マンションの2階に位置する部屋、「2階マンション」は売れないといった意見がありますが、ポイントをおさえることで、売却の成功率を上げることができます。 この記事では、2階マンションのデメリット・メリットを理解した上で、2階マンションのターゲット層にスムーズに売却する方法をお伝えしていきます。
2階マンションのデメリット
2階マンションのデメリットについて解説します。
湿気がこもりやすい
2階マンションは、湿気がこもりやすいというデメリットがあります。 湿気がこもりやすい原因としては、隣地の建物との距離が近くて風通しが良くない、日当たりが良くない、地面からの湿気が昇ってくる、などが挙げられます。
ベランダからの眺望が良くない
立地環境にもよりますが、2階マンションは、眺望に恵まれない事が多いです。特に都市部の場合は、近隣のマンションや戸建て住宅などが見られる程度で、あまり眺望には期待できないケースが多いでしょう。
防犯上のリスク
2階マンションは防犯上のリスクがある傾向にあります。2階程度の高さであれば、オートロックのエントランスがあったとしても、バルコニー側から侵入される可能性があるからです。
立地により日当たりが悪い可能性がある
近隣にマンションやビルなどがある2階マンションの場合、日当たりが悪い可能性があります。 周囲に建物が少ない場所であれば、日当たりが良いマンションもあるため一概には言えませんが、マンションが都市部や住宅密集エリアにある場合、2階の部屋は日当たりが悪い傾向にあります。
階下が駐車場の場合は底冷えする
マンションの構造によって、1階にも部屋があるタイプと、1階がエントランスや駐車場になっているタイプがあります。1階がエントランスや駐車場などの場合、空間が空いているため2階の部屋が底冷えすることがあります。
2階マンションのメリット
2階マンションのメリットについて解説します。
安く購入することができる
2階マンションは、需要が限られるため資産価値が低く、比較的安く販売されています。 売主側としては、少しでも高く売却したいところですが、購入希望者側からすると、安く購入することができる点は魅力的なセールスポイントとなります。 もちろん、2階の部屋だからといって必ずしも安く売却する必要はなく、物件の良い点をアピールすることで、より高値で売却できる可能性は上がります。
コストパフォーマンスが良い
付属設備・サービスが充実しているマンションの場合、2階の部屋はコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。 マンションによってはジム・プールやフロントサービスといった付属の設備・サービスが提供されているところもあります。 そのようなマンションの場合、2階であれば他の部屋よりも安価に購入できる一方で、他の部屋と同じ設備・サービスを利用できることが大きなメリットとなるでしょう。
固定資産税が安くなる(タワマンの場合)
2017年4月以降に新築されたタワーマンションの2階の部屋であれば、他の部屋よりも毎年の固定資産税が抑えられることが期待できます。 2017年の税制改正により、2017年4月以降に新築されたタワーマンションの2階の部屋は、高層階よりも固定資産税が安くなります。2017年4月以前に建てられた中古のタワーマンションの場合は、従来どおり、低層の部屋も高層の部屋も固定資産税は変わりません。 20階以上(60メートル超)の建物をタワーマンションと定義されていて、中間階を基準に、階が下がるごとに、約 0.26%ずつ固定資産税が安くなります。
移動する際に便利
2階マンションは、エレベーターの他に、階段でも簡単に移動が可能です。朝の忙しい時間にも、ストレスなく外出できる点は大きなメリットといえます。 高層マンションの上層階では数分間のエレベーターの待ち時間が発生することも珍しくありません。
災害時に避難しやすい傾向にある
移動の便利さは、災害時の避難しやすさにもつながります。 火災が起こった際は煙が発生しますが、煙は下から上に昇っていく性質があります。2階の部屋であれば煙に巻かれる前に迅速な避難が可能です。水害の際にも、1階より高さがあるため、被害にあいにくい特徴があります。
地震の際に揺れが少ない
地震が起こったとき、マンションの上層階ほど大きく揺れ、2階マンションは比較的、揺れが小さくなります。また被災後の生活においても、停電でエレベーターが使えないと、マンションの上層階は階段の上り下りで大変ですが、2階の部屋ならスムーズに出入りできます。
エレベーターと階段を併用できる
2階マンションは、エレベーターと階段を併用できます。 エレベーターの待ち時間が長ければ、階段を利用してすぐに外出できます。小さな子どもがいる子育て世帯や高齢者世帯にとって、出入りしやすい2階の部屋は一定の需要があるといえます。
2階マンションを売却する際のポイント
2階マンションを売却する際のポイントについて解説します。
2階の部屋特有の魅力を強調
売却する際は、2階マンション特有の魅力を、購入希望者に対してアピールすることが大切です。購入希望者の内覧対応時には、上述した2階マンションのメリットに加えて、自分自身が生活する中で感じているメリットも伝えられると良いでしょう。 メリットだけでなく、デメリットについても正直に伝えることで、売却後のトラブルを防ぎ、購入を検討している人の信頼を得ることができます。
リフォームや改修で価値向上を行う
