2023.05.25
マンションの売却時、不動産会社をどのように選べばよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、これから売却の予定があり、どのような会社に依頼するべきか悩んでいる方に向けて、マンションを売却する際の不動産会社の選び方についての3つのポイントを解説します。
マンション売却時の不動産会社の選び方のポイント①会社の特性と業績
ここでは、マンション売却時の不動産会社の選び方の最初のポイント、「会社の特性と業績」について解説していきます。
売却予定のマンションに合った不動産会社を選ぶ
不動産会社と一言で言っても、実は会社によって業務内容はさまざまです。全ての不動産会社がマンションの売買を取り扱っているわけではなく、新築戸建ての建築のみを行っている会社、物件の管理専門の会社、投資物件専門の会社など多種多様な不動産会社が存在します。マンションを売却する際は、マンションの売買取引を主な業務内容としている会社を選びましょう。
また、時間がかかっても高く売却したいか、安くても早く売りたいかなど、自分自身の売却スケジュールも検討する必要があります。1日でも早く売りたい事情があるなら、一般市場向けの仲介会社ではなく、直接買取を行っている不動産会社も検討すべきでしょう。
該当エリアでの売却実績を確認する
マンションを適正価格で売却するためには、マンション売却の実績が豊富で、マンション売却のノウハウに精通している会社を選ぶべきです。また、マンションの売却を取り扱っている不動産会社でも、地域ごとの実績が異なる場合があります。
不動産会社のWebサイトを見たり、担当者に直接質問したりして、売却予定のマンションのあるエリアでのマンション売却の実績を確認しましょう。特に売却予定のマンションと同条件のマンションの販売実績が多くあれば、その不動産会社の販売力に期待が持てるでしょう。
マンション売却時の不動産会社の選び方のポイント②査定価格と現地調査の様子
ここまで、不動産会社の業務内容や実績など、会社を見極めるためのポイントについて解説しました。ここからは、自分自身のマンションに対する担当者の個別の対応について注目していきましょう。
査定価格が適正か
マンション売却の仲介を依頼する場合、まず不動産会社に、売却予定のマンションがいくらで売れそうか、査定を依頼することから始めます。
査定には、エリアや築年数、間取りなどから概算の販売可能額を算出する「机上査定」と、実際にマンションの状態を見て査定を行う「訪問査定」の2種類があり、訪問査定の方がより正確な査定金額が出ます。
査定を依頼する前に、自分自身で売却予定のマンションの市場相場を調べておくことで、不動産会社の査定価格の妥当性がわかります。
具体的な事前調査の方法としては、指定流通機構(レインズ)が運営する「レインズマーケットインフォメーション」で全国の不動産取引の成約情報を確認する、あるいは、一般的な不動産ポータルサイトで売却予定のマンションと同条件のマンションがいくらで販売されているか把握する、などの方法があります。
査定金額の妥当性は、事前調査で把握した市場価格との比較により判断します。理由もなく高い査定価格を提示して媒介契約を結ぼうとする会社もあるので、注意が必要です。
共有部分もチェックしているか
訪問査定の際は、担当者の対応に注目しましょう。室内だけでなく、廊下やゴミ捨て場などの共有部、外壁の状態、大規模修繕計画の確認など、さまざまな角度から的確に査定を行っているかどうかを確認してください。
査定金額のみにとらわれずに、現地調査の様子もしっかり観察し、会社選びの判断材料としましょう。
マンション売却時の不動産会社の選び方のポイント③誠実な対応
不動産会社にマンションの売却を依頼する際、実際に担当するのはその会社で働く担当者個人です。ここでは、マンションの売却を依頼する会社の担当者個人に対するチェック項目について解説していきます。
担当者がこちらの質問に誠実に対応しているか
マンションを売却する際、不動産会社に査定を依頼すると、担当者が査定に来ます。その会社に売却の仲介を依頼すると、以降、その担当者がマンション売却に向けて動いてくれることになります。
その担当者が購入希望者の内覧対応をはじめとする各種の売却活動の責任者となるため、担当者個人の能力・態度は売却活動全体に影響します。
真摯に業務に取り組んでくれる、こちらの質問に誠実に対応してくれる担当者であれば、信頼できるといえるでしょう。具体的には、質問に対してごまかしたり嫌な顔をしたりしないか、メールや電話の対応がスムーズかといった点がポイントです。
不動産取引全般に関する知識が豊富か
中古マンションの売却に携わる不動産会社の担当者には、マンションの現状を把握できる力、売却に向けてどのような対策を行うべきか判断できる能力が必要です。
売却活動中は、リフォームする必要があるか、直近の不動産市場全体の動きよりも少し値下げすべきかなど、担当者と話し合って決めていく必要があります。
不動産会社を選ぶ際は、担当者が不動産取引全般に関する知識を豊富に持っているか、直接質問して確認しましょう。担当者が宅建士資格を持っていれば、相応の不動産知識がある証であり、一定の信頼をおけるでしょう。
不動産会社選びにどうしても迷ったら
ここまで、不動産会社選びのポイントについて解説してきました。しかし、これらのポイントを踏まえても、実際にはなかなか判断が難しいというケースもあるかと思います。ここでは、不動産会社選びに迷った場合の対処方法についてみていきます。
