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2023.01.16

マンション売却

マンション売却を中止したい!その方法と注意点

事情が変わり「マンション売却を中止したい!」という考えに至ることもあるでしょう。しかし、一度スタートしたマンションの売却活動を中止したら、どんな責任が生じるのか不安もあり、中止することをためらうケースもあると思います。この記事では、マンション売却を中止したいと考えている方に向けて、マンション売却を中止することができるのか否か、そして、マンション売却を中止する上で知っておきたい注意点についてご説明します。

マンション売却を中止できるのか?

結論から申し上げますと、一度スタートしたマンションの売却活動は中止できます。ただし、マンションの売却活動のどの段階で、中止をするのかによって手続きや対応、負うべき責任は変化します。詳しくは後段でご説明しますが、売り出し中のマンションを買主が決定しない間に中止するのと、買主が決定してから契約前、契約後に中止するのは状況が全く異なります。

もちろんマンション売却を中止するには、さまざまなやむを得ない事情や状況があるものと思います。しかし、マンション売却の中止は、不動産会社や買主(購入検討者)にも影響を及ぼします。マンション売却の一歩を踏み出す前に、できる限り慎重に検討することが大切であるのはいうまでもありません。

売り出し中のマンション売却を中止する

売り出し中のマンション売却中止は、不動産会社との合意ができれば可能です。買主が決定していなくても、内覧などを経て購入を検討されている人がいる場合には、不動産会社を通じて連絡をもらうようにしましょう。

売却を依頼している不動産会社と交わした媒介契約(専任媒介、専属専任媒介)の内容によっては、契約期間中の広告料などを請求される可能性もあります。媒介契約書に記載されている違約金などの内容を確認しておきましょう。参考に、国土交通省の示している「標準専任媒介契約約款」の該当条文を以下にご紹介します。(甲:売主、乙:不動産会社)

4 違約金等
(中略)
二 この媒介契約の有効期間内において、甲が自ら発見した相手方と目的物件の売買若しくは交換の契約を締結したとき、又は乙の責めに帰すことができない事由によってこの媒介契約が解除されたときは、乙は、甲に対して、この媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができます。

(下線は筆者)

専任媒介、専属専任媒介は、ほかの不動産会社に重ねて売却依頼できない媒介契約の類型です。そのため、成約できれば得られる媒介報酬(仲介手数料)のために不動産会社は広告費をかけて、マンションの売却活動を進めている可能性があります。

しかし、媒介契約期間の途中でマンション売却を中止すると、売買契約成立時の媒介報酬(仲介手数料)で広告費を回収できなくなってしまいます。その損失回避のため、媒介契約期間の途中で売り出しを中止するとなった場合に、必要経費を請求できるように媒介契約に規定しているものと考えられます。

なお、一般媒介は、ほかの不動産会社に重ねて売却依頼ができる媒介契約の類型です。国土交通省の示している「標準一般媒介契約約款」(甲:売主、乙:不動産会社)では、売主がほかの不動産会社に重ねて売却依頼する際、その旨の通知が必要であり、その通知を行わずにほかの不動産会社の媒介で契約成立した際には費用請求ができる旨が規定されています。

しかし、特に媒介契約期間中に、マンション売却を中止したことに対する違約金などの規定は見当たりません。つまり一般媒介契約の場合、マンション売却を中止しても費用の発生はないものと考えられます。

2 甲の通知義務
一 甲は、この媒介契約の有効期間内に1に表示する宅地建物取引業者以外の宅地建物取引業者に重ねて目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を依頼しようとするときは、乙に対して、その旨を通知する義務を負います。
二 甲は、この媒介契約の有効期間内に、自ら発見した相手方と売買若しくは交換の契約を締結したとき、又は乙以外の宅地建物取引業者の媒介若しくは代理によって売買若しくは交換の契約を締結させたときは、乙に対して、遅滞なくその旨を通知する義務を負います。
三 一及び二の通知を怠った場合には、乙は、一般媒介契約約款の定めにより、甲に対して、費用の償還を請求することができます。

(下線は筆者)

買主が決定した後にマンション売却を中止する

買主が決定した後でもマンション売却は中止できます。ただし、買主が決定する前とは違って不動産会社への対応に加えて、買主への対応も必要になります。また、売買契約の締結前か締結後かによって対応が異なります。いずれの場合でも、不動産会社と買主にまず誠意をもっておわびをする気持ちが必要です。売買契約の締結前、締結後の段階別にどのような対応が必要かご説明します。

契約締結前

買主が決定した後、売買契約を締結する前にマンション売却を中止することは可能です。前もって契約前に手付金を受け取っているケースもあるでしょう。その場合には、不動産会社を通じて、速やかに手付金を買主に返還します。

また、不動産会社に対する対応は、先ほどご説明した「売り出し中のマンション売却を中止する」ときの対応と変わりありません。専任媒介、専属専任媒介の場合は、契約期間中の広告料などを請求される可能性もある点に留意しておきましょう。

契約締結後

売買契約締結後、マンション売却を中止することは可能ですが、先にご説明した「売り出し中のマンション売却中止」「売買契約を締結する前のマンション売却中止」と比べると手間も費用もかかります。

不動産の売買契約を締結する前に、不動産会社から重要事項説明が行われます。その重要事項説明の中に「契約解除に関する事項」および「損害賠償額の予定または違約金に関する事項」が含まれています。買主に交付した重要事項説明書の内容を確認しておきましょう。

「契約解除に関する事項」には、手付解除についての規定が設けられているのが一般的です。一般的な規定としては、手付解除の期日を決め、その期日までの期間であれば売主は手付金の倍額を買主に提供することで、契約の解除を行うことができます。また、「損害賠償額の予定または違約金に関する事項」に具体的な金額や割合(売買代金の〇%相当額など)を決めているときには、その支払いも必要になる場合があります。

なお売買契約締結後、マンション売却を中止しても、不動産会社に対しての媒介報酬(仲介手数料)の支払いは必要になります。

売買契約後、不動産会社はもとより、買主は決済、引き渡しのためにさまざまな手続きを進めていることを中断しなければなりません。また買主は思い描いていた計画を白紙に戻さなくてはなりません。確かに売買契約を締結した後も費用や手間がかかりますが、契約解除は可能です。しかし、売買契約後のマンション売却を中止となれば、当事者間に後味の悪さが残ってしまうことは否めません。

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まとめ

マンションを売却する立場から見れば、「事情が変わったからマンション売却を中止して何が悪いのか」という思いもあるかもしれません。しかし、マンションを購入する立場からすれば、条件に見合う物件を見つけられたという喜び、そしてそのマンションでの生活を想像することを、売主都合で断ち切られてしまうことになります。

今回ご説明した通り、どのタイミングでもマンション売却を中止することは可能です。ただ、お互いに後味の悪さが残ったり、費用がかかったりする場合もあります。マンション売却の際は、あらかじめじっくりと考えてから実行し、できれば途中で売却を中止しなくてもよいように努めましょう。

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