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2022.08.09

税金

マンションを売却したら確定申告は必要?

「マンションを売却したのも初めてで、手続きが多くて大変なのに、確定申告が必要と言われて、頭がいっぱい…」という方はいませんか?マンション売却の際、必ずしも、確定申告が必要なわけではありません。この記事では、マンション売却予定、またはマンション売却を進めている方に向けて、確定申告が必要なケース、確定申告の必要書類について説明を行った上で、申告書の作成方法についても解説していきます。

マンション売却で確定申告が必要な場合ってどんなとき?

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得に対する納税金額を税務署に申告する手続きのことを言います。

マンションを売却した場合、譲渡所得税(所得税および住民税)が課税されます。確定申告は、マンション売却をした年の翌年の2月16日から3月15日の間に行う必要があります。ただし、全てのケースで確定申告が必要ではありません。マンションを売却して、確定申告が必要となるときは、次の2つのケースです。

確定申告イメージ

マンションの売却益が生じた場合

マンションの売却収入に対する譲渡所得税は、給与所得などその他の所得と切り離して計算される、分離課税によって以下の計算式で算出されます。

譲渡所得税=(収入金額-取得費※1-譲渡費用※2)×税率
※1 不動産を取得したときに要したお金
※2 不動産を売却したときに要したお金

収入金額が取得費と譲渡費用の総額を上回る場合は、売却益が生じている状態です。その場合には、確定申告が必要となります。逆に、収入金額が取得費と譲渡費用の総額を下回る場合は売却損が生じている状態であり、譲渡所得税は課税されないため確定申告は不要です。

税制の特例の適用を受けた場合

マンション売却に際して、3,000万円控除の特例※3など所得控除等の税制を活用する場合には、売却益の有無に関わらず、確定申告が必要となります。

※3 居住用財産を売却したとき、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例

例)
マンション売却収入2,000万円、取得費および譲渡費用200万円、3,000万円控除の特例適用を受ける場合、「収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除」は、△1,200万円となります。そのため、譲渡所得税は課税されませんが、特例適用を受けているため確定申告は必要となります。

確定申告に必要な書類とは?

確定申告には、確定申告書の他に、以下のような書類が必要となります。確定申告書については、後段で説明します。

マンション売却時の売買契約書(コピー)

売却収入が、いくらであったかを示す根拠として必要となります。

マンション売却時の諸費用の領収書(コピー)

仲介手数料、収入印紙代、司法書士の報酬、抵当権抹消のための登録免許税など、売却時に要した諸費用の領収書が必要となります。これらは、先に触れた通り、譲渡費用として収入から差し引ける金額の根拠となります。

マンション取得時の売買契約書や諸費用の領収書(コピー)

譲渡所得税を算出する際の取得費は、「購入金額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いたもの」と「諸費用」を合算して算出します。マンション取得時の売買契約書や諸費用の領収書は、その根拠となります。なお、相続で取得したマンションなどで、取得時期が古く売買契約書や諸費用の領収書が残っておらず、取得費が不明である場合には、概算取得費(マンション売却収入×5%)で計算できます。

売却したマンションの登記事項証明書

売却したマンションの所有権が、買主に譲渡されていることを示すために、売却したマンションの登記事項証明書が必要となります。

本人確認書類

確定申告の際に、本人確認ができる運転免許証やマイナンバーカードなどの書類が必要になります。

特例適用に必要な書類

特例適用を受ける場合には、一定の要件を満たしていることを示すために、必要な書類を準備する必要があります。例えば、3,000万円控除の特例の適用を受ける場合には、戸籍の附票など、売却したマンションに居住していたことを証明する書類が必要となります。

申告書を作成してみよう

マンション売却に際して、確定申告が必要となる場合には申告書の作成が必要になります。その手順について順を追って説明します。

譲渡所得の内訳書を作成する

まず、確定申告書の記載をする前に、内訳書の作成をします。内訳書には、「売買契約の概要」、「マンションをいくらで売却したのか」、「マンションを取得する際、いくらかかったのか」、「売却益(損)はいくらなのか」などを記入します。先にご紹介した確定申告に必要な書類がないと作成できないため、書類収集を行ってから取り掛かりましょう。

引用:国税庁「譲渡所得の内訳書」

内訳書は、「税務署か国税庁HPで様式を入手して、手書きで作成」、または「国税庁の確定申告書作成コーナーで必要事項を入力して作成」できます。

確定申告書B様式を作成する

譲渡所得についても記入欄のある確定申告書B様式で、確定申告書を作成します。

まず、第一表には、確定申告を行う方の住所やマイナンバー、氏名を記入した後、譲渡所得税は分離課税で計算されるため「種類」の欄にある「分離」に〇をします。


引用:国税庁「申告書B【令和3年分以降用】」

また、「所得から差し引かれる金額」の該当する控除の欄に、金額を記入します。


引用:国税庁「申告書B【令和3年分以降用】」

第一表には、他にも記載するところがありますが、いったん第三表の作成を行います。


引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」

先に作成した内訳書を基にして、下にオレンジ色で示した部分の該当する部分に収入金額と所得金額を書き入れます。


引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」

短期譲渡の場合は「一般分」、長期譲渡の場合は、所有期間が10年超のマンションであれば「軽課分」、それ以外は「一般分」に当たるのが一般的です。不安がある場合には、税務署に尋ねるとよいでしょう。


引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」

オレンジ色で示した「64 65対応分」の欄には、先に記入した所得金額欄の短期譲渡所得の金額、「66 67 68対応分」の欄には所得金額欄の長期譲渡所得の金額を転記します。


引用:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和2年分以降用】」

分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項は、内訳書から転記します。

ここまで、必要事項を記入できれば、後は番号の指示に従って計算を進めていけば、確定申告書が完成します。給与収入など、マンション売却収入以外にも収入がある方は、それも併せて申告が必要です。

確定申告書も、税務署か国税庁HPで様式を入手して、手書きで作成することもできますが、内訳書とともに国税庁の確定申告書作成コーナーで必要事項を入力して作成するほうが、計算も自動で行われるので分かりやすいでしょう。なお、パソコンを使い慣れていない方は、先ほど示した部分までの情報を確認した上で、確定申告会場で申告資料を作成することもできます。

まとめ

経験がない方にとって、確定申告をすることは非常に難しい作業であると感じるかもしれません。ただ、全てのケースで確定申告が必要ではありませんし、必要な資料を整えれば作成自体は決して難しいものではありません。

とはいえ、不慣れなことには時間がかかる可能性もありますので、確定申告の時期ギリギリになってから取り掛かるのではなく、余裕を持って資料集めや申告書作成を行いましょう。一人では不安に感じる方は、不動産会社や税務署、税理士にあらかじめ相談されてみてはいかがでしょうか。