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2022.09.09

相続

マンション相続時の名義変更はどうするべき?基礎知識と失敗しない方法を解説

マンションを相続する際に名義変更をどうするべきか、どのように不動産を取り扱うべきかで頭を抱えている人がたくさんいます。不動産の登記は、普段の生活でやったことがない方が大半なので、悩むのも自然なことです。この記事では、マンション相続時の名義変更に関する基礎知識、流れ、ポイントについてご紹介します。

マンション相続時の名義変更の基礎知識

マンションなど不動産の相続は、人生で何度も経験することではないため、相続に関して戸惑うことも多いと思います。ここでは、マンション相続時の名義変更の基礎知識についてお伝えします。

名義変更とは「所有権移転登記」のこと

マンションなど不動産の名義変更といわれる行為は、「所有権移転登記」のことを意味します。所有権移転登記とは、不動産の所有権が、誰から誰に移ったかを法的に明確にするための手続きのことです。また相続が原因で行われる所有権移転登記を「相続登記」と呼びます。

相続の場合、被相続人(故人)の不動産を、相続人が相続することになります。相続人が相続後に売却する場合、故人から相続人への所有権移転登記(名義変更)が必要になります。

以前までは、相続が発生して相続人が所有権を得た後でも、不動産が故人の名義のままで放置している状態でも、罰則はありませんでした。しかし民法と不動産登記法等の改正により、2024年4月1日より、相続登記による名義変更が義務付けられます。改正の内容は下記の通りです。

・不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付ける。
・正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処することとする。

過去の相続についてもさかのぼって、義務化が適用されることになるため、注意が必要です。

マンション相続時の名義変更は誰がどこでやる?

マンション相続時の名義変更は、不動産を引き継ぐことが決まった相続人が行います。相続人が司法書士に代行を依頼することもできます。名義変更の代行ができる専門家は司法書士もしくは弁護士であり、相続上のトラブルなどがない限りは、司法書士に依頼するケースが多いです。

名義変更にかかる費用

不動産移転登記(名義変更)にかかる費用は大きく分けて「登録免許税」、「登記手続きにかかる実費」、司法書士に依頼した場合の「司法書士報酬」の3つです。それぞれの費用相場は下記の通りです。

登録免許税

登録免許税は、不動産登記時にかかる税金です。登記する理由によって税率は異なり、相続の場合、税率は0.4%です。マンションの場合の登録免許税は、下記の手順で計算します。

①土地の評価額を計算する
土地の評価額=マンション敷地全体の固定資産税評価額×敷地権割合
不動産の固定資産税評価額(土地+建物)
②土地の評価額と建物部分(マンションの専有部分)の評価額を合計して、合計額の1,000円
未満は切り捨てる
③の評価額に0.4%をかけて、100円未満を切り捨てたものが、そのマンションの登録免許税となる。

登記手続きにかかる実費

被相続人の戸籍謄本一式やマンションを相続する人の住民票や印鑑証明書など、各種証明書にかかる費用が発生します。登記手続きにかかる実費は相続方法や相続人の数など、状況によって異なります。

司法書士報酬

司法書士に不動産移転登記を依頼する場合、司法書士報酬が発生します。司法書士報酬は事務所によって、また依頼内容の難度などによって異なりますが、10~20万円程度が相場です。

マンション相続時の名義変更の具体的な流れ

ここからは、マンション相続時の名義変更を行う際の具体的な流れについて解説していきます。※マンションを含め、相続対象となる財産は確定している前提での流れとなります。

(1)相続人の確定

相続が発生した場合、遺言状があれば遺言状通りに相続人が決まります。遺言状がない場合、相続人を確定する必要があり、法定相続人による相続となります。

民法において、相続人(法定相続人)になれる資格があるのは、被相続人の配偶者、直系卑属(子どもや孫など)、直系尊属(父母や祖父母など)、兄弟姉妹ですが、相続人となるには条件が定まっています。被相続人の配偶者はどんな場合も必ず相続人になります。

配偶者以外の相続人は、下記の通り、相続の順位が決まっています。

・第1順位:直系卑属(子どもや孫など):配偶者がいる場合は、配偶者と子どもが相続人になります。配偶者がいない場合、子どもだけが相続人になります。子どもも孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子どもを優先します。

・第2順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)。父母も祖父母もいるときは、父母の方が優先されます。第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。

