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住み替え

2023.06.27
50代は、マイホームの住み替えを検討する方が多い年齢です。本記事では、50代で住み替えをする際の注意点を踏まえて、住み替えで失敗しないためのポイント、持ち家の具体的な取り扱い方法までをわかりやすく解説していきます。 50代が住み替えを考える人が多い理由 なぜ50代で住み替えを考える人が多いのか、その理由について解説します。 子どもの独立などで老後を踏まえたライフスタイルが確立する ライフスタイルが確立して、サイズや間取りなど必要な家のニーズが定まっているため、住み替え先の住宅を探しやすい、または建てやすい時期だからといえます。 50代という年齢は、子どもの進学や就職などで子どもが独立して、子育てが終わったという方が多い世代といえます。加えて、経済的にも余裕ができる時期でもあるため、ずっと検討していた場所への移住や、老後を見据えての終の棲家探しに目を向けやすくなるのかもしれません。 20代・30代で購入した家が老朽化している 持ち家の老朽化に伴うリフォームの必要性に迫られ、リフォームのみならず、新たな家に移る選択肢も併せて検討される時期だからといえます。 20代・30代で購入した持ち家が50代になると、新築で建築した家でも築20~30年となるため、老朽化が進んでいる可能性が高いでしょう。中古住宅を購入していた場合は、より老朽化が進んでいるといえます。 リフォームの費用は部分的なものでも100万円単位のお金がかかる場合があります。また、建物全体のリフォームの場合、リフォーム費用は1000万円以上かかることもあります。そのため、リフォームに費用をかけるよりは新居の賃貸や購入、新築を検討する人も多いでしょう。 収入が高く、まだ住宅ローンの利用も可能 50代は経済的に余裕があり、ゆとりのある住宅ローンを組むラストチャンスだからです。 50代の人の場合、20~30代に比べると収入に余裕のある方も多い傾向にあります。また完済年齢を考慮しても50歳なら、ゆとりのある住宅ローンが利用できる可能性が高いでしょう。さらに、年齢を重ねるとゆとりのある住宅ローンの利用が難しくなるため、住宅ローンを使った住み替えを考えているなら50代がラストチャンスといえるかもしれません。 関連記事はこちら ▶ マンション住み替えタイミングの決め方は?おすすめのタイミングと損しないためのコツを紹介 50代で住み替えを検討するなら早い方が良い 先述のようにさまざまな理由から、50歳で住み替えを検討される人がいるでしょう。しかし、その検討と着手は早い方が望ましいです。その理由について解説していきます。 50代なら気力・体力がまだまだ充実している 50代は住み替えに必要な気力と体力があるからです。 住み替えは、元々の住居の売却と、新居を探すか新しく建てるという、2つの大きなイベントを同時に行う必要があります。住み替えには相当な時間と労力がかかるため、60代以降になると健康面でも精神面でも新しい環境に適応することが年々難しくなります。いずれ住み替えをやると決めているのであれば、元気なうちに早めに行動を起こすことが望ましいでしょう。 関連記事こちら ▶︎マンション住み替えを大変にする要素とは?失敗しないためのポイントをご紹介 60代以降になると選択肢が限られてくる 年を重ねるにつれて、特に60代以降になると、住宅ローンの利用や賃貸の住み替えなど、クリアしなければいけない条件が厳しくなるため、選択肢が限られてしまうからです。 住宅ローンは申し込みができる年齢制限が65歳以下、あるいは70歳以下という金融機関がほとんどです。住宅ローンを活用して新居の購入、新築を行う場合には、年を重ねれば重ねるほど、退職した後に毎月の返済を行っていく収入面の懸念、団体信用生命保険に加入する際に持病で審査が通りにくくなる健康面の懸念があります。 また賃貸住宅に住み替えを検討する場合、高齢となると入居やその後の更新を断られてしまうケースもあります。 現在の家の資産価値があるうちに売却すべき 建物は築年数を経れば経るほど、売却価格が下落していくからです。 持ち家に住んでいる場合、その持ち家は、年々市場価値が減少していることを認識しておきましょう。住み替えの予定があるのであれば、持ち家の市場価値が下落して、売却が難しくなる前に、売却を決断した方が望ましいでしょう。また、老朽化が進み、設備故障や破損が生じれば、修繕費用が必要となる可能性もあります。 もちろん、築年数が古くなったからとはいえ売却は可能です。しかし、築20年よりも築30年、築30年よりも築40年と築年数を経るほど売却しにくくなり、売却価格はどんどん下落していきます。 50代の住み替えで失敗しないためのポイント 50代の住み替えで失敗しないためにおさえておきたいポイントについて解説していきます。 住宅ローンは余裕のある資金計画をもとに利用する 余裕のある資金計画を立てるように心がけましょう。 退職後は大きく収入が減る可能性もあります。その一方で、50代で住宅ローンを組む場合、返済期間が短くなる可能性もあるため、月々の返済の負担は大きくなります。状況を考慮して、借りられる上限ぎりぎりではなく、余裕のある住宅ローンの返済プランとなるようにしましょう。 また、老後生活の資金計画も考えると、将来的な退職金の取り扱いにも注意が必要です。基本的に退職金は、住宅ローンの返済には使わず、老後の備えとして確保しておき、不測の事態が起こった時に対応できるようにしておきたいものです。 