取りあえず選んでしまっても大丈夫(不動産会社の変更は可能)
不動産会社を選ぼうとしても、なかなか決め手に欠けるということはあります。不動産会社選びにどうしても迷ったときには、100%満足できなくても、複数の会社から最良と思われる会社を取りあえず選ぶのでもよいでしょう。不動産会社に売却を依頼する場合、媒介契約という仲介の契約を結びますが、媒介契約の期間は最長3カ月間と決まっています。3カ月間で売却できなければ、その時点で不動産会社の売却活動の様子を踏まえ、契約継続か解約かを判断してもよいでしょう。
不動産会社の変更を検討するポイント
不動産会社について以下のような状況があれば、変更を考えた方がよいでしょう。
・売却活動について報告がない
・レインズへの登録をしていない
・現状を踏まえた今後の活動について意見やアイデアを出さない
・メールや電話をしても応答がない、あるいは対応が遅すぎる
上記のうち、売却活動について報告がない、レインズへの登録をしていないという2点については、一般媒介契約以外の専任媒介契約、専属専任媒介契約の場合、明確な宅建業法違反になるため、契約途中でも解約することができます。
法律を守らない会社に積極的な売却活動は期待できないので、そのような場合はすぐに別の会社に変更した方がよいでしょう。
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まとめ
マンションを売却する際には、マンション売買を専門としており、自分のマンションと同条件のマンションの売却実績が豊富で、担当者が誠実に対応してくれる不動産会社を選ぶべきです。
ただし、迷った場合は一旦、複数の会社の中から最良と思われる会社を選び、売却活動の状況をみて改めて判断すればよいでしょう。本記事が、マンションを売却する際の不動産会社選びの助けになれば幸いです。
監修者:キムラミキ
ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント
日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。
2023.05.24
マンション売却で利益を出して儲かった人は、どのようなことをしていたのでしょうか。この記事では、マンションをなるべく高値で売却したい人のために、マンション売却で儲かった人の共通点と、誰でもできる損しないためのコツをお伝えします。
マンション売却で儲かった人の共通点
マンション売却で利益が出るケースはさまざまですが、儲かったポイント・要因は共通しています。ここでは、マンションを売却して儲かった人の主な共通点についてお伝えします。
①売却する不動産の立地・機能・状態が良かった
売却の大前提として、売却予定のマンションに一定の価値がなければ、利益が出るほどの価格では売れません。マンションを高値で売りたいのはみんな同じですが、「マンションの市場価値以上に大きく儲けることは難しい」ということは、最初に理解しておくべきでしょう。
売却するマンションの立地・機能・状態が良ければ、儲かる可能性が高くなります。
②信頼できて実力のある不動産仲介業者に仲介を依頼した
マンション売却で儲けることができた人は、信頼できて実力のある不動産仲介業者に仲介を依頼したケースが多いようです。
マンションの価値以上の値段で売却するのは難しいとお伝えしましたが、言い方を変えれば、いかにそのマンションの価値を正確にアピールできるかが、マンションを高値で売却するためのポイントになります。
実際のマンションの売却活動を取り仕切るのは、売主が仲介を依頼した不動産仲介業者なので、その業者の働きは極めて重要です。
③不動産市場が上昇トレンドだった
中古マンションの市場価格は、2013年ごろから上昇傾向にあります。このマンションの価格上昇には、異次元の金融緩和政策や2016年からのマイナス金利政策など、金融政策の影響が大きく、また、東京オリンピックなどの大規模イベントの開催も要因の1つといえます。
近年マンションを売却したケースにおいては、購入金額より高く売れた事例、つまり、マンションの市場価格上昇の影響により売却で儲かった事例が多く見られます。
マンション売却で儲かる方法とコツ
ここまでは、マンション売却で儲かった人に共通する要因についてお伝えしてきました。ここからは、マンション売却で儲かる具体的な方法とコツについて解説していきます。
事前調査で価格相場を把握する
マンションを高く売ろうと考えたとき、事前調査を通じてそのマンションの価格相場を把握しておくことはとても重要です。これはマンション売却に限りませんが、1つの取引で大きなお金が動くマンション売却においては特に重要なポイントとなります。
下記のような情報提供サイトで売却予定のマンションと同じエリア、間取り、日当たりといった条件で検索し、価格相場を確認しておきましょう。市場価格調査に役立つ代表的なサイトとして、全国4つの指定流通機構(レインズ)が運営し、全国の成約情報、過去データなどを確認できる「レインズマーケットインフォメーション」が有用です。その他、一般的な不動産ポータルサイトでも詳細な条件検索が可能で、事前調査に役立ちます。
自分の思い込みで価格を決めず「適正価格」を意識する
