人も多く、そのような高齢者にとって専用庭のある1階は、うってつけの環境といえます。
ターゲット例:幼い子どもがいる家族世帯
子育て世帯にとって、上述したように子どもの落下リスクがない1階の部屋は安心です。また、エレベーターを使わなくても共用エントランスへの移動ができますし、専用庭があれば子どもの遊び場としても活用できるといったメリットもあります。
1階ならではの魅力を強調する
マンションの1階売却の際は、1階ならではの魅力を強調することが大切です。 1階であれば、エレベーターを使う必要がないため災害時の避難がしやすいですし、専用庭がある場合はガーデニングや家庭菜園などに興味がある人に対して、アピールできます。
セキュリティ面をアピールする
防犯面の心配を取り除くことができれば、高価売却、早期売却につながりやすくなります。 マンション1階の購入希望者の中にも、セキュリティ面での心配がある人はいますので、不安払拭の情報提供を行いましょう。
1階のマンション売却時の注意点
ここからは、1階のマンション売却時の注意点について解説していきます。
内覧時の部屋の紹介方法
マンション1階の内見の際には、特に明るさに注意するべきです。 1階は日当たりが悪いことも多いため、可能であれば内覧の時間は日が入りやすい時間帯にして、部屋中の全ての照明をつけて、明るい雰囲気をつくることが重要です。 ミラーカーテンを利用するのも、外の目が気にならない印象を与えるコツです。
洗濯物の心配を取り除く
1階マンションに住む上で気になるのが洗濯物のことです。購入希望者の立場としては、日当たりが悪い、また外から洗濯物が見られるのではという心配があります。 外部から洗濯物を見られないための対策としては、風を通して視線は遮るベランダ用の目隠しカーテンを使用する、洗濯物カバーを利用するなどが一般的です。 マンションによって日当たりが違うので一概には言えませんが、あまりに日当たりが悪いケースでは、衣類乾燥機の利用ができることを伝えるのも一つの方法です。これらの対策を内覧時に伝えることで、洗濯物の不安を軽減することができるでしょう。
防犯上の懸念を払拭する
オートロックや防犯カメラ、警備会社との契約など、実際に取り入れている防犯対策について事前に情報提供し、防犯上の懸念を払拭することが重要です。
売りやすい1階のマンションの特徴
売りやすい1階のマンションの特徴について解説します。
日当たりが良い
1階でも日当たりが良ければ、湿気や洗濯物が乾きにくいといった心配がなく、売りやすいマンションと言えます。 1階マンションでも、周囲に高い建物がないなど立地環境によっては日当たりが良い部屋もあります。
セキュリティがしっかりしている
防犯対策がしっかりしている1階の部屋は売りやすい物件です。 オートロックのエントランスのあるマンションであれば、1階であっても外部から侵入しにくいマンションであるといえます。その他、防犯カメラ、警備会社によるセキュリティなどが充実していれば、セールスポイントとなります。
専用の庭がある
専用の庭がある1階のマンションは、アピールポイントが明確で売却しやすい物件といえます。 戸建てと同じように庭を活用できれば、花や野菜を育てたり、子育てのスペースに使ったりと自由な使い方ができます。
1階のマンションをスムーズに売る方法
1階のマンションをスムーズに売る方法について解説します。
セールスポイントの把握・アピール
マンションの部屋の良いところも悪いところも、一番理解しているのは住んでいる売主自身です。内覧の際は、生活者の視点からのメリットやセールスポイントを事前に整理しておき、伝えることで、購入希望者が、その家で生活するイメージを持ちやすくなります。 1階ならではの専用庭や専用のカーポートなど、物件特有のセールスポイントを整理して、アピールできるように準備をしておきましょう。
1階のデメリットへの対策
不動産売却時にやってはいけないことは、デメリットを隠すことです。 デメリットを隠して売却してしまうと、最悪の場合、法的に訴えられて損害賠償を請求されることもあり得ます。 上述したように1階マンションのよくあるデメリットは、日当たりや防犯、騒音などさまざまなものがあります。それぞれについてどのような対策がなされているのかを正直かつ正確に話すことが、スムーズな売却を実現する最も健全な方法です。
マンション売却に強い不動産会社に任せる
1階のマンションをスムーズに売るには、マンション売却に強い不動産会社に仲介を依頼することが大切です。 不動産会社はどこも同じではありません。新築物件の売却をメインに行なっている会社や、管理専門の会社などさまざまです。 不動産会社の見極めのポイントは、中古マンションの売却実績が豊富であること、担当者が誠実であること、査定内容やその根拠が正確であることなどが挙げられます。また1階マンションの売却について担当者に意見を聞いて、セールスポイントはどこか、どのような販売プランが良いかなどを質問して判断することも有効です。
売却と並行して買い取りも視野に入れる
売却までの期限が決まっている、早めに売却を終わらせたい、といった都合があればは、売却と並行して不動産会社による買い取りも視野に入れることがおすすめです。 マンションの売却は、購入したいという人が現れるまで続くため、いつ売却できるかは誰にもわかりません。 買い取りであれば、おおむね1か月程度でマンションの売却と引き渡しまでが完了します。内覧対応、部屋の片付け・清掃やリフォームなど、売却のための各種作業も不要です。販売広告を出さないので、誰にも知られずに売却することができ、引き渡し時期も融通が利きます。 売却価格が市場価格を下回る可能性があることがデメリットとなりますが、確実な売却方法であるため、売却がうまくいかない場合は検討するだけの価値はあるでしょう。
まとめ
売れにくい、人気が低いといわれる1階の部屋を売却する場合、1階特有のデメリットについての対策を明確にすると同時に、メリットを最大限に前面に押し出すことが重要です。買い取りも視野に入れながら、信頼できる不動産会社と一緒に売却活動を進めていきましょう。
監修者:キムラミキ
ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント
日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。