関連記事はこちら ▶︎マンション住み替えにはどんな費用がかかる? マンションか一戸建てか、持ち家か賃貸かを慎重に選択する 住み替え先として、住宅種別としてマンションか一戸建てか、購入するか賃貸にするかを慎重に判断しましょう。 50代からの新居選びは年齢を重ねていくことも考慮して、自分自身だけでなく、家族とも十分に相談を重ねる必要があります。 住み替え先として、マンションもしくは一戸建てを購入する際に、マンションから戸建て、あるいは戸建てからマンションへの住み替えの場合は、生活スタイルの変化に戸惑う可能性にも留意しておきましょう。なお、マンション、一戸建ていずれにしても購入(新築)に加えて、メンテナンスも必要になります。過度な費用や体力の負担が生じないか、確認も必要です。 一方、賃貸住宅を選ぶ場合には、年齢を重ねてからの契約更新の可否、介護が必要になった時のリフォームの可否を確認する必要があります。年齢を重ねると収入面や健康面の懸念が大きくなることから、契約更新ができないケースもあります。また、リフォームについて、貸主の同意を得られない場合もあります。生涯にわたって家賃支払いを継続できるか否かも考慮して、慎重に検討を進めましょう。 新天地への移住は移住先の事前調査をしっかり行う 今まで住んだことがない新天地への移住なら、事前の移住先の調査をしっかり行うことが大切です。 50代からの住み替え先として、新天地を選ぶ人もいるかと思います。田舎暮らしへの憧れはもちろん、近年のコロナ禍によるリモートワークの普及もあり、都心から地方への移住を希望する人は多いでしょう。 しかし、憧れだけで移住した結果、想像以上の気温の変化、厳しさなどを後から知って後悔するケースもあります。 住んだことがない場所へ移住する際には、スーパーや病院など必要な生活施設があるか、周辺の環境の下調べを行うほか、さまざまなシーズンに、実際に現地に何度も足を運んで、体感しておくことが重要です。 将来的な介護の必要性・バリアフリーの重要性を認識する 長い老後を見据えて、将来的な介護の必要性・バリアフリーの重要性を認識したうえで、新居選び、あるいは新しい戸建ての設計を行うことが大切です。 厚生労働省が公開している日本人の平均余命がわかる令和3年の簡易生命表によると、50歳の平均余命は男性32.93年、女性38.61年です。つまり平均で男性は82.93歳、女性は88.61歳まで生きることが予測されます。寿命が延びることは大変喜ばしいことですが、一方で生きている間に介護が必要になる可能性があることにも目を向けておきましょう。 住み替えを成功させるための持ち家の取り扱い ここからは、住み替えを成功させるための持ち家の、具体的な取り扱いについて解説していきます。 まずは現在の持ち家の査定を受けることが住み替えの第一歩 住み替えに際して、持ち家を売却する場合、まずは現在の家の不動産査定を受けることが、住み替えの第一歩となります。 インターネットの査定サービスや実際に不動産会社を訪問するなどして、複数の不動産会社に持ち家の査定依頼をしましょう。査定には過去の取引事例価格から概算価格をすぐに算出できる机上査定と、担当者が家を直接訪問して査定する訪問査定があります。住み替えが確定している場合は、まずは机上査定の結果をもとに、信頼できる不動産会社に訪問査定を依頼しましょう。 査定結果によって、住み替え先の新居のために使用できるおおよその資金が把握できます。新居に使える資金が具体化することで、新居選びの基準ができるので次のステップに進むことができます。 賃貸に出すという選択肢もある 現在の持ち家がローンを完済している場合、その家を賃貸住宅として貸し出すという選択肢もあります。賃貸物件によって得られる不動産所得は、老後の生活を支える安定した収入源になる可能性があります。 ただし、持ち家を賃貸物件として貸し出すにあたっては、大きな前提として賃貸需要があるエリアかどうかの見極めも必要です。また賃貸に出す際には、下記のようなリスクがあることにも注意しておきましょう。 ・空室リスク:入居者が見つからなければ、空室のまま固定資産税等の税金を支払い続けることになります。 ・家賃滞納リスク:入居者が家賃を滞納するリスクがあります。 ・入居者トラブルのリスク:近隣住民とのトラブル、ゴミ屋敷などの入居者によるトラブルが発生するリスクがあります。 このように、持ち家を賃貸住宅にする場合は、一つの事業としてやっていく覚悟が必要となります。また持ち家を賃貸に出す場合、売却収入が得られないため、住み替え先の購入費用は売却収入を考慮せず、資金計画を立てる必要があります。 関連記事はこちら ▶︎住まなくなったマンションは売却か賃貸かどっちがお得?メリット・デメリットと判断基準を解説 なかなか売却できないなら買取サービスの利用も検討 持ち家の売却が難航した場合には、不動産会社による買取サービスも検討してみましょう。買取サービスであれば、売却のためのリフォームや家財の整理が不要な場合もあるので、売却に伴う手間が少なくて済みます。 また、売却後の契約不適合責任を引き受ける必要もありませんし、引き渡し時期なども融通が利くため、住み替え先の住宅購入スケジュールの調整も図りやすいメリットもあります。ただし、仲介による売却価格と比較すると、低くなってしまう点が、唯一のデメリットといえます。 買取サービスは、不動産会社が買い取りするので売却先を探す手間も時間もかからず、スピーディな売却が可能です。