リフォームや改修で価値向上を図るのも一案です。 ただし、売却のためだけに、過度なリフォームはやらないほうが良いです。お金をかけても、購入希望者の嗜好にあうか分からないためです。 とはいえ、マンションの設備が故障している、壁に穴が開いているといった生活に支障が出るほどの不具合がある場合は、改修後に売却したほうが購入検討者の心象も良くなり、売却の成功率が上がります。 最低限の修繕を行った上で、キッチンやお風呂、トイレなど水回りを中心に清掃を行いましょう。 売却がうまくいかない場合は、不動産会社とも相談の上で、安価にできるクロス(壁紙)の張替えなど、費用対効果の高いリフォームを検討してもよいでしょう。
売却ターゲットの明確化
売却ターゲットを明確化することで、アピールするべきポイントがはっきりして、効果的な販売活動ができます。具体的なターゲットについては次項で詳しく解説します。
2階マンションのターゲット
2階マンションのターゲットには、以下のような方が挙げられます。
マンション購入のコストを抑えたい方
マンションの2階は高層階に比べると比較的安価に取引きされることが多いです。 そのため、日当たりや眺望の悪さ、湿気が多いなどのデメリットを理解した上で、マンションの購入コストをおさえるために2階を選ぶ世帯は存在します。
子どもがいるファミリー世帯
子育て世帯の場合、エレベーターと階段を併用できるため、小さな子どもを待たせずに移動できます。そのため、荷物の出し入れにも時間がかからず便利です。また1階部分が駐車場などの空間であれば、下の階に子どもの足音が響くことを気にせずに生活できます。
災害時の避難しやすさを重視する方
災害時の迅速な避難を重視する世帯には、2階マンションは人気があります。上述したように地震や火災などの万が一の事態が発生すると停電が起こる可能性もあります。停電でエレベーターが使えない状況でも、2階マンションなら上層階よりも不便を感じることなく避難が可能です。
共用エントランスまでの移動に時間をかけたくない方
マンションの共用エントランスまでの移動に時間をかけたくないというニーズもあります。 2階であれば、エレベーターが混雑していても階段の利用が比較的楽にできるため、共用エントランスまで移動しやすさを重視する高齢者世帯などに2階マンションのメリットを訴求できるでしょう。
売却しやすい2階マンションの特徴
売却しやすい2階マンションの特徴について解説していきます。
日当たりが良い
日当たりが良い物件は売却しやすいといえます。 2階マンションであっても、周囲に建物がなかったり、低い建物ばかりであったりなど、立地・周辺環境によって日当たりが良い物件もあります。
交通アクセスが良い
交通の便の良さは大きなセールスポイントとなります。 マンションの購入を検討する際、通勤通学のための交通アクセスの良さを重視する世帯は多いです。そのため、2階特有の出入りのしやすさもあわせて、アクセスの良さを重視する世帯に訴求できます。
防犯対策がしっかりしている
防犯対策がしっかりしている2階マンションであれば、不審者が侵入しやすいという防犯上のデメリットを払拭でき、売却しやすい物件となります。 オートロックのエントランス、管理人が常駐している、高い塀がある、警備会社と契約しているなど、マンションの防犯対策についてチェックしておきましょう。
2階マンションをスムーズに売却するコツ
2階マンションをスムーズに売却するコツについて解説します。
高層階の物件より売却価格を下げる
2階マンションをスムーズに売却するためには、高層階の物件より売却価格を下げることが基本となります。2階マンションは高層階と比べて需要が限られているためです。 高層階の部屋よりも売却価格を高く設定する場合、「角部屋で南向きの物件である」、「フルリフォーム済」など物件特有の諸条件や理由の説明が必要です。
水回り設備を中心にきれいにする
水回り設備をきれいにすることは、売却の成功率を上げる鉄則といえます。 なぜなら、キッチンやお風呂、トイレといった水回り設備は、その物件の印象を決める重要なポイントとなるからです。自分自身で清掃しきれない場合は、プロのハウスクリーニング業者に依頼しても良いでしょう。
売却に強い不動産会社に仲介を依頼する
マンションを早期売却するためには、中古マンション売却の実績が豊富な不動産会社に仲介を依頼しましょう。 特に売却予定のマンションのあるエリアでの、マンションの売却実績が豊富であることが望ましいでしょう。実際に不動産会社を選ぶ際は、マンションの査定を通じて、査定価格の根拠や、担当者の人柄も確認しましょう。
売却だけでなく買い取りも検討する
マンションの売却期間は、売り出してから売買契約成立まで平均で3か月から6か月程度といわれています。しかし、売却したい期限が決まっている、現金化を急いでいるなどの事情がある場合は、不動産業者の買い取りサービスを検討しても良いでしょう。 買い取りなら買主を探す手間も時間もかからず、1か月程度でスムーズに売却が完了します。 また、買い取りの場合、引き渡し時期の相談に応じてくれますし、周囲に知られずに売却できるなどのメリットもあります。不動産業者によっては、清掃や不用品処分、リフォーム等を引き受けてくれる場合もあります。 買い取り価格は市場価格を下回る可能性がある点はデメリットですが、状況によっては、買い取りも選択肢の一つとして考えても良いでしょう。
まとめ
2階マンションの部屋は、日当たりや防犯面などでデメリットはありますが、低層階特有のメリットもたくさん存在します。ターゲットに対して、2階マンションのメリットを上手にアピールすれば、売却できる確率を上げることができます。買い取りも視野にいれながら、信頼できる不動産会社と納得のいく売却活動を進めてみてはいかがでしょうか?
監修者:キムラミキ
ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント
日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。