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2023.06.21

マンション売却

築浅マンション売却で損しないコツは?築浅マンション売却の特徴とポイントを解説

築浅マンションの売却は、通常の中古マンション売却と比較して、損しないためのポイントが異なります。
本記事は、築浅マンションの売却を予定している方に向けて、築浅マンションの特徴と損しないための注意点などについてお伝えします。

1.築浅マンション売却のための基礎知識

築浅マンションの基礎知識についてご説明します。

築浅マンションの定義は?新築マンションとどう違う?

築浅マンションに使われている「築浅」という言葉には法的な定義はありません。建築後、日が浅いマンションが「築浅」、築何年までが「築浅」という定めがありません。不動産会社によっては築10年以内の物件でもまだまだ築浅のような表現をされることもありますが、一般的には、築3年~5年以内の不動産が築浅住宅、築浅物件と呼ばれることが多いようです。

一方、新築マンション、新築戸建てなどの「新築」の定義は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」という法律で規定されています。この法律では、「新築住宅」とは、新たに建設された「住宅」であり、建設工事の完了から1年以内で、かつ、人が住んだことのないものとされています。

築浅マンション売却は住宅ローン完済が原則

築浅マンションに限らず、住宅ローンの残債がある住宅を売却する際は、住宅ローンの一括返済が必要です。

住宅ローン残債よりもマンションの売却予定金額が高いときは問題ありません。しかし、住宅ローン残債よりもマンションの売却予定金額が低い場合(オーバーローン)、マンションを売却しても、売却代金で住宅ローン残債をすべて返済することができません。

この場合、マンション売却で完済が見込めない場合は、残債との差額を自己資金で支払うなどの補填が必要となります。マンション売却の際は、まず不動産会社の査定を受けて、補填の要否を確認しておきましょう。

築浅マンション売却後は損が出ても確定申告すべき

マンションの売却収入から経費を引いた金額がプラスとなった(売却益が生じた)場合、譲渡所得となり、譲渡所得税が課税されますので、確定申告が必須です。

一方、マンションの売却収入から経費を引いた金額がマイナスとなった(売却損が生じた)場合、譲渡所得はゼロとなるため、確定申告は必須ではありません。ただし、「居住用財産の3000万円特別控除」など特例適用を受けた結果、譲渡所得がゼロとなる場合には確定申告が必須です。

特例適用を受けなかった場合でも、売却したマンションが所有期間5年超であれば「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用により、給与所得等他の所得から損失分を控除できるなど、節税につながる可能性もあります。

築浅マンションを売却した際に、売却損が生じたから確定申告を行わなくても良いと考えてしまうと、節税の機会を逃してしまう可能性があります。あらかじめ適用が受けられる特例について不動産会社や税務署に確認を行い、損をしないようにしておきましょう。

参考
「居住用財産の3000万円特別控除」国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3392.htm

2. よくある築浅マンションの売却理由と売主に伝えるべきポイント

よくある築浅マンションの売却理由と、売主に伝えるべきポイントについて解説します。

よくある築浅マンションの売却理由

築浅マンションの売却理由として、以下のような元々は予定していなかった出来事が売却のきっかけになることが多いでしょう。

・転勤、転職など仕事上の都合
予定していなかった急な転勤、あるいは転職などの事情で、別の地域に移る必要が出たことで、マンション売却が必要になった。

・住宅ローンが支払えない
さまざまな事情で月々の住宅ローンの支払いが難しくなり、マンションを手放すしかなくなった。

・出産、離婚
出産などで生活スペースが手狭になったため、離婚によって売却が必要になった。

築浅マンションの売却理由は正直に伝える

中古マンションの買主から売却理由を質問される可能性があります。特に築浅マンションであれば、まだ状態の良いマンションをなぜ手放すのか、何か不具合があるのか、という疑問を持つかもしれません。

住宅ローンの延滞、離婚などが理由でも、物件そのものに問題がなければ買主側はあまり気にしないことが多いです。曖昧に理由を濁して変な誤解を生まないように、本人としてはネガティブな理由についても率直に売却理由を伝えましょう。

マンションの瑕疵に関しては正確に伝える

瑕疵(かし)とは、不具合や欠陥のことです。マンションの瑕疵は、必要な機能・性能を備えていないことを指します。

もしもマンションに瑕疵があれば、仲介を担当する不動産会社の担当者に、包み隠さずに正確に伝えることが重要です。居住に支障がある瑕疵について、意図的に誤魔化したり嘘をついたりすると、最悪の場合、売却後の売買契約の解除や損害賠償につながる可能性があります。

3.築浅マンション売却のメリット・デメリット

ここでは築浅のマンション売却について、築浅という特徴が、メリットとデメリットについて解説します。

築浅マンション売却のメリット

・築古のマンションよりも高く売れる可能性が高い
築浅マンションは新築マンションのトレンドに近いため資産価値が高く、築古のマンションよりも高く売れる可能性が高いです。また近年、コロナ禍や資材高騰などの理由で新築マンションの供給量が減少傾向であった時期もあり、中古マンションの価格は上昇傾向にあります。そのためエリアによっては、数年前に新築で購入した価格よりも、高い価格で売却できるという取引事例もあります。