住み替えの際に持ち家の売却が進まない時には、不動産会社による買取サービスの利用を検討してみましょう。 関連記事はこちら ▶︎不動産売却の「仲介」と「買取」の違いを解説!あなたに合った方法もアドバイスします ▶︎マンション買取は損?注意点、失敗事例、成功させるためのポイントを解説 ▶︎マンション買取のデメリットとは?通常の仲介との違いや業者選びのポイントを解説 まとめ 50代は、住み替えをするうえで十分な条件が整っているタイミングといえます。 一般的には収入にも余裕がある人が多い年代であるため、住宅ローンの審査についても、60代ほど厳しくないでしょう。とはいえ、住宅ローンを利用する場合は、老後の収支の変化も考慮して、上限いっぱいの金額ではなく、余裕を持った返済プランを立てる姿勢が大切です。 住み替え先については事前に十分話し合い、周辺環境についても事前の下調べもしっかりと行いましょう。住み替えは早めに行うことで、より良い条件で進めることができます。持ち家の売却が進まない時に備えて、買取サービスも視野に入れながら賢く住み替えを進めていきましょう。 監修者:キムラミキ ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント 日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。

住み替え

2023.05.23
マンションの住み替えにかかる費用は、住み替え先のマンションの物件購入費用だけではないことをご存じですか?実は、マンションの住み替えには、マンションの物件購入費用以外にも、さまざまな費用が必要になります。この記事では、マンションの住み替えを検討されている方に向けて、住み替えにかかる費用にどのようなものがあるか、購入時、売却時、その他に分けて具体的にご説明します。 購入時にかかる費用 住み替え先のマンションを購入する際には、マンションそのものの購入費用以外に、以下のような費用がかかります。 不動産会社に支払う費用 住み替え先のマンションを不動産会社の仲介により購入する場合、不動産会社に仲介手数料の支払いが必要になります。仲介手数料は以下の基準に当てはめて算出します。なお、仲介手数料には別途消費税がかかります。 例えば、マンションの価格が3,000万円であった場合、「3,000万円×3%+6万円=96万円」となりますので、仲介手数料は96万円(別途消費税)を上限として請求されます。 税金 マンション購入時にかかる税金には、「印紙税」「不動産取得税」「固定資産税」があります。 ・ 印紙税 売買契約書に、マンションの購入代金に応じた金額の収入印紙を貼付、消印して納めます。印紙税の金額については、国税庁のホームページをご参照ください。 印紙税額の一覧表(国税庁 ※第1号文書参照) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm ・ 不動産取得税 不動産を取得したときに納める都道府県税です。マンション購入後に送付されてくる納付書で納めます。原則、取得した不動産の「固定資産税評価額(購入金額ではない)×3%」ですが、特例もあります。 不動産取得税(東京都主税局) https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/fudosan.html ・ 固定資産税 固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税される市町村税です。年の途中で所有者が変更となった場合、売主・買主で引き渡し日を境に折半するケースが多く、その分を支払う必要があります。 不動産登記費用 所有権等の権利を登記するための登録免許税が必要になります。この登記手続きを司法書士に依頼する場合には、その依頼費用も必要です。 登録免許税の税額表(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm 住宅ローン諸費用 マンション購入に際して住宅ローンを利用する場合、事務手数料や保証料、団体信用生命保険料、火災保険料などが必要になります。住宅ローンの借入額の3~10%程度を目安に考えておきましょう。 売却時にかかる費用 住み替えに際して、現在の住まいであるマンションを売却する必要があります。その際にかかる費用には、以下のようなものがあります。 不動産会社に支払う費用 不動産会社を通じて、現在の住まいの買主を見つけてもらって売却する場合には、仲介手数料が必要になります。仲介手数料の計算式については、先ほど「購入時にかかる費用」においてご説明した通りです。なお、不動産会社に直接買取をしてもらう場合には、仲介手数料は不要です。 税金 現在の住まいであるマンションを売却する際には、以下のような税金がかかります。 ・ 印紙税 内容は、先ほど「購入時にかかる費用」でご説明した通りです。 ・ 譲渡所得税 マンションの売却収入に対して、譲渡所得税が課税されます。原則として、マンションの売却収入から、譲渡費用(マンションを売却するためにかかった費用)、取得費用(マンションを取得する際にかかった費用)を差し引いた金額(譲渡所得)に税率を乗じて譲渡所得税を算出します。「現在の住まい」の売却であれば、所有期間の長短に関係なく「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用されることも知っておきましょう。 