マンションの住み替えにかかる費用は、住み替え先のマンションの物件購入費用だけではないことをご存じですか?実は、マンションの住み替えには、マンションの物件購入費用以外にも、さまざまな費用が必要になります。この記事では、マンションの住み替えを検討されている方に向けて、住み替えにかかる費用にどのようなものがあるか、購入時、売却時、その他に分けて具体的にご説明します。
購入時にかかる費用
住み替え先のマンションを購入する際には、マンションそのものの購入費用以外に、以下のような費用がかかります。
不動産会社に支払う費用
住み替え先のマンションを不動産会社の仲介により購入する場合、不動産会社に仲介手数料の支払いが必要になります。仲介手数料は以下の基準に当てはめて算出します。なお、仲介手数料には別途消費税がかかります。
例えば、マンションの価格が3,000万円であった場合、「3,000万円×3%+6万円=96万円」となりますので、仲介手数料は96万円(別途消費税)を上限として請求されます。
税金
マンション購入時にかかる税金には、「印紙税」「不動産取得税」「固定資産税」があります。 ・ 印紙税 売買契約書に、マンションの購入代金に応じた金額の収入印紙を貼付、消印して納めます。印紙税の金額については、国税庁のホームページをご参照ください。 印紙税額の一覧表(国税庁 ※第1号文書参照) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm ・ 不動産取得税 不動産を取得したときに納める都道府県税です。マンション購入後に送付されてくる納付書で納めます。原則、取得した不動産の「固定資産税評価額(購入金額ではない)×3%」ですが、特例もあります。 不動産取得税(東京都主税局) https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/fudosan.html ・ 固定資産税 固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税される市町村税です。年の途中で所有者が変更となった場合、売主・買主で引き渡し日を境に折半するケースが多く、その分を支払う必要があります。
不動産登記費用
所有権等の権利を登記するための登録免許税が必要になります。この登記手続きを司法書士に依頼する場合には、その依頼費用も必要です。 登録免許税の税額表(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
住宅ローン諸費用
マンション購入に際して住宅ローンを利用する場合、事務手数料や保証料、団体信用生命保険料、火災保険料などが必要になります。住宅ローンの借入額の3~10%程度を目安に考えておきましょう。
売却時にかかる費用
住み替えに際して、現在の住まいであるマンションを売却する必要があります。その際にかかる費用には、以下のようなものがあります。
不動産会社に支払う費用
不動産会社を通じて、現在の住まいの買主を見つけてもらって売却する場合には、仲介手数料が必要になります。仲介手数料の計算式については、先ほど「購入時にかかる費用」においてご説明した通りです。なお、不動産会社に直接買取をしてもらう場合には、仲介手数料は不要です。
税金
現在の住まいであるマンションを売却する際には、以下のような税金がかかります。 ・ 印紙税 内容は、先ほど「購入時にかかる費用」でご説明した通りです。 ・ 譲渡所得税 マンションの売却収入に対して、譲渡所得税が課税されます。原則として、マンションの売却収入から、譲渡費用(マンションを売却するためにかかった費用)、取得費用(マンションを取得する際にかかった費用)を差し引いた金額(譲渡所得)に税率を乗じて譲渡所得税を算出します。「現在の住まい」の売却であれば、所有期間の長短に関係なく「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用されることも知っておきましょう。 マイホームを売ったときの特例(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
登記費用
現在の住まいであるマンションを、住宅ローンを利用して取得していた場合、不動産登記に抵当権が設定されています。住み替えに際して、マンションの売却収入等で住宅ローンを一括返済した場合、その抵当権の抹消登記が必要になります。抹消登記にかかる費用は不動産1個について1,000円です。この抹消登記の手続きを司法書士に依頼する場合には、その依頼費用も必要になります。
住宅ローン関連費用
現在の住まいであるマンションを、住宅ローンを利用して取得していた場合、住宅ローンの残高をマンションの売却収入などで一括返済する必要があります。マンションの売却収入が住宅ローンの残高を超えている場合は問題ありませんが、マンションの売却収入だけでは一括返済に不足がある場合には、その返済資金の準備も必要になります。また、一括返済のための手数料も別途必要になります。
その他、住み替えにかかる費用
その他、マンションの住み替えに際して必要な費用には、以下のようなものが挙げられます。
引っ越し費用
マンションの住み替えに際して、引っ越し費用が必要です。なお、現在の住まいであるマンションの売却が先で、住み替え先のマンションの購入が後である場合、引き渡しのタイミングによっては、一時的な仮住まい先である賃貸物件の賃料や、仮住まいに入りきらない家財を預けるトランクルームの費用が必要となるケースもあります。この場合には、引っ越し費用も2回分必要になります。
リフォーム費用
現在の住まいの売却に際して、リフォームは必須ではありません。ただし、買主の購入条件としてリフォームの希望があった場合には、必要になる可能性があります。また、住み替え先のマンションとして中古マンションを購入した場合には、物件の状態や嗜好に応じて、リフォーム費用がかかる可能性があります。
家財処分費用・家財購入費用
現在の住まいの家財が、住み替え先のマンションで必ずしも使えるとは限らないため、新しく買い替える必要が出てくるかもしれません。また、住み替えを機に断捨離をしようと考える方もいるでしょう。その際には、新たな家財の購入費用や不要な家財の処分費用もかかります。
クリーニング費用
現在の住まいの所有者となる買主に気持ちよく引き渡しをするために、マンションの状態によってはクリーニング費用を要する場合もあります。
まとめ
マンションを住み替える際には、新居となるマンションの購入費用のみならず、現在の住まいの売却に伴ってさまざまな費用が必要になります。 今回、詳細に触れてはいませんが、現在の住まいの売却において不動産会社による買取を活用した場合、買取価格は相場価格よりも下回るものの、仲介手数料やリフォーム費用、クリーニング費用などが不要になります。また、引き渡し時期の希望に柔軟に対応してくれる可能性もあるため、トータルコストを考慮した上で、買取という方法を住み替えの際の選択肢に入れておいてもよいでしょう。 住み替えに際しては、新居となるマンションの購入にかかる費用に目が行きがちですが、その他にもさまざまな費用が必要になります。想定していなかった費用の工面に頭を抱えることがないように、住み替えにおける全工程を見通して、余裕を持ったスケジュール、資金繰りを考えておく姿勢が大切です。
監修者:キムラミキ
(ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント)
日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。