マンション売却時によくやってしまう失敗が、自分が売りたい価格で売却しようとしてしまうことです。「購入価格がこのくらいだったからこの価格で売りたい」「駅から近いから」「築浅だから」などといった考えは、自分勝手な思い込みです。
築古でも人気があるエリア、築浅でも取引が少ないエリアもあるので、築〇年で駅から徒歩△分ならいくらで売れる、といった判断はできません。
思い込みによって売却価格を決めてしまうと、マンションが売れ残る原因になります。事前調査で把握した市場の相場価格と不動産会社からの査定価格を参考に、不動産会社ともよく相談して、適正な売却価格を決めましょう。
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信頼できて実力のある不動産仲介業者を選ぶ
マンション売却で儲かった人の共通点の項で触れた通り、仲介を依頼する不動産会社はマンション売却の重要なパートナー。信頼できて実力のある不動産仲介業者を選ぶことが重要です。
しかし、実際は、なんとなく最初に相談した会社に依頼してしまう人も多いようです。
マンションを高値で売却するためには安易に妥協せず、必ず複数の会社に査定を依頼して、信頼できて実力のある不動産仲介業者を選びましょう。会社選びのポイントとしては、マンション売買取引の実績が豊富であること、査定価格の根拠を明確に説明できること、担当者の受け答えが誠実で不動産知識が豊富であることなどが挙げられます。また、複数の会社に査定を依頼すると、契約を取るためにわざと市場価格よりも高い査定価格を示す会社もあるため、注意しましょう。
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余裕を持った売却計画を立てる
マンションを売却する際、売り急ぐと、市場相場よりも安い価格での売却となってしまいます。マンションの売買には、価格交渉がつきものです。売却のスケジュールに余裕がないと、市場価格を大きく下回る指し値(希望する購入価格を提示すること)であっても、次の購入希望者が現れるかどうかわからないから売ってしまおうという判断につながります。
余裕を持ったマンション売却計画を立てることで、自信を持って適正な価格で売却できる確率が高くなります。
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マンション売却で儲かった場合の節税対策
ここからは、マンション売却で儲かった場合の節税対策について解説します。マンションを売却して利益、つまり「譲渡益」が出た場合、確定申告が必要となります。特例の適用により譲渡益がゼロになる場合でも、確定申告が必要です。
マイホームのマンション売却で損失が出た場合、確定申告は不要ですが、マイホーム売却時の特例である「損益通算及び繰越控除の特例」が適用されるケースでは所得税が減額されるので、やはり確定申告を行うべきでしょう。
長期間所有していたマンションの方が譲渡所得税率は低い
長期間所有していたマンションとそうでないマンションでは、売却時の譲渡所得税率が異なります。所有期間が5年以下であれば短期譲渡所得となり税率は39.63%(所得税30.63% 住民税 9%)、5年超であれば長期譲渡所得となり税率は20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)となります。
さらに、10年以上所有したマンションの場合、長期譲渡所得よりも低い税率となる「10年超所有軽減税率の特例」が適用される可能性があります。この特例は、後述の3,000万円の特別控除とも併用可能です。
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」は、マイホームを売却する上で最も重要な特例です。
この特例が適用されれば、譲渡所得から3,000万円を控除することができます。つまり、マイホームのマンション売却で出た利益が3,000万円以下であれば、譲渡所得はゼロになり、譲渡所得税を支払う必要はありません。この特例は所有期間に関係なく適用されるので、幅広いケースに活用できるといえます。
まとめ
マンションの売却で儲かるためには、まず売却予定のマンションの価値を正確に知ることが重要です。マンションの価値を知るには、事前調査で市場価格を把握し、不動産会社による査定価格を確認する必要があります。
その上で、信頼できる不動産会社に仲介を依頼して、余裕のある売却スケジュールを組めば、高値で売れる可能性は高まります。利益が出たら忘れずに確定申告を行い、特例の適用を受けましょう。本記事が、マンションを売却する際の参考になれば幸いです。
監修者:キムラミキ
ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント
日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。
2023.01.16
事情が変わり「マンション売却を中止したい!」という考えに至ることもあるでしょう。しかし、一度スタートしたマンションの売却活動を中止したら、どんな責任が生じるのか不安もあり、中止することをためらうケースもあると思います。この記事では、マンション売却を中止したいと考えている方に向けて、マンション売却を中止することができるのか否か、そして、マンション売却を中止する上で知っておきたい注意点についてご説明します。
マンション売却を中止できるのか?