マイホームを売ったときの特例(国税庁)   https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm 登記費用 現在の住まいであるマンションを、住宅ローンを利用して取得していた場合、不動産登記に抵当権が設定されています。住み替えに際して、マンションの売却収入等で住宅ローンを一括返済した場合、その抵当権の抹消登記が必要になります。抹消登記にかかる費用は不動産1個について1,000円です。この抹消登記の手続きを司法書士に依頼する場合には、その依頼費用も必要になります。 住宅ローン関連費用 現在の住まいであるマンションを、住宅ローンを利用して取得していた場合、住宅ローンの残高をマンションの売却収入などで一括返済する必要があります。マンションの売却収入が住宅ローンの残高を超えている場合は問題ありませんが、マンションの売却収入だけでは一括返済に不足がある場合には、その返済資金の準備も必要になります。また、一括返済のための手数料も別途必要になります。 その他、住み替えにかかる費用 その他、マンションの住み替えに際して必要な費用には、以下のようなものが挙げられます。 引っ越し費用 マンションの住み替えに際して、引っ越し費用が必要です。なお、現在の住まいであるマンションの売却が先で、住み替え先のマンションの購入が後である場合、引き渡しのタイミングによっては、一時的な仮住まい先である賃貸物件の賃料や、仮住まいに入りきらない家財を預けるトランクルームの費用が必要となるケースもあります。この場合には、引っ越し費用も2回分必要になります。 リフォーム費用 現在の住まいの売却に際して、リフォームは必須ではありません。ただし、買主の購入条件としてリフォームの希望があった場合には、必要になる可能性があります。また、住み替え先のマンションとして中古マンションを購入した場合には、物件の状態や嗜好に応じて、リフォーム費用がかかる可能性があります。 家財処分費用・家財購入費用 現在の住まいの家財が、住み替え先のマンションで必ずしも使えるとは限らないため、新しく買い替える必要が出てくるかもしれません。また、住み替えを機に断捨離をしようと考える方もいるでしょう。その際には、新たな家財の購入費用や不要な家財の処分費用もかかります。 クリーニング費用 現在の住まいの所有者となる買主に気持ちよく引き渡しをするために、マンションの状態によってはクリーニング費用を要する場合もあります。 まとめ マンションを住み替える際には、新居となるマンションの購入費用のみならず、現在の住まいの売却に伴ってさまざまな費用が必要になります。 今回、詳細に触れてはいませんが、現在の住まいの売却において不動産会社による買取を活用した場合、買取価格は相場価格よりも下回るものの、仲介手数料やリフォーム費用、クリーニング費用などが不要になります。また、引き渡し時期の希望に柔軟に対応してくれる可能性もあるため、トータルコストを考慮した上で、買取という方法を住み替えの際の選択肢に入れておいてもよいでしょう。 住み替えに際しては、新居となるマンションの購入にかかる費用に目が行きがちですが、その他にもさまざまな費用が必要になります。想定していなかった費用の工面に頭を抱えることがないように、住み替えにおける全工程を見通して、余裕を持ったスケジュール、資金繰りを考えておく姿勢が大切です。 監修者:キムラミキ (ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント) 日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。

マンション売却

住み替え

2023.01.16
マンションの住み替えは、購入と売却という2つのイベントを同時期に行うので、失敗してしまう可能性も高くなります。本記事では、これからマンションの住み替えを検討している人向けに、マンションの住み替えでよくある失敗例、失敗が起こる主な原因を示した上で、失敗しないための方法を解説します。 マンションの住み替えでよくある失敗例 マンションの住み替えで失敗しないための対策として、住み替えを行う際にどのような失敗が起こるのかを知ることが効果的です。ここからは、マンションの住み替えでよくある失敗例をご紹介します。 住み替えがスケジュール通りにいかなかった 住み替えは、現在住んでいるマイホームを売却すること、新しいマイホームを購入することの2つのイベントを行う必要があります。 購入の場合は売主が、売却の場合は買主という相手方が存在します。相手方の都合があるため、例えば、価格交渉が進まなかったり、引き渡し時期がこちらの希望通りにいかなかったりします。 売却価格が想定より低かった マイホームの売却価格が「思ったよりも低かった」というのも、マンション住み替えでよくある失敗の一つです。 マンションの売買価格は市場相場が存在しますが、相場通りの価格で売れるとは限りません。特に住み替えの場合、買い先行でまずマイホームの購入を先に行った後、マイホームの売却を行うと、元のマイホームと新居の2つの住宅ローンを同時期に負担する、いわゆるダブルローンになる可能性があります。 ダブルローンの期間が長引くと家計への負担も大きいため、売却を焦って、結果として想定よりも低い売却価格で売却してしまうこともあります。 住宅ローンの問題が発生した マンションの住み替えでは、ほとんどの場合、住宅ローンが利用されます。住み替えの場合、自分が新居を購入する際の住宅ローンと、売却するマイホームを買手側が購入するための住宅ローンの2つがあります。 