マンションの買取は、一般的な仲介と比べてどのようなデメリットや注意点があるのでしょうか。本記事では、買取か仲介かで迷っている方向けに、買取と仲介の違い、買取のデメリットを解説した上で、買取に向いている物件と業者選びのポイントを解説します。
マンションの買取と仲介の違いと買取向き物件の特徴
はじめに、マンションの買取と仲介の違いを解説した上で、買取向き物件の特徴についてお伝えします。
マンションの買取と仲介の違い
マンション買取による売却は、不動産会社の買取サービスを利用してマンションを売却します。一方、マンションの仲介による売却は、マンション売却の仲介を不動産仲介会社に依頼し、仲介を通じて一般の買主にマンションを売却することになります。
買取と仲介の大きな違いは、売却先(買主)です。マンション買取サービスを利用した場合の買主は買取を行う不動産会社になり、マンションの仲介による売却では主に自分のマイホーム購入を目的とする一般の人が買主となります。
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買取向き物件の特徴
買取に向いている物件としては、主に以下のような特徴が挙げられます。
・築年数が古いマンション
築年数が古いマンションは、人気がないことから買取向きの物件といえます。築年数が古いマンションは、間取りや設計が現代の生活に合っていなかったり、設備が古く故障の可能性があるなど、新築や築浅の物件と比べて敬遠される理由が多くあります
特に耐震性に対する不安は大きく、新耐震基準ではないマンション、いわゆる旧耐震基準のマンションは、人気がない傾向があります。震度6強~7程度の地震にも耐えられる新耐震基準は、1981(昭和56)年6月1日以降の建築確認に適用されています。その前日までに適用されていた基準が旧耐震基準と呼ばれています。
・売り急いでいるマンション
仲介によるマンション売却は、いつ売却できるかわからないというデメリットがあります。売却予定のマンションに、離婚や相続などによって売却期限がある場合、いつ売れるかわからない仲介での売却より、1カ月程度で確実に売却できる買取のほうが向いているといえます。
・訳ありなど不利な条件があるマンション
過去に事件や自殺などが発生した場合、マンション売却に大きく影響します。そのような不利な条件がある、いわゆる訳ありのマンションについては、なかなか買い手がつかないケースが多くみられます。
買取であれば専門の業者が購入するため、売却できる可能性があります。
・相続したマンション(家具・家電などあってもそのまま売却できる)
相続したマンションを売却する際に面倒な点として、残置物といわれる、家具や家電などといった不用品がそのままマンション内に残っているケースがあります。買取サービスなら、そのままの状態でも手間なくマンションを売却することができます。
・周囲に知られずに売却可能
物件の売りやすさ、売りにくさにはあまり関係ありませんが、マンション売却を知られたくない人やプライバシーを重視したい人にとっては、買取サービスが向いています。仲介によるマンション売却の場合、インターネットなどの媒体を通じて広く販売情報が公開されます。買取の場合、周囲に知られずにスムーズな売却が可能です。
マンション買取のデメリット
ここからは、不動産会社による買取サービスのデメリットについて詳しく解説していきます。
・販売価格が仲介より低い傾向にある
不動産会社の買取サービスを利用してマンションを売却する場合、売却価格(買取価格)の相場はマンションを仲介によって一般の買主に売却した場合に比べて、7~8割程度といわれています。買取サービスには、さまざまなメリットがありますが、仲介による売却に比べて売却価格が低くなる点が、買取の主なデメリットとなります。
・全てのマンションが買取対象とはならない
日本全国の全てのマンションが買取対象となるわけではありません。買取を行う不動産会社によって、エリアや条件が異なっており、その条件に合致しないマンションの場合、買取対象外となってしまうデメリットがあります。
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マンション買取業者選びのポイント
ここからは、マンション買取業者選びのポイントについて解説していきます。
買取実績が豊富な会社
買取サービスを行っている会社は数多くありますが、マンションの買取実績が豊富な会社を選ぶことが買取業者を選ぶ上での第一条件となります。
なぜなら、買取実績や経験が少ない会社の場合、買取査定に対する知識・経験の不足から、不当に安く見積もられたり、トラブルが起こったり、融通が利かなかったりする可能性が高くなるためです。また資金不足で買取がむずかしい場合もあります。
買取に伴うサービスが充実している会社
マンション買取サービスを行っている会社の中には、単純にマンションを買い取るだけでなく、買取に関連したさまざまな付帯サービスを提供してる会社もあります。
例えば不用品を処分してくれるサービスや、買取後にその物件を賃貸してくれる、いわゆる「リースバック」などのサービスがあります。
特に知っておくべきサービスは「買取保証」です。買取保証は、一定期間、仲介による一般の買主に向けた売却活動を行い、一定期間を過ぎても売却できなかった場合は、不動産会社が買取を行ってくれるというサービスです。売却期限が決まっているが、仲介による売却もチャレンジしたいという方は、買取保証サービスを受けてみるのも一つの方法です。
柔軟な対応が可能な会社
柔軟な対応が可能かどうかは、不動産会社選びの重要なポイントです。
マンションなどの不動産売却の際は、問題やトラブルだけでなく、引き渡しのタイミングを遅らせたい、あるいは不用品の処分を行いたいなど、困りごとや相談したい事柄が発生しがちです。そのような不測の事態にも臨機応変に対応してくれる会社であれば、安心して売却を依頼することができます。相談事や心配事がある場合は、売却相談の際に、不動産会社に気軽に相談してみることをおすすめします。
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まとめ
マンション買取のデメリットについて解説してきました。マンション買取サービスの大きなデメリットは、仲介に比べると売却価格が低くなる傾向がある点です。
しかし買取には、スピーディな売却や、一般に売りにくい物件でも売却できたり、手間が省けたりするなど、さまざまな利点もあります。
本記事の内容が、マンションの買取サービスを検討する上で、お役に立てれば幸いです。
監修者:キムラミキ
ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント
日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。