・人気が高く、早く売れる傾向がある
近年、新築マンションの供給量が減少傾向であったため、新築並みの状態で新築よりも安く購入できる築浅のマンションは、人気が高く、早く売れる傾向があります。

・リフォームの必要がない
築浅マンションの場合、新築から年数が経っていないためトレンドに近く、まだ設備が老朽化していません。そのためリフォームの必要がなく、リフォーム費用の負担がないことは大きなメリットといえます。

築浅マンション売却のデメリット

・購入価格よりも売却価格が下回る可能性もある
築浅マンションは、築古のマンションに比べて高値で売却できる可能性があります。ただし、築浅マンションでも新築時の購入価格より売却価格が下回る可能性は高いです。一般的には新築時の8~9割の価格で売買されるケースが多いです。

・新築住宅の10年保証をマンションの強みにできない
新築住宅の売主である不動産会社等の事業者には、提供する新築住宅の基本構造部分について、引き渡し後10年間の瑕疵担保責任の保証が義務付けられています。この保証は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」に基づいた制度で、すべての新築住宅に適用されます。

しかし、この10年保証は、新築マンションの購入者と分譲主との契約であり、築浅マンションにまだ保証期間が残っていても、それを次の所有者に引き継ぐことは当然にはできません。そのため、必ずしも10年保証があることをマンションの強みにできないことはデメリットといえるでしょう。

・築浅で売却することに対する懸念を持つ人がいる
購入後に築浅の状態でマンションを手放すことから、何かトラブルなどがあるのかと疑われることもあります。この点は、実際に隣人トラブルなどの理由で手放すといった事情がなければ、事情を説明することでクリアになるので、大きなデメリットとはいえません。

4.築浅マンションを高く売るコツ

ここからは、築浅マンションを高く売るコツについて解説します。

なるべく早く売却する

マンションに限らず、戸建てやアパートなど、不動産を売却する際の大原則として、築年数が新しいほど高く売れる傾向にあります。経年劣化による資産価値の下落は避けられないからです。マンションを売却する必要があるのであれば、早めに売却の活動をスタートするのが望ましいでしょう。

自分で市場相場価格を調査する

不動産会社に査定依頼する前に、インターネットの不動産ポータルサイト等で、売却予定のマンションと似た条件の物件の販売価格をチェックしましょう。マンションの市場価格相場を把握できれば、不動産会社によるマンション査定額の妥当性や売出価格の設定、値引き幅の設定などにとても役に立ちます。

信頼できる不動産会社に売却の仲介を依頼する

仲介を依頼した不動産会社は、売却活動全般を担当する重要な存在となります。不動産会社選びのポイントは、マンションの売却実績・経験が豊富で、担当者が信頼できる会社を選ぶことです。

過度な値下げには応じない

マンションの売却活動中、想定よりも大きな幅の値下げ要求を受けることがあります。売主側の心理として、「これを逃すと次の購入希望者は現れないかもしれない」と不安になり、大きな値下げに応じてしまうケースが多くあります。

しかし築浅マンションは、築古マンションに比べて競争力があります。現金化を急ぐなどの理由がない限りは不動産会社とも相談して、相場価格を大きく下回る価格では応じないのも高く売るコツです。

5.築浅マンション売却の注意点

ここでは、築浅マンションを売却する際の注意点について解説します。

所有期間が5年以下だと売却益にかかる税率が高くなる

所有期間が短い築浅マンションの売却の際は税率に注意が必要です。

具体的には所有期間が5年超の場合、長期譲渡所得となり、譲渡所得に対する所得税率は20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)となります。一方、所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得となり、譲渡所得に対する所得税率は39.63%(所得税30.63% 住民税9%)となり、税率が高くなります。

3000万円の特別控除などの特例を活用して節税を行う

特例を活用して節税を行えるように、マンションの売却前から、あらかじめ確認しておきましょう。確定申告が終わって時間が経過してから、特例の適用が受けられることを知って慌てないようにしましょう。

築浅マンションなら賃貸より売却が有利

原則として、住宅ローンは自己居住を目的としたローンなので、住宅ローンがあるマンションは、賃貸には出せません。ただし、金融機関によっては、転勤などの理由で居住困難な場合に許可してもらえる場合もあります。

その場合でも、賃貸中も経年劣化は進みますし、入居者満足向上のための物件管理コストや時間、手間もかかります。そのうえ、賃貸後に時期を見て売却しようと思っていても、賃貸中の物件は収益物件扱いとなり、売却価格は下がります。

人気・競争力があり高値ですばやく売れる可能性が高い築浅マンションだからこそ、マンション売却を視野に入れているのであれば「とりあえず賃貸」ではなく、早期の売却が有利です。

6.まとめ

築浅マンションは、新築並みの状態で新築よりも安く購入できるため人気があり、比較的売却しやすい物件といえます。売却理由については、包み隠さず買主に伝えることでトラブル防止になります。特に瑕疵がある場合は必ず伝達しましょう。

築浅マンションの市場価値を考えると、相場を大きく下回る値引きには応じる必要はありません。築浅マンションの売却で損をしないためには、自分自身で市場価格を調査して、相場をつかみ、信頼できる不動産会社に仲介を依頼することが大切です。

監修者:キムラミキ

ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント

日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。

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