このため、自分が住宅ローンの審査に通らない、あるいは買手側が住宅ローンに通らないというリスクが発生します。特に買手側の住宅ローンが通らない場合、住宅ローン審査までにかかった時間が浪費されて、売却計画に大きな支障が出ます。 マンションの住み替えで失敗する原因 ここまで、マンションの住み替えによくある失敗の原因について解説してきました。ここでは、なぜそのような失敗が生まれるのか、マンションに失敗する原因について解説します。 住み替えに関する基本知識が不足していた マンションの住み替えで失敗する一番の原因は、住み替えに関する基本知識が不足していたからといえます。マンションの住み替えは、まず新居を購入してから元のマイホームを売却する買い先行と、元のマイホームを売却後に新居を購入する売り先行の2通りがあります。どちらが正しいというわけではなく、それぞれの特徴を押さえた上で、自分たちの実情に合ったやり方を選択する必要があります。 住み替え計画を作っていなかった マンションの住み替えの失敗の原因として、購入と売却を計画性なく進めていくことが挙げられます。行き当たりばったりではなく、大まかでもよいので、最初に売買の計画を立てることが必要です。 なぜなら計画がないと、何か問題があった際に、何を修正すべきかわからないからです。計画がないと、慌てて仮住まいの賃貸住宅を探すことになったり、引っ越し代やリフォーム費用など、想定外の出費に悩まされたりすることになります。 マンションの住み替えは、早くて3カ月、長くて1年程度かかることもあり、長丁場なイベントであるという認識が必要です。 不動産会社選びの失敗 マンションの住み替えは売却と購入を行う必要があり、売却・購入いずれも仲介会社の存在が重要となります。 マンションの売却活動、購入活動はともに、不動産仲介会社が主体となって行うことになります。信頼できない会社に仲介依頼すると、想定以下の売却価格になったり、良い物件を逃したりするので注意が必要です。 マンションの住み替え前に失敗しないためのポイント ここまで、マンションの住み替えによくある失敗とその原因についてお伝えしてきました。ここからはマンションの住み替え前に失敗しないためのポイントについて解説していきます。 売り先行か買い先行かを決めて計画を立てる マンションの住み替えは売却と購入、2つの流れを押さえて売り先行か買い先行かを決めて計画を立てることが大切です。 売却の基本的なステップは、①査定②仲介会社の選択(媒介契約)③売却活動④売買契約⑤決済・引き渡しです。 購入の基本的なステップは①物件探し②住宅ローン仮申込③売買契約④住宅ローン本申込⑤決済・引き渡しとなります。 売り先行の場合、売却するマイホームの引き渡しまでに、新居の購入・引き渡しが実行されなければ、賃貸物件などへの仮住まいの確保、そのための引っ越しが必要になります。 下記のような売り先行・買い先行のメリット・デメリットを踏まえて、自分に合った計画を立てましょう。 ・売り先行のメリット 売り先行は売却が成立してから購入に移るため、新居購入のために使える資金が明確になっている、焦らず売却活動できる、といったメリットがあります。 ・売り先行のデメリット 引き渡しまでに新居が決まらなければ、2度の引っ越し費用と仮住まいの賃貸費用が発生するといったデメリットがあります。 ・買い先行のメリット 買い先行は、欲しい物件を時間をかけて選ぶことができる点がメリットといえます。購入後に売却という流れなので、同時進行ではくやることがシンプルです。 ・買い先行のデメリット 元のマイホームが売却されるまで2つの住宅ローン(ダブルローン)の状態になり毎月の支払い負担が大きくなるのが最大のデメリットといえます。住み替えローンの場合は金利が高く審査が厳しくなること場合もあります。 信頼できる不動産会社を選ぶ 前述した通り、売却も購入も仲介を依頼する不動産会社の存在が極めて重要になります。最初に相談した会社で、なんとなく決めてしまうのではなく、不動産一括査定サイトを利用するなどして、複数の不動産会社から選ぶように心掛けましょう。 信頼できる不動産会社を選ぶポイントは、下記の通りです。 ①マンション売買の実績が豊富である ②売却の際、査定価格の根拠を明確に説明できる ③こちらの質問や疑問に対する受け答えがスムーズで、的を得ている ④住み替えの事情を理解してくれている 住み替えの場合、同じ不動産会社に売却と購入を依頼するケースもあります。売却も購入も同じ会社であれば、住み替えのスケジュール共有も容易であるため、可能であれば同じ会社を選ぶ方がよいでしょう。 値引き・買取なども視野に入れ、対応を柔軟にする マンションの売却・購入は、相手方がいることから、全てこちらの思惑通りには進みません。売却時には相手方からの値引き要求があることも多いので、ローン残債を踏まえて、あらかじめどのくらいの値引きまでなら対応できるのかを計算しておく必要があります。 また買い先行で、新居を購入後、長期間にわたって元のマイホームを売却できない事態が起こる可能性もあります。当初の査定価格にこだわって、長く売却できない状態を招くよりは、状況に応じて、業者による買取を検討するなど、柔軟な対応を心掛けましょう。 まとめ 本記事でも解説した通り、マンションの住み替えは、売却と購入、双方のステップを理解した上で、計画的に進めていくことが重要です。そのためには売り先行にするか買い先行にするか、自分の都合に合った方を選択して計画を立てて、信頼できる不動産会社とともに住み替えを進めていきましょう。