結論から申し上げますと、一度スタートしたマンションの売却活動は中止できます。ただし、マンションの売却活動のどの段階で、中止をするのかによって手続きや対応、負うべき責任は変化します。詳しくは後段でご説明しますが、売り出し中のマンションを買主が決定しない間に中止するのと、買主が決定してから契約前、契約後に中止するのは状況が全く異なります。
もちろんマンション売却を中止するには、さまざまなやむを得ない事情や状況があるものと思います。しかし、マンション売却の中止は、不動産会社や買主(購入検討者)にも影響を及ぼします。マンション売却の一歩を踏み出す前に、できる限り慎重に検討することが大切であるのはいうまでもありません。
売り出し中のマンション売却を中止する
売り出し中のマンション売却中止は、不動産会社との合意ができれば可能です。買主が決定していなくても、内覧などを経て購入を検討されている人がいる場合には、不動産会社を通じて連絡をもらうようにしましょう。
売却を依頼している不動産会社と交わした媒介契約(専任媒介、専属専任媒介)の内容によっては、契約期間中の広告料などを請求される可能性もあります。媒介契約書に記載されている違約金などの内容を確認しておきましょう。参考に、国土交通省の示している「標準専任媒介契約約款」の該当条文を以下にご紹介します。(甲:売主、乙:不動産会社)
4 違約金等
(中略)
二 この媒介契約の有効期間内において、甲が自ら発見した相手方と目的物件の売買若しくは交換の契約を締結したとき、又は乙の責めに帰すことができない事由によってこの媒介契約が解除されたときは、乙は、甲に対して、この媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができます。
(下線は筆者)
専任媒介、専属専任媒介は、ほかの不動産会社に重ねて売却依頼できない媒介契約の類型です。そのため、成約できれば得られる媒介報酬(仲介手数料)のために不動産会社は広告費をかけて、マンションの売却活動を進めている可能性があります。
しかし、媒介契約期間の途中でマンション売却を中止すると、売買契約成立時の媒介報酬(仲介手数料)で広告費を回収できなくなってしまいます。その損失回避のため、媒介契約期間の途中で売り出しを中止するとなった場合に、必要経費を請求できるように媒介契約に規定しているものと考えられます。
なお、一般媒介は、ほかの不動産会社に重ねて売却依頼ができる媒介契約の類型です。国土交通省の示している「標準一般媒介契約約款」(甲:売主、乙:不動産会社)では、売主がほかの不動産会社に重ねて売却依頼する際、その旨の通知が必要であり、その通知を行わずにほかの不動産会社の媒介で契約成立した際には費用請求ができる旨が規定されています。
しかし、特に媒介契約期間中に、マンション売却を中止したことに対する違約金などの規定は見当たりません。つまり一般媒介契約の場合、マンション売却を中止しても費用の発生はないものと考えられます。
2 甲の通知義務
一 甲は、この媒介契約の有効期間内に1に表示する宅地建物取引業者以外の宅地建物取引業者に重ねて目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を依頼しようとするときは、乙に対して、その旨を通知する義務を負います。
二 甲は、この媒介契約の有効期間内に、自ら発見した相手方と売買若しくは交換の契約を締結したとき、又は乙以外の宅地建物取引業者の媒介若しくは代理によって売買若しくは交換の契約を締結させたときは、乙に対して、遅滞なくその旨を通知する義務を負います。
三 一及び二の通知を怠った場合には、乙は、一般媒介契約約款の定めにより、甲に対して、費用の償還を請求することができます。
(下線は筆者)
買主が決定した後にマンション売却を中止する
買主が決定した後でもマンション売却は中止できます。ただし、買主が決定する前とは違って不動産会社への対応に加えて、買主への対応も必要になります。また、売買契約の締結前か締結後かによって対応が異なります。いずれの場合でも、不動産会社と買主にまず誠意をもっておわびをする気持ちが必要です。売買契約の締結前、締結後の段階別にどのような対応が必要かご説明します。
契約締結前
買主が決定した後、売買契約を締結する前にマンション売却を中止することは可能です。前もって契約前に手付金を受け取っているケースもあるでしょう。その場合には、不動産会社を通じて、速やかに手付金を買主に返還します。
また、不動産会社に対する対応は、先ほどご説明した「売り出し中のマンション売却を中止する」ときの対応と変わりありません。専任媒介、専属専任媒介の場合は、契約期間中の広告料などを請求される可能性もある点に留意しておきましょう。
契約締結後
売買契約締結後、マンション売却を中止することは可能ですが、先にご説明した「売り出し中のマンション売却中止」「売買契約を締結する前のマンション売却中止」と比べると手間も費用もかかります。
不動産の売買契約を締結する前に、不動産会社から重要事項説明が行われます。その重要事項説明の中に「契約解除に関する事項」および「損害賠償額の予定または違約金に関する事項」が含まれています。買主に交付した重要事項説明書の内容を確認しておきましょう。
「契約解除に関する事項」には、手付解除についての規定が設けられているのが一般的です。一般的な規定としては、手付解除の期日を決め、その期日までの期間であれば売主は手付金の倍額を買主に提供することで、契約の解除を行うことができます。また、「損害賠償額の予定または違約金に関する事項」に具体的な金額や割合(売買代金の〇%相当額など)を決めているときには、その支払いも必要になる場合があります。
なお売買契約締結後、マンション売却を中止しても、不動産会社に対しての媒介報酬(仲介手数料)の支払いは必要になります。