・第3順位:被相続人の兄弟姉妹。その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子どもが相続人となります。第3順位の人は、第1順位と第2順位のいずれの人もいないときに、相続人になります。

また相続人であることを証明するために、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍と、相続人全員の戸籍謄本を用意する必要があります。

(2)遺産分割協議

遺産分割協議とは、被相続人の財産をどのように分割するかを相続人同士で話し合うことです。相続人が一人だけの場合、遺産分割協議と遺産分割協議書の作成は不要です。遺産分割協議のポイントは記事後半で解説します。

(3)遺産分割協議書の作成

遺産分割協議の結果を、遺産分割協議書という書面にします。基本的に遺産分割協議書がないと、マンションなどの不動産の相続登記ができません。ただし、法定相続割合に従って相続人がマンションの持ち分を保つ場合は、遺産分割協議書は不要です。遺産分割協議書には、相続人の全員が署名・押印する必要があります。

(4)相続の登記(名義変更)

マンションの所在地を管轄する法務局にて、相続登記を行います。遺言書がある場合は、遺言書が必要書類になります。遺産分割協議が行われた場合、遺産分割協議書によって明記された相続人が、相続したマンションの相続登記を行います。

マンション相続時の名義変更で失敗しないポイント

ここまでは相続の基本、相続の流れについて解説してきました。ここでは、マンション相続時の名義変更で失敗しない、損しないポイントについてお伝えします。

節税の視点から相続方法を考える

不動産の相続には、相続人が不動産を共有する「換価分割」と、相続人の一人が不動産を相続して売却して、他の相続人に相当額の取り分を代償金として支払う「代償分割」があります。
相続したマンションを売却する場合、利益が出た場合は、譲渡所得税がかかります。

しかし、被相続人と同居していた相続人の場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用できます。これは、売買後の利益が3,000万円までは控除される、つまり譲渡所得税を支払わずに済む特例です。兄弟3人が相続人だったとして、長男が被相続人と同居していたとします。マンション売却後、2,400万円の利益が出た場合の、それぞれの譲渡所得税について考えてみましょう。

<換価分割の場合>
長男:800万円の譲渡所得だが、3,000万円の特別控除の特例により、譲渡所得税は0円
次男:800万円の譲渡所得のため、800万円×20.315%(長期譲渡所得の税率)≒約162万円
三男:800万円の譲渡所得のため、800万円×20.315%≒約162万円
次男、三男はそれぞれ約162万円の譲渡所得税の支払いが必要となります。

<代償分割の場合>
長男:2,400万円の譲渡所得だが、3,000万円の特別控除の特例により、譲渡所得税は0円
次男、三男:マンション売却の当事者ではないため、譲渡所得税はかからない。
代償分割を選択したため、長男がマンションを相続し、代償金800万円を次男、三男それぞれに渡すことで、譲渡所得税を支払わずに相続することができます。

このように不動産の相続時は、利用できる特例等も考えて相続方法を選択しましょう。

自分でもできるが司法書士に依頼がおすすめ

マンション相続の手続きは自分でも行うことができます。自分で行うことで、司法書士報酬を支払わずに済むメリットがあります。しかし、相続に必要な書類をそろえて、申請書を間違いなく記入して提出する必要があり、普段から相続関係の書類を取り扱っていない場合、抜けがあったり、間違いが起こったりする可能性が高くなります。

他の相続人もいる場合、トラブルの種になってしまうことも考えられます。ミスの可能性や時間、手間などを考えると、司法書士に手続きを依頼した方がよいでしょう。

不動産会社に相談するのもよい

相続登記については司法書士の業務範囲ですが、相続のいずれかのタイミングで、不動産会社にマンションの査定と売却を依頼する必要があります。

マンションがいくらで売れるのかの査定、具体的な販売活動は、不動産会社が行う業務です。マンションの相続が決まっている場合は、まず不動産会社に相談してみるのも一つの方法です。不動産会社から相続に強い司法書士を紹介してもらうことも可能です。

まとめ

マンション相続の名義変更について、相続登記の基本と流れ、失敗しないポイントをお伝えしてきました。法改正によって相続の名義変更が義務付けられた以上、マンションの相続時に、名義変更は必須となります。マンションの相続が予定されている場合は、登記の専門家である司法書士や、マンション取り扱いの専門家である不動産会社に気軽に相談してみてはいかがでしょうか。