マンション売却

住み替え

2023.01.16
マンションの住み替えは大変なイメージがある人も多いと思います。本記事では、マンション住み替えで大変になるポイントを知っておきたい人に向けて、マンション住み替えの基本から失敗しやすいポイントについてお伝えします。 マンション住み替えの大変な点は購入と売却を同時に行うこと マンションの住み替えで最も大変なポイントは、購入と売却を同時に行うことです。ここでは、マンションの住み替えで行う購入と売却について詳しく解説します。 購入と売却という2つの取引が発生するから大変 不動産取引は、大きなお金が動く取引であり、通常は人生にそう何度もあることではありません。そのような大きなイベントを同時期に2つ行う点が、マンションの住み替えで最も大変なポイントとなります。 例えば売却を先に行う「売り先行」の場合、売却の結果、次に行う購入に使える資金が決まってきます。このように購入、売却ともに、一方の結果がもう一方に影響を与えるため、事前の入念な計画が欠かせません。 売り先行のメリット・デメリット 住み替えにおいて、売却を先に行うことを「売り先行」といいます。売り先行の場合のメリット・デメリットは以下の通りです。 売り先行のメリット ・新居の購入に使える資金が明確になる 売りが先行になり、売却が完了して売却代金を手にしているため、新居を購入する際に使える資金が明確になります。 ・売約価格を妥協せずに売却を行うことができる 売却する期限が定まっていないため、じっくりと納得のいく価格で売却を行うことができます。 売り先行のデメリット ・仮住まいの費用・引っ越し費用が発生する 売り先行の場合、元のマイホームを先に売却することから、新居を購入するまでの仮住まいとしての賃貸物件などへの引っ越しが必要になります。その引っ越し費用とその間の賃貸費用が発生する点がデメリットです。 買い先行のメリット・デメリット 住み替えにおいて、購入を先に行うことを「買い先行」といいます。買い先行の場合のメリット・デメリットは以下の通りです。 買い先行のメリット ・購入する物件の選定に時間をかけることができる 買い先行のメリットは、自分の納得のいくまで新居の購入に時間をかけることができる点です。 買い先行のデメリット ・ダブルローン(2重ローン)の可能性がある 新居購入に住宅ローンを使う場合、現在住んでいる住宅ローンの返済と合わせてダブルローンの状態になります。ダブルローンの場合、毎月の返済負担が大きくなるデメリットがあります。 ・売却価格が確定しない状態で新居を購入するリスクがある 買い先行の場合、元のマイホームの売却価格が確定しない状況で新居を購入するため、実際の売却価格が想定していた価格よりも下回った場合、経済的に苦しくなったり、返済計画に支障が出たりする可能性があります。 マンション住み替えでは売り先行がおすすめ 住み替えを行う場合、元のマイホームの住宅ローンを完済させてから新居購入という流れの売り先行が一般的です。買い先行の場合、住宅ローンがある状態で、新居を購入する必要があるため、資金に余裕がある人向けの住み替え方法といえます。ここでは、売り先行のメリットについて、さらに掘り下げて解説していきます。 売却を先行することで経済的なリスクを回避できる マンションの売却の際、まず不動産会社からの査定を受けて、おおよその市場価格に近い査定価格がわかります。しかし査定価格と実際の売却価格は一致しないケースが多くあります。買い先行の場合、想定していたより売却価格が低く住宅ローンの完済ができないリスクがあります。またダブルローンの負担から、元のマイホームを売り急いでしまうケースも多々見られます。余裕を持って資金を運用できる点が、売り先行の大きな利点です。 じっくりと納得のいく新居を購入できる 買い先行のケースでは、理論上、納得のいくまで新居探しを行うことができます。ただし、買い先行の場合の新居購入は、元のマイホームの売却が確定していないことから、購入する新居の価格にある程度の制限をかける必要があります。 また買い先行の場合、新居の売買契約の際に、家が売れない場合に売買契約を白紙にできる「買い替え特約」を付ければよいというアイデアもあります。しかし人気の高い魅力的な物件であればこのような買手側に一方的に有利な特約を付けることは難しいでしょう。 このように、買い先行の場合、資金に余裕がなければ、魅力的な物件を価格の制限や特約なしで購入できないのが実情です。売り先行の場合、すでに購入資金のめどが立っていることから、人気の物件であってもすぐに購入申込を行うことができるといったメリットがあります。 マンション住み替えを成功させるコツ ここまでは、マンション住み替えにおける最大のポイントである「売り先行」「買い先行」について解説しました。ここからは、実際にマンション住み替えを成功させるコツについてお伝えします。 事前に予算の準備と売買計画を立てる 自分のマイホームの住み替えなのに、不動産会社に任せきりにしてしまう人も一定数存在します。住み替えを成功させるためには、自己所有のマイホームがいくらで売却できそうかを調査することが重要です。 具体的な調査方法としては、不動産ポータルサイトのほか、過去の成約価格が確認できる「レインズ・マーケット・インフォメーション(REINS Market Information)」や国土交通省の運営する「土地情報総合システム(不動産取引価格情報検索)」などが便利です。 