売買契約後、不動産会社はもとより、買主は決済、引き渡しのためにさまざまな手続きを進めていることを中断しなければなりません。また買主は思い描いていた計画を白紙に戻さなくてはなりません。確かに売買契約を締結した後も費用や手間がかかりますが、契約解除は可能です。しかし、売買契約後のマンション売却を中止となれば、当事者間に後味の悪さが残ってしまうことは否めません。
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まとめ
マンションを売却する立場から見れば、「事情が変わったからマンション売却を中止して何が悪いのか」という思いもあるかもしれません。しかし、マンションを購入する立場からすれば、条件に見合う物件を見つけられたという喜び、そしてそのマンションでの生活を想像することを、売主都合で断ち切られてしまうことになります。
今回ご説明した通り、どのタイミングでもマンション売却を中止することは可能です。ただ、お互いに後味の悪さが残ったり、費用がかかったりする場合もあります。マンション売却の際は、あらかじめじっくりと考えてから実行し、できれば途中で売却を中止しなくてもよいように努めましょう。
2023.01.16
誰もがマンション売却を失敗することなくスムーズに行いたいと考えるでしょう。しかし、実際には、失敗に終わってしまったと感じている人も多いものです。実は、マンション売却が失敗に終わってしまうのには理由があります。この記事では、マンション売却を検討している方に向けて、マンション売却が失敗してしまう理由をご紹介した上で、マンション売却を成功させるために知っておきたい対策や心構えについてご説明します。
マンション売却でよくある失敗理由
マンション売却が失敗に終わってしまうよくある理由についてご紹介します。
①不動産会社1社だけに任せてしまった
「よく知っている」「大手の不動産会社だから」などの理由で、1社の不動産会社だけに売却の相談や依頼をしてしまったというケースは失敗理由の一つになります。
不動産会社と一口にいっても、売買に強い不動産会社もあれば、賃貸に強い不動産会社もあります。また、得意とするエリアや集客方法にも違いがありますし、それによって蓄積しているデータも異なります。つまり、よく知っている不動産会社や大手の不動産会社だから、必ずしも所有するマンションの売却を得意としているとは限らないのです。マンション売却を不得手とする不動産会社が売却活動に苦戦すれば、当然ながらマンション売却はスムーズに進みません。
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②売り急ぎ過ぎた
売り急ぎ過ぎるのも失敗理由といえます。売り急ぎの様子が見えると、不動産会社だけでなく購入検討者からも足元を見られます。つまり大幅な値下げを要求される可能性があるということです。そうなると、予定していた売却収入を得られない事態にもなりかねません。特に、買い替えにおいて売却収入を購入物件の資金に充当する予定である場合、スケジュールがタイトであるケースが少なくありません。焦って売り急いでしまった結果、「もっと高く売れたかもしれない」と後悔の残るマンション売却になりがちです。
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③売り出しのタイミングが悪かった
売り出しのタイミングを間違えるのも失敗理由の一つです。後段でご説明しますが、マンションを含め、不動産の購入検討者が増える時期は決まっています。それ以外の時期にマンションを売り出しても購入検討者が少ないため、なかなか買主が見つからないという状況に陥りがちです。そのほかにも、同じマンション内で売却物件が出ているときも、その物件の価格に影響を受けることになるため、あまりよいタイミングとはいえません。
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マンション売却を失敗させないための対策
マンション売却が失敗に終わってしまう理由を踏まえた上で、マンション売却を失敗させないための対策についてご説明します。
①複数の不動産会社に査定依頼をする
知名度などで選んだ不動産会社1社だけにマンション売却の相談や依頼をするのではなく、複数の不動産会社に査定依頼を行い、査定価格についての説明を受けましょう。その中から、納得できる査定価格や売却活動の方向性を提示してくれる、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
また、売却活動がスタートしても、なかなか契約に至らないときは不動産会社の変更や広告方法の見直しも検討が必要です。この目安は売却スタートから3カ月をめどに考えておくとよいでしょう。
②余裕のあるスケジュールを立てる
マンション売却は、大幅な値下げを避けるためにも余裕のあるスケジュールを立てることが大切です。とはいえ買い替えなどのため、おおよその売却期限が決まっており、タイトなスケジュールにならざるを得ないケースもあるでしょう。その場合には、より積極的に売却活動を不動産会社に進めてもらうために、媒介契約を一般媒介ではなく、専任媒介で契約するのも効果的です。
また売却するマンションの認知を広げるために、追加で広告費用を支払うなど広告戦略を不動産会社と相談されることをおすすめします。より早くマンションを現金化したい場合には、業者買取も視野に入れておくのも一案です。
③需要の高い時期を知る
不動産購入の需要が高まるのは、一般的に新生活が始まる時期の少し前です。具体的には、1~3月にかけて需要が高まります。可能であれば、売却時期をその時期に合わせて、スケジュールを検討することをおすすめします。また、同じマンション内で、売却物件が出ているか否かについても確認しましょう。売却物件があるときには、タイミングをずらすのも一案です。同タイミングで売り出す際には、物件の強みを整理して戦略を不動産会社と相談しておくことも大切です。
マンション売却を失敗させないための心構え
マンション売却を失敗させないためには、売主として以下のような心構えも持っておきましょう。
①マンション売却の流れを知る
マンション売却の流れを知っておきましょう。複数の不動産会社に査定依頼をし、まずは机上査定での査定価格について説明を受けます。納得のいく説明、信頼できる担当者のいる不動産会社での訪問査定を経て、不動産会社と媒介契約を締結します。その不動産会社と売り出し価格を相談し、売却活動をスタートします。
その後も、内覧対応やそのためのマンションの片付け、重要事項説明書や売買契約書の内容検討などさまざまな対応が必要になります。売却スケジュールを検討する際に、売主としてどのような対応が必要なのかをあらかじめ把握しておきましょう。
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②査定価格の意味を知る
査定価格がそのまま成約価格になるとは限りません。買主と金額が折り合わなければ、購入してもらえないからです。そのため複数の不動産会社に査定依頼を行い、一番高い査定価格を出してくれた不動産会社を選択するのが正解とは限りません。納得のいく説明がもらえない不動産会社、高過ぎたり、低過ぎたりする査定価格を出す不動産会社は、避けた方が無難です。
不動産会社の見極めをするためにも、相場観を自分なりにつかんでおく姿勢も大切です。査定依頼をする際には、インターネットの不動産ポータルサイトなどを参考にしながら、同じエリアの条件が近い物件が、どれくらいの価格で売り出されているのかを確認しておくとよいでしょう。
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③不動産会社任せにしない
売主として主体的に、マンション売却に関わる姿勢が大切です。不動産会社に任せきりにするのではなく、販売活動の進捗や今後の進め方についてこまめに連絡を取るよう心掛けておきましょう。また、内見希望が入ったときに備えて、マンションの片付けやホームステージング(家具や照明を設置するなど、売り出しのための演出)の検討をするのも一案です。
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まとめ
マンション売却が失敗に終わってしまうのは、マンション売却についての知識不足と売主としての意識不足に要因があります。マンション売却を成功させるためにも、売主としての意識を持って、不動産会社任せにしないことが大切です。不動産会社は、どこでも同じではありませんし、知名度があるから必ずしも安心とはいえません。
売却を検討するマンションの所在エリアにおいて、売却を得意とする不動産会社のうち、信頼できる不動産会社と二人三脚で売却を進めていく気持ちが肝要です。マンション売却についての基本的な知識を蓄えた上で、余裕を持ったスケジュールを立ててから、マンション売却成功への一歩を踏み出していきましょう。
2023.01.16
マンションの住み替えは、購入と売却という2つのイベントを同時期に行うので、失敗してしまう可能性も高くなります。本記事では、これからマンションの住み替えを検討している人向けに、マンションの住み替えでよくある失敗例、失敗が起こる主な原因を示した上で、失敗しないための方法を解説します。
マンションの住み替えでよくある失敗例
マンションの住み替えで失敗しないための対策として、住み替えを行う際にどのような失敗が起こるのかを知ることが効果的です。ここからは、マンションの住み替えでよくある失敗例をご紹介します。
住み替えがスケジュール通りにいかなかった
住み替えは、現在住んでいるマイホームを売却すること、新しいマイホームを購入することの2つのイベントを行う必要があります。
購入の場合は売主が、売却の場合は買主という相手方が存在します。相手方の都合があるため、例えば、価格交渉が進まなかったり、引き渡し時期がこちらの希望通りにいかなかったりします。
売却価格が想定より低かった
マイホームの売却価格が「思ったよりも低かった」というのも、マンション住み替えでよくある失敗の一つです。
マンションの売買価格は市場相場が存在しますが、相場通りの価格で売れるとは限りません。特に住み替えの場合、買い先行でまずマイホームの購入を先に行った後、マイホームの売却を行うと、元のマイホームと新居の2つの住宅ローンを同時期に負担する、いわゆるダブルローンになる可能性があります。
ダブルローンの期間が長引くと家計への負担も大きいため、売却を焦って、結果として想定よりも低い売却価格で売却してしまうこともあります。
住宅ローンの問題が発生した
マンションの住み替えでは、ほとんどの場合、住宅ローンが利用されます。住み替えの場合、自分が新居を購入する際の住宅ローンと、売却するマイホームを買手側が購入するための住宅ローンの2つがあります。
このため、自分が住宅ローンの審査に通らない、あるいは買手側が住宅ローンに通らないというリスクが発生します。特に買手側の住宅ローンが通らない場合、住宅ローン審査までにかかった時間が浪費されて、売却計画に大きな支障が出ます。
マンションの住み替えで失敗する原因
ここまで、マンションの住み替えによくある失敗の原因について解説してきました。ここでは、なぜそのような失敗が生まれるのか、マンションに失敗する原因について解説します。
住み替えに関する基本知識が不足していた
マンションの住み替えで失敗する一番の原因は、住み替えに関する基本知識が不足していたからといえます。マンションの住み替えは、まず新居を購入してから元のマイホームを売却する買い先行と、元のマイホームを売却後に新居を購入する売り先行の2通りがあります。どちらが正しいというわけではなく、それぞれの特徴を押さえた上で、自分たちの実情に合ったやり方を選択する必要があります。
住み替え計画を作っていなかった
マンションの住み替えの失敗の原因として、購入と売却を計画性なく進めていくことが挙げられます。行き当たりばったりではなく、大まかでもよいので、最初に売買の計画を立てることが必要です。
なぜなら計画がないと、何か問題があった際に、何を修正すべきかわからないからです。計画がないと、慌てて仮住まいの賃貸住宅を探すことになったり、引っ越し代やリフォーム費用など、想定外の出費に悩まされたりすることになります。