また資金計画を立てることも大切です。現在の住宅ローンの残債がいくらか、新居に使える預貯金の確認、新居の住宅ローンの毎月の返済額の上限の決定、引っ越し費用、仮住まいの費用、中古物件購入の場合のリフォーム費用、元のマイホームの修繕費の確認など、住み替えで発生するさまざまな費用、支払いについて計画を立てておき、想定外の出費で困らないように準備しましょう。 マイホームの市場価値と経済状況を把握した上で、売り先行か買い先行か、売買はいつまでに行うか、という計画を立てましょう。 実績があり信頼できる不動産会社を選ぶ 住み替えは売却と購入という2つのイベントをこなす必要があり、相手方とは仲介を依頼した不動産会社が交渉を担当します。売却と購入双方を一つの会社に依頼できれば、住み替えスケジュールの調整がうまくいきやすいといえます。 住み替えを成功させるためには、実績があり信頼できる不動産会社を選びましょう。具体的な選び方としては、まず複数の不動産会社に査定して、提出された査定価格に対して価格の根拠を質問すると同時に、受け答えの正確さ、接客態度の丁寧さなどをチェックしましょう。 上述したように自分で調査してマンションの相場価格がわかっていれば、妥当な査定価格かどうかを判断することもできます。 専任媒介契約および専属専任媒介契約は自動更新がなく、3カ月毎に契約更新するかを選べるので、迷ったときは一番信頼できそうな不動産会社に任せてみるのも一つの方法です。 柔軟な対応を心掛ける 事前の計画は重要ですが、実際の売買においては、新居購入時は売主、元のマイホームの売却時は買主と、相手方の都合も考慮しなければいけません。 「全く値引きに応じない」といった態度によって売却が流れて、その後に購入希望者が見つからず、結果的により低い売却金額になってしまうこともあります。むやみに譲歩する必要はありませんが、マンション売却時には値引きが入ることは一般的ですので、許容範囲内で柔軟に対応すべきでしょう。 また、買い先行でなかなか元のマンションが売れないケースもあります。この場合も、値下げや買取なども視野に入れて、柔軟な対応を行う必要があるでしょう。 まとめ マンション住み替えの大変なポイントは、記事内で解説した通り、売却と購入の2つのイベントがあり、双方のバランスを取って同時期に行う必要がある点です。住み替えは人生でなかなか行う機会がないため難しいイメージがありますが、一つ一つポイントを押さえていけば、誰でも確実に成功させることができます。本記事がマンションの住み替え時に参考になれば幸いです。

マンション売却

住み替え

2023.01.16
マンションの住み替えはどのようなタイミングで行うべきか、悩まれている方も多いと思います。本記事では、マンション住み替えのタイミングについて知りたい方向けに、よくある住み替えのタイミングの例、おすすめのタイミング、タイミング以外で注意したい、マンションの売り買いの順番について解説していきます。 マンション住み替えでよくあるタイミング例 マンションの住み替えはさまざまな理由で行われていますが、共通するのはライフスタイルの変化といえます。ここからは、マンション住み替えでよくあるタイミングについて、具体的にご紹介していきます。 子育て中、子育て後 子育て中の家族の場合、子どもの成長に合わせて現在のマイホームが手狭になり、より広い居住空間を求めて、あるいは子育てしやすい環境のあるエリアを求めて、住み替えを決断するケースが多くあります。 また、子どもが成長して家を出るなど、子育て後に住み替えを決断するケースも多くみられます。この場合、子どものためのスペースが不要になったことから、新居はよりコンパクトな居住空間を選ぶケースがほとんどです。 関連記事はこちら ▶︎50代の住み替えを成功させる荷は?基本的な考え方から失敗リスクをおさえるコツまで解説 転勤、転職など仕事上の都合 仕事上の都合で住み替えを行うこともよくあります。転勤が決まり、元の住んでいる地域に戻ってくる見込みがなく、元のマンションを賃貸に出すことが難しい場合、住み替えという判断になるようです。その他の仕事上の都合による住み替えとして、転職がきっかけになることもあります。 その他、Uターン、移住、リモートワーク、両親の介護など 子育てや仕事以外にも、Uターンや地方への移住、リモートワークで住む地域に縛られなくなった、両親の介護で地元に戻るなど、人生のイベントに応じて住み替えを決めることがあります。このように住み替えのタイミングはさまざまですが、いずれにしても、ライフスタイルの変化がきっかけといえます。 マンション住み替えでおすすめのタイミング マンションの住み替えは、多くの場合ライフスタイルの変化がきっかけとなるため、住み替えの必要性があるケースが多く、基本的には個人の都合で住み替えてよいといえます。しかし調整が可能であるならば、より有利なタイミングで住み替えを行った方がいいでしょう。ここではマンション住み替えでおすすめのタイミングについて解説していきます。 不動産価格が上昇トレンド マンション住み替えは売り先行であれ買い先行であれ、高く売却できるかどうかが大きなポイントとなります。 国土交通省が発表している、年間約30万件の不動産の取引価格情報をベースに不動産価格の動向を指数化した「不動産価格指数」によれば、マンション価格は2013年以降、2022年8月現在まで一貫して上昇傾向にあります。 現在の上昇トレンドがいつまで続くかはわかりませんが、不動産市場において相場価格が上昇トレンドにある時期は、マンション売却の面では追い風が吹いているといえます。 