マンションの住み替えは、早くて3カ月、長くて1年程度かかることもあり、長丁場なイベントであるという認識が必要です。
不動産会社選びの失敗
マンションの住み替えは売却と購入を行う必要があり、売却・購入いずれも仲介会社の存在が重要となります。
マンションの売却活動、購入活動はともに、不動産仲介会社が主体となって行うことになります。信頼できない会社に仲介依頼すると、想定以下の売却価格になったり、良い物件を逃したりするので注意が必要です。
マンションの住み替え前に失敗しないためのポイント
ここまで、マンションの住み替えによくある失敗とその原因についてお伝えしてきました。ここからはマンションの住み替え前に失敗しないためのポイントについて解説していきます。
売り先行か買い先行かを決めて計画を立てる
マンションの住み替えは売却と購入、2つの流れを押さえて売り先行か買い先行かを決めて計画を立てることが大切です。
売却の基本的なステップは、①査定②仲介会社の選択(媒介契約)③売却活動④売買契約⑤決済・引き渡しです。
購入の基本的なステップは①物件探し②住宅ローン仮申込③売買契約④住宅ローン本申込⑤決済・引き渡しとなります。
売り先行の場合、売却するマイホームの引き渡しまでに、新居の購入・引き渡しが実行されなければ、賃貸物件などへの仮住まいの確保、そのための引っ越しが必要になります。
下記のような売り先行・買い先行のメリット・デメリットを踏まえて、自分に合った計画を立てましょう。
・売り先行のメリット
売り先行は売却が成立してから購入に移るため、新居購入のために使える資金が明確になっている、焦らず売却活動できる、といったメリットがあります。
・売り先行のデメリット
引き渡しまでに新居が決まらなければ、2度の引っ越し費用と仮住まいの賃貸費用が発生するといったデメリットがあります。
・買い先行のメリット
買い先行は、欲しい物件を時間をかけて選ぶことができる点がメリットといえます。購入後に売却という流れなので、同時進行ではくやることがシンプルです。
・買い先行のデメリット
元のマイホームが売却されるまで2つの住宅ローン(ダブルローン)の状態になり毎月の支払い負担が大きくなるのが最大のデメリットといえます。住み替えローンの場合は金利が高く審査が厳しくなること場合もあります。
信頼できる不動産会社を選ぶ
前述した通り、売却も購入も仲介を依頼する不動産会社の存在が極めて重要になります。最初に相談した会社で、なんとなく決めてしまうのではなく、不動産一括査定サイトを利用するなどして、複数の不動産会社から選ぶように心掛けましょう。
信頼できる不動産会社を選ぶポイントは、下記の通りです。
①マンション売買の実績が豊富である
②売却の際、査定価格の根拠を明確に説明できる
③こちらの質問や疑問に対する受け答えがスムーズで、的を得ている
④住み替えの事情を理解してくれている
住み替えの場合、同じ不動産会社に売却と購入を依頼するケースもあります。売却も購入も同じ会社であれば、住み替えのスケジュール共有も容易であるため、可能であれば同じ会社を選ぶ方がよいでしょう。
値引き・買取なども視野に入れ、対応を柔軟にする
マンションの売却・購入は、相手方がいることから、全てこちらの思惑通りには進みません。売却時には相手方からの値引き要求があることも多いので、ローン残債を踏まえて、あらかじめどのくらいの値引きまでなら対応できるのかを計算しておく必要があります。
また買い先行で、新居を購入後、長期間にわたって元のマイホームを売却できない事態が起こる可能性もあります。当初の査定価格にこだわって、長く売却できない状態を招くよりは、状況に応じて、業者による買取を検討するなど、柔軟な対応を心掛けましょう。
まとめ
本記事でも解説した通り、マンションの住み替えは、売却と購入、双方のステップを理解した上で、計画的に進めていくことが重要です。そのためには売り先行にするか買い先行にするか、自分の都合に合った方を選択して計画を立てて、信頼できる不動産会社とともに住み替えを進めていきましょう。
2023.01.16
マンションの住み替えは大変なイメージがある人も多いと思います。本記事では、マンション住み替えで大変になるポイントを知っておきたい人に向けて、マンション住み替えの基本から失敗しやすいポイントについてお伝えします。
マンション住み替えの大変な点は購入と売却を同時に行うこと
マンションの住み替えで最も大変なポイントは、購入と売却を同時に行うことです。ここでは、マンションの住み替えで行う購入と売却について詳しく解説します。
購入と売却という2つの取引が発生するから大変
不動産取引は、大きなお金が動く取引であり、通常は人生にそう何度もあることではありません。そのような大きなイベントを同時期に2つ行う点が、マンションの住み替えで最も大変なポイントとなります。
例えば売却を先に行う「売り先行」の場合、売却の結果、次に行う購入に使える資金が決まってきます。このように購入、売却ともに、一方の結果がもう一方に影響を与えるため、事前の入念な計画が欠かせません。
売り先行のメリット・デメリット
住み替えにおいて、売却を先に行うことを「売り先行」といいます。売り先行の場合のメリット・デメリットは以下の通りです。
売り先行のメリット
・新居の購入に使える資金が明確になる
売りが先行になり、売却が完了して売却代金を手にしているため、新居を購入する際に使える資金が明確になります。
・売約価格を妥協せずに売却を行うことができる
売却する期限が定まっていないため、じっくりと納得のいく価格で売却を行うことができます。
売り先行のデメリット
・仮住まいの費用・引っ越し費用が発生する
売り先行の場合、元のマイホームを先に売却することから、新居を購入するまでの仮住まいとしての賃貸物件などへの引っ越しが必要になります。その引っ越し費用とその間の賃貸費用が発生する点がデメリットです。
買い先行のメリット・デメリット