金利が低い時期 住宅ローンの金利が低い時期は、住み替えに適しているといえます。より具体的にいえば新居を購入するための住宅ローン金利や元のマイホームのマンションを売却する際の買手側の住宅ローン金利が下がり、購入時・売却時いずれにとっても有利になるためです。 現在の日本は金利が低い時期といえます。物価上昇などの影響からいつ金利が上昇に転じるかはわからないため、現在マンションの住み替えに動き出すのは金利面でいえば正解といえるでしょう。 修繕積立金が増える前 マンションの大規模修繕が行われた後、修繕積立金が値上がりするケースがあります。これは、マンションの築年数が経つごとに修繕すべき箇所が増えることが大きな理由になります。必ずしも値上がりすると決まってはいませんが、大規模修繕が行われる時期は、値上がりが起こる可能性があるタイミングと考えられます。 修繕積立金が値上がりすると、保有している時期の毎月の負担が大きくなる点もマイナスですが、次に買う人も修繕積立金の高さが気になる可能性があります。修繕積立金が値上がりする前は、住み替えの一つのタイミングといえるでしょう。 保有年数5年以上 個人の不動産売却は、不動産を保有した時間の長さで、売却益にかかる税率が変わります。所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率は39.63%(所得税:30.63%、住民税:9%)となります。これに対して、所有期間が5年超の場合は「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%(所得税:15.315%、住民税:5%)となります。 このように、所有期間が5年以上だと5年以下の場合に比べて、売却して利益が出た際の税率が半分程度になります。このように税制面からみると、5年超のマンションは有利になります。 ただしマイホームを売却した場合、売却益から3,000万円を控除できる特例があります。適用できる場合は保有年数が5年以上であるかどうかは関係ありません。 マンション住み替えでタイミング以外に注意したい点 ここまではマンションの住み替えのタイミングについて解説してきました。ここでは、タイミング以外で、マンションの住み替え時に注意したいポイントについて解説します。 売り先行か買い先行かを慎重に判断する マンションの住み替えを行う際、最初に考えるべきポイントは、売り先行か、買い先行かを判断することです。 売り先行は、まずマイホームを売却して、新居を購入する方法です。売り先行のメリットとしては、売却で得られる資金が確定していることから、新居の購入のための資金計画を立てやすいことが挙げられます。また売却を先に行う際、元のマイホームの住宅ローンを完済する形ことになるため、購入時には通常の住宅ローンが利用できます。 売り先行のデメリットは、売却が先になるため、新居への引っ越し前に一度、賃貸住宅などの仮住まいの確保が必要になることです。 買い先行は、まず新居を購入した後で、マイホームを売却する方法です。買い先行の主なメリットは、新居を納得がいくまで時間をかけて探せることです。 買い先行のデメリットとして、元のマイホームと新居の2つの住宅ローンが重なるダブルローンの状態になることが挙げられます。買い先行の場合、ダブルローンの負担をなくすために元のマイホームを売り急いだ結果、市場価格以下で売却することも多くあります。基本は売り先行がおすすめです。 売却と購入の決済と引き渡しを同時に行う「売り買い並行」ができれば、余計な引っ越しなどがないので理想的ですが、新居の売主、元のマイホームの買主の都合もあるため、現実に売り買い並行の実行は難しいといえます。 参考記事はこちら ▶︎マンション住み替えにはどんな費用がかかる? 余裕を持った住み替え計画を立てる 住み替えは早くて3カ月、長くて1年程度かかることもあるため、余裕を持った住み替え計画を立てる必要があります。 住み替えには、元のマイホームを売却する際の買主、新居の売主という、2つの相手方が存在します。それ以外にも金融機関の審査や価格交渉に時間がかかる、決済の時期が相手都合で遅れるといったこともあります。 全てが自分の思い通りにならないことを前提に、不測の事態にも対応できるようなスケジュールを組むことが重要です。 関連記事はこちら ▶︎マンション住み替えを大変にする要素とは?失敗しないためのポイントをご紹介 ▶︎マンション住み替えの失敗とは?よくある失敗例と対策を解説 購入する物件は価格だけで選ばない 特に中古マンションへの住み替えの場合、購入する物件については、価格だけで選ばないことが重要です。 築年数の古い物件は、安くお得に手に入る一方、耐震性や修繕の問題が発生する可能性も高くなります。購入後のリフォームなど、当初の予定より大幅にコストがかかってしまうケースもあります。築古のマンションを購入する場合は、販売価格の安さだけに注目せず、修繕コスト、リフォームコストについても事前にしっかりと調査した上で購入するようにしましょう。 まとめ マンションの住み替えのタイミングは、ライフスタイルの変化がきっかけとなるケースがほとんどです。住み替えのタイミングは、自己の都合を最優先に、不動産市況や金利状況なども踏まえて、総合的に判断すべきです。その上で、売り先行か買い先行かを決めて、慎重な住み替え計画を立てましょう。住み替えを賢く実現させるために、本記事の内容を活かしていただければ幸いです。