住み替えにおいて、購入を先に行うことを「買い先行」といいます。買い先行の場合のメリット・デメリットは以下の通りです。
買い先行のメリット
・購入する物件の選定に時間をかけることができる
買い先行のメリットは、自分の納得のいくまで新居の購入に時間をかけることができる点です。
買い先行のデメリット
・ダブルローン(2重ローン)の可能性がある
新居購入に住宅ローンを使う場合、現在住んでいる住宅ローンの返済と合わせてダブルローンの状態になります。ダブルローンの場合、毎月の返済負担が大きくなるデメリットがあります。
・売却価格が確定しない状態で新居を購入するリスクがある
買い先行の場合、元のマイホームの売却価格が確定しない状況で新居を購入するため、実際の売却価格が想定していた価格よりも下回った場合、経済的に苦しくなったり、返済計画に支障が出たりする可能性があります。
マンション住み替えでは売り先行がおすすめ
住み替えを行う場合、元のマイホームの住宅ローンを完済させてから新居購入という流れの売り先行が一般的です。買い先行の場合、住宅ローンがある状態で、新居を購入する必要があるため、資金に余裕がある人向けの住み替え方法といえます。ここでは、売り先行のメリットについて、さらに掘り下げて解説していきます。
売却を先行することで経済的なリスクを回避できる
マンションの売却の際、まず不動産会社からの査定を受けて、おおよその市場価格に近い査定価格がわかります。しかし査定価格と実際の売却価格は一致しないケースが多くあります。買い先行の場合、想定していたより売却価格が低く住宅ローンの完済ができないリスクがあります。またダブルローンの負担から、元のマイホームを売り急いでしまうケースも多々見られます。余裕を持って資金を運用できる点が、売り先行の大きな利点です。
じっくりと納得のいく新居を購入できる
買い先行のケースでは、理論上、納得のいくまで新居探しを行うことができます。ただし、買い先行の場合の新居購入は、元のマイホームの売却が確定していないことから、購入する新居の価格にある程度の制限をかける必要があります。
また買い先行の場合、新居の売買契約の際に、家が売れない場合に売買契約を白紙にできる「買い替え特約」を付ければよいというアイデアもあります。しかし人気の高い魅力的な物件であればこのような買手側に一方的に有利な特約を付けることは難しいでしょう。
このように、買い先行の場合、資金に余裕がなければ、魅力的な物件を価格の制限や特約なしで購入できないのが実情です。売り先行の場合、すでに購入資金のめどが立っていることから、人気の物件であってもすぐに購入申込を行うことができるといったメリットがあります。
マンション住み替えを成功させるコツ
ここまでは、マンション住み替えにおける最大のポイントである「売り先行」「買い先行」について解説しました。ここからは、実際にマンション住み替えを成功させるコツについてお伝えします。
事前に予算の準備と売買計画を立てる
自分のマイホームの住み替えなのに、不動産会社に任せきりにしてしまう人も一定数存在します。住み替えを成功させるためには、自己所有のマイホームがいくらで売却できそうかを調査することが重要です。
具体的な調査方法としては、不動産ポータルサイトのほか、過去の成約価格が確認できる「レインズ・マーケット・インフォメーション(REINS Market Information)」や国土交通省の運営する「土地情報総合システム(不動産取引価格情報検索)」などが便利です。
また資金計画を立てることも大切です。現在の住宅ローンの残債がいくらか、新居に使える預貯金の確認、新居の住宅ローンの毎月の返済額の上限の決定、引っ越し費用、仮住まいの費用、中古物件購入の場合のリフォーム費用、元のマイホームの修繕費の確認など、住み替えで発生するさまざまな費用、支払いについて計画を立てておき、想定外の出費で困らないように準備しましょう。
マイホームの市場価値と経済状況を把握した上で、売り先行か買い先行か、売買はいつまでに行うか、という計画を立てましょう。
実績があり信頼できる不動産会社を選ぶ
住み替えは売却と購入という2つのイベントをこなす必要があり、相手方とは仲介を依頼した不動産会社が交渉を担当します。売却と購入双方を一つの会社に依頼できれば、住み替えスケジュールの調整がうまくいきやすいといえます。
住み替えを成功させるためには、実績があり信頼できる不動産会社を選びましょう。具体的な選び方としては、まず複数の不動産会社に査定して、提出された査定価格に対して価格の根拠を質問すると同時に、受け答えの正確さ、接客態度の丁寧さなどをチェックしましょう。
上述したように自分で調査してマンションの相場価格がわかっていれば、妥当な査定価格かどうかを判断することもできます。
専任媒介契約および専属専任媒介契約は自動更新がなく、3カ月毎に契約更新するかを選べるので、迷ったときは一番信頼できそうな不動産会社に任せてみるのも一つの方法です。
柔軟な対応を心掛ける
事前の計画は重要ですが、実際の売買においては、新居購入時は売主、元のマイホームの売却時は買主と、相手方の都合も考慮しなければいけません。
「全く値引きに応じない」といった態度によって売却が流れて、その後に購入希望者が見つからず、結果的により低い売却金額になってしまうこともあります。むやみに譲歩する必要はありませんが、マンション売却時には値引きが入ることは一般的ですので、許容範囲内で柔軟に対応すべきでしょう。
また、買い先行でなかなか元のマンションが売れないケースもあります。この場合も、値下げや買取なども視野に入れて、柔軟な対応を行う必要があるでしょう。
まとめ
マンション住み替えの大変なポイントは、記事内で解説した通り、売却と購入の2つのイベントがあり、双方のバランスを取って同時期に行う必要がある点です。住み替えは人生でなかなか行う機会がないため難しいイメージがありますが、一つ一つポイントを押さえていけば、誰でも確実に成功させることができます。本記事がマンションの住み替え時に参考になれば幸いです。